週G0310-6

大阪城に行ったら、お土産は「消しゴム」に決まりです。

突然ですが。

GRAPHって、消しゴム屋さんでもあるんです。

……と言ったら大げさでしょうか。

正確には、この記事で紹介するGRAPHプロデュースの消しゴムについて、GRAPHはデザインを提供しているだけでなく、製造元より仕入れを行い、販売店に卸しを行っている代理店でもある、ということなのです。

というわけで、今回から全2回に分けて、大阪城と二条城の売店で販売されている消しゴムについてご紹介します! それぞれのプロジェクトマネジメントを担当したPMにお話を聞きました。

今回は前編として、大阪城の消しゴムのお話です。担当は兵庫本社でPMを務める村部悠蔵さんと、東京オフィスの八戸藍さん

(お二人の詳しいご紹介は、今後インタビューを決行したいと思いますのでお楽しみに!)

村部さんがSkypeインタビューにていろいろお話してくれました!

色を使って、大阪らしい“ごちゃっと”感を出す

大阪城の消しゴム企画は、売店などの運営会社に対して、GRAPHから自主提案する形で始まりました。

GRAPHはそれ以前に、京都の平等院のミュージアムショップでオリジナルの消しゴムを企画・販売しており、それが売り上げ好調だという実績があったことも大きなポイントでした。

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上)「平等院ミュージアム 鳳翔館」内のミュージアムショップとオンラインで販売されている消しゴム。雲中供養菩薩や鳳凰など、平等院を象徴するモチーフを、金箔押しで表現しています。まるで彫刻のように、繊細で立体的な加工が特徴。

「平等院の消しゴムは金の箔押しで上品なイメージでしたが、大阪城のご提案では、大阪らしく、いい意味でごちゃっとした感じにしたいと思いました。そこで、いろんな色を使いたいと考えて、箔のカラーバリエーションを増やすということをご提案したんです」

それがこちらの「五利益消しゴム」。大阪城天守閣と「伏虎(ふっこ)」が、5色の箔押しで表現されています。ただの色違いというだけではなく、緑、赤、黄色、白、紫の5つの色には、それぞれ学業運や健康運などの意味をもたせて、“五色=五利益”の消しゴムとして販売しています。

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上)「めっちゃ消える」と、キャッチコピーは大阪弁。■緑→成長・健康運 ■赤→学業・人気運 ■黄→出世・金運 ■白→表現力・才能運 ■紫→出会い・恋愛運

「このカラー箔、こちらから提案したこととはいえ、実現するのはけっこう難しくて、何度か校正を繰り返しました。箔の原料はもともとアルミなので、銀色です。そこに色がついているということは、インキを混ぜているということ。

濃い色であればあるほど、インキの量が多いので、箔としては不純物が多いということになります。

そうすると、箔押ししたときに輪郭がシャープになりにくいんです。すっきりした輪郭にならず、ぼやけてたりするんです。並べて比べてみると、白が一番輪郭がシャープで、赤や紫はちょっとぼやけた輪郭になりがちだということがわかると思います。またその見え方を同一にするため、圧や押し方などを調整しています。すごく細かい話ですが(笑)」

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側面には漢字とともに、カタカナで「オオサカジョウ」との表記も。

漢字やアルファベットと異なる印象のあるカタカナの文字列は、ファッション業界でもデザインとして取り入れられるなど再注目されています。

海外のファンも多いアニメのイメージも備え、キャッチーな印象を与えてくれます。

大阪城を象徴するモチーフ選び

大阪城らしいモチーフを選ぶのにもいろんな試行錯誤がありました。

というのも、平等院などと異なり、現在の大阪城天守閣は3代目で昭和6年に鉄筋コンクリートでつくられた新しいもの。文化財的な価値という観点からはモチーフを選ぶことが難しい、という事情がありました。

「大阪城って、中に入るとすぐにエレベーターもあり、中は完全に近代的な展示資料館なんです。僕も大阪出身ですが、おそらく大阪の人たちは大阪城を“文化財的な価値”だけではなく、“面白い、分かりやすい”という視点でとらえているのかもしれません。そういう“ごっちゃ”な気質のある、自由な感覚のなかで進んだプロジェクトだったと思います」

そんな大阪城のモチーフとして選ばれたのは天守閣と、伏虎。

大阪城、みなさん行かれたことはありますか?

外観は、最上部の天守閣は黒い壁面、その下は白い壁面になっているのが特徴的です。これは豊臣秀吉時代の黒漆仕上げの壁と、江戸時代の白い壁を融合させたハイブリッドなデザインなのだといわれています。

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上) 最上部の壁面は黒、それより下は白壁。 写真:©(公財)大阪観光局

この天守閣の最上部の黒壁の四面に金で彫刻されているのが、「伏虎(ふっこ)」です。伏虎とは、獲物を狙うときの、低い姿勢をとる虎のこと。

大阪城と虎の関係についてはある伝説があり、「豊臣秀吉が朝鮮出兵の際に敗戦し、そのまま帰るのは格好がつかないということから、虎を生け捕りにして持ち帰った」という逸話が伝えられています。その虎は大阪城でペットとして飼われることになったとか(!)。

豊臣秀吉とゆかりが深い動物であることから、出世運や勝ち運の象徴ともなっています。一説によると、プロ野球の阪神タイガースのイメージモチーフでもあるとか。。

こうして選ばれた、天守閣と虎モチーフ。

もう1シリーズの大阪城消しゴムにも使われています。

それがこちら「金虎消しゴム」

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こちらは1パターンのデザインで展開しています。

緑の部分は、天守閣の破風と、瓦のラインを組み合わせたものだそう。

こちらも複数の色を使っているのが大阪らしいポイントです。

結果的に「五利益消しゴム」と「金虎消しゴム」の2シリーズになりましたが、当初はその計画ではなかったのだとか。

「当初は、平等院のシリーズのように、箔押しの“柄違い”のような形で4パターンをご提案しました。

打ち合わせをするうちに、できるだけ印象の振り幅のある2パターンにして、それぞれのバリエーションを増やそうというお話になっていきました。

僕たちも、おしゃれでシンプルでかっこいい、というだけでない、少し要素を盛った “ごっちゃ” なデザインも、大阪だからこそやってみたかったんです」

このような経緯で完成した大阪城消しゴム、おかげさまで好評いただき、修学旅行の学生や外国人旅行者にとくに人気だそう。

GRAPHはデザイン提供だけでなく、仕入れから販売までも担当しているので、村部さんもショップに顔を出していて、POPやパッケージなどを含めていろいろ提案しているそう。今後、新しい提案も行っていくそうですよ。

消字率97%を誇り、消しゴムとしての実用性も文句無し。

大阪城天守閣内のミュージアムショップなどで販売中(価格は各350円)ですので、大阪へ行かれたらぜひ手に入れてみてくださいね。


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2019年12月連載開始。Design×Printing=GRAPHを標榜する、グラフ株式会社のことについて、主につづります。おおむね毎週金曜日更新。 執筆者:八木美貴 編集・ライター。 デザインや建築、インテリアなどのジャンルでムックや雑誌、ウェブ等を編集執筆しています。
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