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ブラック研究室の見分け方「後編」


「前編」では、ブラック研究室の定義をしてみました。もし読んでない方がいるのであれば、下記のリンクを参考にしてください。

今回の「後編」ではブラック研究室の現状は何故なくならないのか?
実質不条理な事をされた学生はどうなるのか
を中心に解説したいと思います。




認めない・認めたくない「ブラック」研究室


ブラック研究室はどの大学院にもありますが、誰も言いたがらない、見て見ぬふりをする代表的な象徴だと思います。もちろん東京大学も例外ではありません。
東大新聞の記事を参考にしてみて下さい。
記事1 
記事2
記事3

全国的に、今もアカハラ投稿所には結構な投稿が続いています。しかし、ブラック研究室に入ってからじゃ遅い!

なぜなら、指導教員は王様で、様々な権限があり院生一人がどうこうできる相手ではないからです。


まずは、懲戒処分のケースを見てみましょう。

東京大学は、大学院教授(男性・50歳代)に対し、1月29日付けで、停職4月の懲戒処分を行った。

教授は、2年以上にわたり、指導する本学大学院学生に対して恋愛感情を示し続け、当該学生が教授との交際を望んでいないことを十分に認識しながらなお、執拗に交際を申し込み、交際を拒まれるたびに、研究に関する予定を変更したり、不機嫌になったりするなど当該学生を翻弄し結果的に研究が続けられなくなるほど精神的に追い詰めた。さらに、意に反する身体接触も行った。

教授の行為は、セクシュアルハラスメントに該当する行為であり、就業規則第38条第5号に定める「大学法人の名誉又は信用を著しく傷つけた場合」及び同条第8号に定める「その他この規則及び大学法人の諸規則によって遵守すべき事項に違反し、又は前各号に準ずる不都合な行為があった場合」に該当することから、同規則第39条第4号に定める停職4月の懲戒処分としたものである。

付 記
 本件に関する行為の詳細や被害者に関する情報については、被害者のプライバシーを侵害したり、被害者に対して二次被害を与えるおそれがあることなどから、公表を差し控えます。

東京大学は、大学院准教授(男性・40歳代。以下「A准教授」という。)及び大学院准教授(女性・40歳代。以下「B准教授」という。)に対し、3月24日付けで、それぞれ停職6月と戒告の懲戒処分を行った。

A准教授は、指導教員として指導していた本学大学院学生(女性。以下「C氏」という。)及び自身が主宰するゼミに出席していた本学大学院学生(女性。以下「D氏」という。)に対して、女性研究者の結婚や妊娠・出産・子育てと研究活動が両立しえないかのような発言を繰り返したり、不適切な侮辱を行ったりするなどのハラスメント行為を行っていた。

B准教授は、自身が主宰するゼミに参加したD氏に対して、他の学生の面前で研究活動を否定する発言をしたり、A准教授が主宰するゼミに参加した際に、C氏及びD氏の結婚等のプライベートと研究をやめることを結びつけて発言するなどのハラスメント行為を行っていた。

A准教授及びB准教授のハラスメント行為は、就業規則第38条第5号に定める「大学法人の名誉又は信用を著しく傷つけた場合」及び同条第8号に定める「その他この規則及び大学法人の諸規則によって遵守すべき事項に違反し、又は前各号に準ずる不都合な行為があった場合」に該当することから、A准教授については同規則第39条第4号に定める停職6月の懲戒処分とし、B准教授については同条第1号に定める戒告の懲戒処分としたものである。

付 記
 本件に関する行為の詳細や被害者に関する情報については、被害者のプライバシーを侵害したり、被害者に対して二次被害を与えるおそれがあることなどから、公表を差し控えます。

上記内容から、読み取れるのは一人の院生を追い詰め続けて来た教員でさえも、停職の懲戒処分で留まり、それ以後復職している現象です。

何故そうなるのか?被害者である院生の人生は無茶苦茶にされてしまいましたが、他の院生の人生(研究キャリア)もその教員の手にかかっているからだと推測できます。大学院の教員は本当に院生の全てを握っていると言っても寡言ではない理由がここにあります。


同じ研究室の院生・研究員の方々・秘書さんも、その教員の研究室があるから生活が成り立っているということです。
なので、アカハラ・パワハラ発言をされたとしても、被害者である院生は気を遣い、学生相談室に行くことを躊躇うことになります。ここが恐ろしいところです。



結局、全てを背負いやり直すのは院生本人

もし、学生相談室に赴き、運よく研究室を変更するとしても、これまでやってきた研究をそのまま続ける可能性はそんなに高くないと思います。

精神的負担はもちろん、研究を0からやり直すとしたら、時間も費用も再び費やすことになるので、本当につらい現実と向き合うしかなくなるのです。

なので多くの院生は、これまで費やしたコストを考えれば考えるほど「我慢」し、耐え抜くことを選択するのです。

なので、「懲戒処分になってないケース」は、数えられない程あると思います。

なので、見極め方がとても重要です。




研究室HPから読み取れる情報に注目

「前編」でも紹介したように、院生が「成長」できない場所はブラック研究室だと定義しました。

逆にブラック研究室でない研究室は、研究室のメンバー達が何をしているのかがとても伝わる場所と言い換えることができるのです。
即ち、学術的成果を出し続けている研究室はブラックではない確率が高いと思います。

現在、所属している院生が論文をだしているか?博士たちが論文をだしているか?等々をチェックしてみて下さい。研究員だけが論文を出しているところは要注意かもしれません。

院生の立場で、論文執筆が可能な場所であるかを見極めることが大事なのです!


第二に、「院生」が研究室で大切にされているか?です。メンバーページの更新がおろそかになっていたり、メンバー達の卒業後何をやっているのかがなかったり等々・・・こういったHPの研究室は大体ブラックである可能性が高いと思います。

逆に、教授の活動だけこまめにアップデートされていて、研究室のHPが教授中心である場合も気を付けて下さい。



研究室訪問の際に聞いておきたい事

入学・進学前に結構な人が研究室を訪問し、研究室のメンバーに質問をすると思います。

私もそういった質問を何回か受けたことがありますが、大体の学生が院試に関する質問だけをしていたと思います。もちろん重要ですが、研究室の雰囲気を把握するために必要な質問を考えて訪問することをお勧めします。

例えば、

OB会とかはあるんですか?(ホームカミングデーとかはあるんですか?)
ーブラックであるのであれば、卒業生が有志で集まり、OB会自体が開かれるとは思えません。

先生の指導は研究のモチベーションアップにつながっていますか?
ー正直に答えてくれる学生がいれば、検証はこの質問で決まるのではないでしょうか。


また、現在科研費のプロジェクトに関する質問も重要だと思います。
大きなプロジェクトであればあるほど、指導教員はその責任を負うしかないので、切羽詰まった教員が学生にいかに残酷に接するのかは言うまでもないと思います。

科研費で運営している「プロジェクト」は、公開されています。その探し方を紹介しているので、上記記事も参考にしてみて下さい。

プロジェクトに関する質問例:
現在AAAというプロジェクトが行われていると存じておりますが、実際はどういったことをされているのですか?

研究成果報告会がいつなのか知りたいです。教えて頂けないでしょうか。

等々、プロジェクトの実際を確かめる方法を探してみてください。プロジェクト自体で論文がでているかどうかも重要ですが、そのプロジェクトが失敗に近い時、学生の被害が出ている確率が非常に高いと思われます。


最後に

研究にだけ没頭しても、色々と不安が絶えない院生活だと思います。ブラック研究室であればその不安は未来に対する不安ではなくて、「生活」そのものに対する不安に変わってしまうと思います。

皆さん、ブラック研究室の強制的根絶は難しいと思います。自然淘汰がその答えではないでしょうか。

この記事がこれから大学院を検討されている方々のお役に立てれば幸いです。

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