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研究室別運用資金の推定方法

皆さんは、研究室に志願する際、研究室の資金レベルについて調べたことはありますか?
研究内容は調べる、資金力については調べずに志願したといったケースが多いと思います。

研究室の運用資金は院生活に非常に大きな影響を及ぼしますので、まずは運用資金がなぜ重要なのか、その理由を解説したいと思います。




実験費用はどうするの?

まず、理系である場合、論文を執筆するために必ず必要なのが実験費用です。実験道具、実験機器、実験薬品、実験参加者募集など、様々なことにお金がかかります。

筆者は、理系なのですが、XX大学の〇〇研究室にはお金がなく、学生の自費で実験機器を購入しているらしい…。といった噂をよく聞きます。

フーンそうなんだとおっしゃる方もいらっしゃると思いますが。
機器は、一番安いもので20万円ほどするものらしく、学生の立場であればこれは辛すぎる出費になると思います。



論文を無事執筆しました。掲載したいです…。


論文を無事執筆しました。実験結果もリサーチ通りに進み、なんとか学術誌に掲載できそうです。

しかし、掲載にはお金がかかります。
研究室にはお金がないので、自費で賄う…。

といったケースは、東京大学でも決して少なくないとされています。


国内外の学術誌には少なからず、論文掲載料といったお金が必要となります。

論文掲載料(英: Article processing charge)は、研究者が投稿した論文原稿を、オープンアクセスまたはハイブリッドオープンアクセスの学術誌に掲載してもらう時、著者である研究者に出版社から課される手数料。この手数料は通常、研究者自身ではなく、研究者の所属する大学や研究機関または研究助成機関からの研究費によって支払われる。出版社の中には、研究費が少ない研究者に手数料を免除する場合もある。

論文掲載料は通常、高額である。学術出版社は、100ドル未満から3,000ドルを超えるなどさまざまなレベルの論文掲載料を課している。大手出版社のインパクトファクターが高い学術誌は、論文掲載料が高い傾向にある。

ウィキペディア(Wikipedia)


Impact Factorが高い論文ほど、掲載料が高いと言われています。もし頑張って執筆し論文を完成させたとしても、お金がなく掲載に悩むといった、笑えない現実が今にも続いています。


上記2点は最低限の院生活に必要な資金です。指導教員の類型と院生活といった記事に記載した指導教員の類型中、村長、のんびり屋の研究室は特に注意が必要だと思います。まだ読んでいない方は一読をお勧めします。



時間をお金で買える

実験設計を完成させ、指導教員から実験参加者募集開始の承諾も頂きました。しかし、どう募集するか?

どのようなルートで、誰に声を掛けて、1週間にどれだけの参加者を参加させ、謝礼などはどうするか?等々…。
結構いろいろな事を考えなければいけません。

上記内容だけでも結構な時間がかかります。しかし、研究資金があれば実験参加者募集業者に委託するなど様々な選択肢から選ぶことができます。

また、実験実施のための機材がネックになっている場合、実験機器を増やし、時間を短縮することも可能です。

この様に、実験参加者募集など結構な時間が必要なことをお金で解決し、論文を見直す時間を稼ぐことができます。




海外学会参加費も支援

自分の研究でポスターを作成し、海外に赴き発表をするといった学会参加はとても面白い経験に違いありません。しかし、旅費が結構な額なため、自費で気軽に行ける学生は少ないと思います。

資金力がある研究室の場合はある程度支援をしてくれます。

もし研究室にお金がなかった場合、下記リンクのような解決策もあるので参考にしてみてください。




その他福利厚生もある

普通であれば下記ぐらいのことは研究室で賄ってくれます。
参考にしてください。

ハードウェア的な支援

  • 自分用の机とモニター

  • 冷暖房

  • 冷蔵庫

  • 収納

  • プリンター(無料)

  • 自分用のデュアルモニター

  • PCの貸与

  • 大型ディスプレイ+ゲーム機

  • コーヒーメーカー

  • ソファ

  • 炊飯器

  • GoPro貸与

  • ウェットティッシュ、ティッシュ、研究室の石鹸、洗剤、スポンジ(切らせる度に補充してくれる)

  • …等


資金を支援

  • 出張費の支給

  • 入学時、必要なパソコン・パソコン周辺機器の購入費支援(10万円程度)

  • 書籍購入費の支援

  • …等




注目すべきは研究室のWebページ

これまでは、研究室にお金があると何がいいのかを確認してみました。
では、研究室の資金の推察方法をご紹介します。

1.研究室に「研究員」が何人いるのか?
研究員が少なくとも2-3人程度研究室にいる場合。おそらくその研究室は何らかの国のプロジェクトを回しているか、民間とのコラボをしているかどちらかに当てはまると思います。

即ち、資金が潤沢な研究室だと予想できます。
なぜなら研究員を雇うだけの資金力があるからです。

参考までに「東大の特任研究員」公募の内容をのぞいてみましょう。

[賃金等]
年俸制を適用し、「東京大学特定有期雇用教職員の就業に関する規程」および「東京大学年俸制給与の適用に関する規則」に基づき、経験等を考慮して決定する。
参考給与は30歳で月額40万円前後です。
通勤手当(当方で定める支給要件を満たした場合は、当方規定により算定した額を支給、最高55,000円/月)
退職手当、賞与は無し。
原則毎月17日支給。

ムーンショットの動的協働技術開発のための特任研究員の公募



2.国プロを回しているか確かめてみる

一番確実な方法は「科研費」と呼ばれている、研究費をどれくらい研究室が運用しているかを確認することです。では、確認してみましょう。

日本の研究ー>https://research-er.jp

にアクセスし、右上にある検索ボタンをクリックしてみましょう。
研究者名に、指導教員の名前を入力してみると…!

これまでどんな科研費をもらっていたか、履歴も出てきますし、
何より一番重要な「進行中の研究課題」をみることができます。
研究課題別に「配分総額」と運用している金額を確認できます。


上記2点で大体の研究室の資金は確認できます。
国プロを回していないのに、研究員が多い場合、二つの可能性が考えられます。

1.民間からの投資・コラボなので、研究室の名前でググってみて下さい。高い確率でヒットすると思います。

2.学振PDでの参加。これは研究室の予算とはまた異なります。学振PDは日本学術振興会で、採択された研究者です。
「学振PD」とググればまた詳細を知ることができます。
学振PDに関しても、また改めて解説をしようと思います。




今回は、研究室の運用資金に関して解説してみました。研究室選びの基準として参考になればと思います。


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