見出し画像

Weekly China 4/12's Articles

皆さんこんにちは!Weekly China編集部です。
第五回目の更新となったWeekly China!来週から新たな企画をスタートします!ぜひフォロー&スキしてください!
記念すべき第五回目の記事は!
①世界最大のユニコーンに立ち向かう中国最大の教育ユニコーン「猿補導」
②「どうぶつの森」、中国でも社会現象に
③新型コロナで追い討ち 広州市、自動車消費促進狙う

世界最大のユニコーンに立ち向かう中国最大の教育ユニコーン「猿補導」

画像1

要点
①「猿補導」はシリーズGラウンドにて10億ドルの資金調達を実施
② コロナショックにより経済が冷え込む中、異例の大型資金調達となる
③ 中国最大の教育ユニコーン「猿補導」に待ったをかける世界最大のユニコーン、バイドダンス
——
  先月31日、中国のEdTech企業である「猿補導」はシリーズGラウンドにて、10億ドルの資金調達を実施し、オンライン教育業界では単一ラウンドにおける最大規模の資金調達となった。今回の資金調達で、「猿補導」のバリュエーションは78億ドルに到達し、中国で最もバリュエーションが高い教育系ユニコーンとなった。「猿補導」はK12向けの教育コンテンツを提供しているEdTech企業であり、現在主要サービスである「猿補導」以外にも、中国のトップ中学や高校のテスト問題、全国模試やセンター試験などの過去問を提供する問題集データベース「猿題庫」、画像認識で類似の試験問題を検索し解き方を教える「小猿捜題」などがある。
  中国では新型コロナウィルスが収束する傾向にはあるものの、コロナショックによる経済打撃で、多くのスタートアップが資金繰りに苦戦する中、「猿補導」は異例となる資金調達となった。もちろん、その背景には新型コロナウィルスの感染拡大により、全国の教育機関が休校を余儀なくされたが、一方で「停課不停学」(学校は止めるが、教育は止めない)の方針により、オンライン教育に対する需要が大幅に高まったことがある。
  今回の資金調達により、一層注目を浴びるのが「猿補導」の一大サービスである「斑馬AI課」だ。AI技術に基づき、2歳から8歳までをターゲットとした学生の学習状況を分析し、国語、英語、思考能力といった三科目を体系的に学ばせる学習プラットフォームだ。現時点で、50万もの有料会員を擁す「斑馬AI課」は、「猿補導」を代表する一大サービスとなり、中国で最も影響力を持つEdTech企業となったが、そこに待ったをかけるのが世界最大のユニコーンである中国・バイトダンス社だ。
バイトダンス社についてはもう説明不要だろう。中国最大のニュースアプリ「今日頭条」や世界最大のショートビデオプラットフォーム「TikTok」を運営する会社であるが、昨年から教育事業の開拓・強化を図り、近日「斑馬AI課」のライバル製品である「瓜瓜龍英語」をリリースした。こちらのサービスは英語に完全特化したサービスとなるが、価格やターゲットカスタマーなど、全てにおいて「斑馬AI課」に近いものとなり、すでに飽和しつつある中国の教育市場に“新参者”として名乗りを上げた。
  新型コロナウィルスによって、業界再編が進む中国の教育業界。そのトップを突っ走る中国最大の教育ユニコーン、「猿補導」だが、それに待ったをかける世界最大のユニコーン、バイトダンス。オンライン教育の春は今後も続く見込みだが、市場の混戦は続く。
*新型コロナウィルスが感染拡大する中、変革する中国のオンライン教育https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00052/00021/?P=2

文/夏目 英男

「どうぶつの森」、中国でも社会現象に

図1

要点
①世界的に大人気な「どう森」、中国ユーザーからも支持を受ける
② 実は正式販売許可がまだない「どう森」、どのように中国ユーザーは買っているのか?
③ ECサイトから突如消えた「どう森」、様々な憶測が飛び交う
——
  1、新型コロナウイルスの影響を受け、世界的に大人気となっているNintendo Switchのゲームソフト「あつまれ どうぶつの森」が中国ユーザーにも大受けだ。筆者のWechatモーメント(LINEのタイムラインの類似する)では、普段ゲームを遊ばない層からも、連日自分の無人島を自慢する投稿や、通信交流のための友達追加コードを共有する投稿、同ソフトが欲しいという投稿などが多く見られた。中国版ツイッターのウェイボーにても、同ゲームの中国語名ハッシュタグがついた投稿が、4月12日時点で3.7億回も閲覧されていることから、注目度の高さが伺える。 また、中国版インスタグラムと表現される小紅書(RED)では、若い女性がメインユーザーである性質上、美容やグルメ、Vlogといった内容が主流であるが、「どうぶつの森」関連の投稿が2000万回以上閲覧されていることから、女性にも人気であることが伺える。これらの背景には、親しみやすいキャラクター、牧歌的なゲーム性、簡単な操作性、通信プレーによる社交性、新型コロナウイルスによる外出減、中国国内におけるスイッチ人気の拡大など、複数の要因があると考えられる。

図2

*小紅書では、KOLによる紹介や攻略動画が多数アップされている

  2、実はこの「どうぶつの森」の最新作、未だ中国では正式な発売の許可はされていない。中国では、ゲームを正式販売する際、国内国外メーカーやコンソールに限らず、規制当局の複雑で厳しい審査を受ける必要があり、時間がかかる上、一年あたりに販売許可されるソフト数も限定されている。そのため、一般的に中国のユーザーがまだ正式販売を許可されていないソフトを買いたい場合は、タオバオなどのECサイトで、海外から輸入してきたグローバル版を買うか、もしくは持っているスイッチが中国国内正規版でなければ、中国国外のサーバーを通して、ニンテンドーeショップでデジタル版をダウンロードすることができる。ちなみに、中国国内版スイッチは、去年末にグローバル版と比べて、2年以上遅れてやっと販売を開始したこと、またニンテンドーeショップでソフトを自由にダウンロードできないなど制限が多いことから、中国内で流通しているスイッチの大部分は、香港版等の国外版であると言われている。

  3、しかし、同ゲームが4月10日より、タオバオなど中国ECサイトで買えなくなったことが話題となっている。理由としては、ゲーム内の自由度が高く、一部のプレイヤーが新型コロナウイルスに関連づけて中国政府批判や香港での抗議活動を支持する内容を書き込んでいたこと、また、通信によって他のユーザーとも交流ができるSNSの要素があるため、反政府の温床になりうるとして、当局が危惧したという見方がある。他にも、販売側がソフトの流通量を減少させることでプレミアム価格をつけるためといった意見も中国国内のネット記事で見られたが、タオバオだけでなく、JD.comやPinduoduo、フリマアプリの閑魚など、あらゆるECサイトから突如一斉になくなったことを考えると、その可能性は低いと考えることができるだろう。ただ、まだニンテンドーeショップではダウンロード出来る状態にあり、グローバル版のスイッチを持っていれば買えそうだ。

  いずれにせよ、「どうぶつの森」のおかげで、中国におけるスイッチのユーザーベースが広がったことは疑いがなく、昨年テンセントとタッグを組み本格始動した任天堂の中国進出に追い風になるだろう。マリオやポケモン、ゼルダだけにとどまらない、任天堂IPの実力を見せつける事例となった。

文/邵鴻成

新型コロナで追い討ち  広州市、自動車消費促進狙う

画像4

要点
①電気自動車メーカーのBYD、エコカー売り上げは-60%に
②自動車消費を促すため、広州市は、購入制限の緩和を発表
③2025年までに世界トップ10入りを目指す中国の自動車産業
——
       人々の健康だけでなく、経済にも大きな影響を与え続ける新型コロナウィルス。特に色濃く影響を受けたとされる自動車産業は、多くのメディアで取り上げられている。電気自動車(EV)などを含む、エコカー市場をリードしていた中国ももちろん例外ではない。

図3

出典:中国自動車工業協会

       中国自動車工業協会や財新データベースによると、今季(1月〜3月)の自動車全体の売り上げは、前年同期比でおよそ半分以下になった。また、中国電気自動車メーカーのBYDは、3月の全体売り上げが大きく減少。前年同期比およそ-35%となった。エコカーの売り上げに限ると前年同期比-60%となった。

図4

世界のEVシェア
出典:Wall Street Journal The Daily Shot

  自動車産業への打撃は中国にとって非常に大きい。2017年4月に中国政府が発表した「自動車産業中長期発展計画」(以下、発展計画)によると、「2020年には中国の自動車ブランドを世界的に有名なレベルに引き上げる」とある。特に、エコカーの分野で世界市場をリードしていくという目標が掲げられている点は、中国の自動車産業を見る上で不可欠だ。
  また、新型コロナウィルスの影響も大きいが、中国の自動車産業は2019年から売り上げが伸び悩んでいる。今回さらに追い討ちをかけられた形となり、自動車産業の盛んな広州市では、ナンバープレート購入制限の緩和が発表された。
  中国では、ナンバープレートは、競売とくじ引きで販売される。平均取引額は、およそ20,000元(約30万円)にも上る。中国メディアの南方週末は、11日のコラムで、自動車産業回復のためには、補助金や値下げよりも、不合理な制限をやめるべきだと指摘している。
  2017年の発展計画には、「2025年までに、世界トップ10の生産販売量を達成する」という目標もある。果たして今回のダメージをいかに乗り越えるのだろうか。

文/田村 康剛
——

By Weekly China編集部
April 12th, 2020

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?