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彼女のすべて ボードレール 鈴木信太郎訳
彼女のすべて
悪魔が、屋根裏部屋に、今朝、オレを訪ねて来て、過失があったら懲らしめようと、オレに言った。
「知っておきたいことがある、あの女の魅力を作る美しいものの中でも、可愛らしいあの肉体を構成する 黒や薔薇色の品々の中でも、何が一番好い気持なのか。」
――いみじくも「嫌はれ者」にオレは答えた。
「あのひとにはあらゆるものが強烈に匂って 何かを特別に選び出すことができない。全体にわたしは
『占領下日記』コクトー(つづき)
先方の扉の前に着くと、小さな女の子が自転車から降りて、ぼくらにこう声をかけた。「通りをゆっくり降りてきてすいません。」驚いて黙っている。彼女はちょっと顔をしかめて付け加えた。「あなたたちに言ったのです。あなたたちに・・・」p85
嵐。鍵を置き忘れていた。窓から入る。p93
性急に読み飛ばし、ろくに読みもせず、ぼくのパラドクスを咎め立てする人がいることは百も承知だ。対比としての地位と英雄的
『占領下日記』コクトー
環境を変えると検索ワードも変わるように、普段は見向きもしない本を読むようにもなります。コクトーには、じつはまったく興味がなかったけど、フランスでは未だ人気なんです。適当に抜粋してみます。秋山和夫訳
映画や劇の制作話ばかりで、そこに資料的価値はあるのだろうけど、引用は「文学的」だったり、コクトーが考えていること中心。前提としては、1942年の占領下、フランスが混沌とした時代にあったこと、そして