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ブラック研究室の見分け方「前編」

院生活を語る上で、研究室の話は欠かせない事だと思います。
研究室がブラックだと、院生活・人生に多大な影響を及ぼすので、進学を考えている方には是非とも読んでほしい記事です。

外部からでも確認できるブラック研究室の特徴は、割とはっきりしているのでその特徴をお伝えします。




初めに

ブラック研究室などを耳にしますが、そもそもブラック研究室の定義とは何でしょうか?
「やばい」としか表現できない人が多いのではないでしょうか?
我々の周囲にも質問をしてみましたが、明確に説明できる院生は少なかったので、ブラック研究室はどういった所なのかを説明していきたいと思います。

Quoraから典型的な事例を抜粋してみました。

Q :うちの教授は修士じゃ何も学べないので博士課程に進めと言います。また研究最優先でインターンにも行かせてくれないです。15年ほど続いている研究室にも関わらず1人も博士号を取った人がいません。これは普通なのでしょうか?

週一で個別に先生に進捗報告をします。前回のゼミの時に出た問題点とその解決、そして1週間の進捗、次回ゼミまでの予定、中長期計画を報告するのですが、1人あたり少なくとも1時間、長いと2〜3時間の面談となります。自学自習が先生の方針らしく、報告したことに関してどこに問題があるかをつらつら述べて次回までに考えてこいと。そして毎回基礎的なことが何もできてないと叱ります。また先生の都合上、班によっては土曜日にこれをやります。どれほど時間がかかるかわからないため個別ゼミの日に予定を入れるのは基本的に禁止です。

工学研究科なのですが、古典力学を数学的に解析していくという数学者が書いた非常に難しい英語の本を全員で日本語訳していくという作業です。和訳した本の内容はほとんど研究には使ってないです。問題は全部解かなければならないうえに、先生すらおそらく答えをわかっていないので的を射た議論になることがなかなかないです。ちなみにわからなかったは許されない状態です。

次は全体ゼミです。これは1〜2ヶ月に1回交代制で回ってきて研究室の人全員に向けてパワポを用いて進捗報告をします。この時、全員質問しなければいけません。

博士課程に進学する人は毎年1,2人います。しかもその進学する人の中には修士号を2年で取れるかわからないからとりあえず博士課程に進学する意思を示して修士号をもらうという意味で進学する人がいます。3年ほど上の先輩がアカハラを報告して研究室を移籍していきましたが結局改善は見られないらしいです。
(一部原文を修正しています)


上記内容を読んでみて、どの辺りが本当に「やばい」「ブラック臭」がすると思いましたか?


第一に、学生自身が何のために何をしているのかをまったく把握できていない事です。

第二に、指導教員が学生の研究を進めるために、何を知っていて、何を知らないかをまったく把握できていないことです。その証拠に叱ってばかりいて、学生個々の研究を進めるためにその勉強会が何故必要であるかさえも、ちゃんと説明できていません。


第一が「やばい」理由は、このままだと時間が10年あっても論文を執筆できないからです。
第二が「本当にやばい」理由は、第一で説明した状態の学生を無数に量産してしまうからです。



他のケースも見てみましょう。

Q: 博士号を取ったら、その先の未来が見えないと言う投稿などをよく見ます。博士号を取って未来が明るくなる学問はあるのでしょうか?


A: 日本でよく見かけるのは、指導教官にきちんと指導して貰えなかった大学院生たちです。教官の怠慢もありましたが、指導教官がその分野を理解していなかったり、研究がどういうものなのか分かっていなかったり、意味がないと思われる研究をしていたりという事も多々ありました。また、研究に向いていない人を院生として、自分の仕事を援助して貰うために使っていたり、という現状も

博士号の先を見えなくしているのは、どの分野の学問かという以前に、担当教官が指導している研究室の研究への態度と、院生とその将来に対しての責任の不足だと思います。

大学院進学にあたっては、指導教官や研究室の研究への取り組み方、そしてその研究が社会的に、また自分自身にとってどれほど意味のあるものなのか、しっかりと調べて考えられる事をお勧めします。


上記二つのケースを踏まえると、ブラック研究室とは学生自らが何のために何をしているのかを把握できないまま、成長はおろか、精神的に疲弊するしかない研究室と定義できると思います。


加えて、アカハラが蔓延している研究室も上記定義に当てはまると思います。指導教員がサイコ系の指導教員でない限り、学生自身の個性や学生の行っている(行おうとしている)研究を正確に把握している場合、アカハラを行う必要性は非常に低くなるからです。


ブラック研究室の定義を逆さに取ると、
「学生自らが何のために何をしているのか把握できている(成長を自ら実感している)研究室」を探すことができます。

成長を実感できている院生の存在そのものが、指導教員の指導・支援を意味していると言っても寡言ではないです。



今回はブラック研究室の定義についてのお話をしました。
次回は実際にブラック研究室を見分ける術を皆さんにご紹介していきます。


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