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Weekly China 3/22's Articles

皆さんこんにちは!Weekly China編集部です。
東京では桜が満開となり、春を迎える中、Weekly China第二回目の記事をお届けしたいと思います!

中国におけるトヨタの布石 「自動運転x中国」

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要点
①トヨタが中国の自動運転スタートアップ「Momenta」と
 戦略的提携を行うことを発表
②「Momenta」は高精度マッピング技術を提供し、トヨタのAMP導入をサポート
③「Momenta」以外に、トヨタは「Pony.ai」にも出資しており、中国における
 自動運転技術の開発が急速に進まれている
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  世界最大の自動車市場であり、自動運転技術においても米国に次ぐ中国だが、そこで着実と自社の版図を拡大し続けるのが日本のトヨタ自動車だ。トヨタといえば、2020年に入り、「CES2020」にてスマートシティ構想「コネクティッドシティ」や、中国・天津市において1300億円投じ、電気自動車(EV)など環境対応車を生産する工場を建設する計画を発表するなど、日本企業としてはかなりアグレッシブなアクションを起こし続けているが、3月18日には新たに中国の自動運転スタートアップ「Momenta」と戦略的提携を行うことを発表した。
  「Momenta」は中国初となる自動運転分野のユニコーン企業であり、深層学習に基づいた環境認知や、高精度マッピング、運転行動の決定アルゴリズムなどの開発をしている。今回の提携において、「Momenta」はトヨタに高精度マッピング技術を提供し、トヨタが開発する自動地図生成プラットフォーム(AMP)の開発と中国における導入をサポートする。AMPの中国市場導入は、トヨタにとってマッピングデータの蓄積と自動運転技術の開発加速、そしてさらなる市場拡大を意味するだろう。
  実際、トヨタが中国における自動運転の布石は「Momenta」との提携のみならず、2月26日には全世界で最もバリュエーションが高い、自動運転分野のユニコーン企業「小馬智行」(Pony.ai)にもシリーズBラウンドで4億ドル出資している。自動運転技術の開発において、キーポイントとなるのが公道における走行試験の実績だが、昨年、米カルフォルニア州における走行実績のデータを見ると、米アルファベット傘下のウェイモが約202万キロと単独トップの距離を誇り、以下7社も米国の企業であるが、それから「百度」(バイドゥ)やトヨタが出資している「小馬智行」(pony.ai)などといった中国企業がランクインする。依然として自動運転領域においては、米国が一歩先をリードするが、法整備や制度上の問題などもあり、その点をクリアできる中国は米国にとって脅威となるだろう。
  トヨタは中国の自動運転分野におけるトップティアのスタートアップと手を組むことにより、アジアにおける自動運転領域のプレゼンスを高めている。また自動運転に限らず、トヨタは19年4月に中国・清華大学とクリーンエネルギーなどの共同研究を行う「清華大学―トヨタ連合研究院」を立ち上げ、同年7月には中国配車サービス最大手である「滴滴出行」(Didi)とモビリティーサービスを展開する合弁会社を設立している。

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写真はバイドゥ社の無人運転車「Apollo」。中国の河北省雄安新区では、一般客でもApolloへの試乗が可能。

ニンテンドースイッチの2作品が新たに中国で正式販売

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要点
①ニンテンドースイッチのソフト二作品が新たに中国市場で正式販売を開始
②昨年提携を結んだ任天堂とテンセント。テンセントとしては、任天堂の力を
 借用し、欧米コンソールゲーム市場を攻めたい
③Weibo上では、テンセントが任天堂の京都本社にマスクを送ったことが話題に
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  任天堂が中国における販売代理店契約を結んでいるテンセントは、3月10日、規制当局から新たにニンテンドースイッチ用のソフト2作品の販売許可を取得し、16日に販売を開始した。国内外のゲームを問わず、中国内で正規販売する場合は、規制当局の審査を受けなければならない。昨年10月に販売許可を得た1作品を加えると、合計で3作品が中国市場で正式に販売されている。しかし、任天堂が中国市場で十分にその力を発揮出来るかは定かではない。というのも、ソニーのPS4を含むコンソールゲームに関しては、当局による許可が少なく、2017年に販売許可を得た海外ゲーム464本の中で66本、2018年は審査作業自体が長らく止まっていたため、全体で53本、コンソールゲームに限っては2本のみ、2019年は全体が185本に対し、14本という状況だ。任天堂が豊富なソフトラインナップを持っていたとしても、十分に展開できない可能性がある。
  任天堂としてはテンセントの中国市場での販売ノウハウをもとに、世界最大のゲームマーケットに進出したい考えがある一方、テンセントとしては、当局による規制リスクがある国内ゲームマーケットのリスクヘッジとして、任天堂のIPやコンソールゲーム制作のノウハウを活用し、欧米のコンソールゲーム市場に進出したい考えだ。テンセントはFortniteを代表作とする米国企業Epic Gamesなどにすでに投資をしている。
  そんな中、今週Weibo上では、テンセントが任天堂の京都本社にマスクを送ったことが話題に。マスクが積まれたダンボールには「日本加油」(日本頑張れ)と「瀬を早み岩に瀬かるる滝川のわれても末にあはむとぞ思ふ」という百人一首が書かれていた。そこからは、急流が岩にせき止められて二手に別れても、また合流して一手になるという歌意のように、新型コロナウイルスの危機によって、仮に両社の協業が一時停滞したとしても、重要パートナーとしての関係性は損なわれないというテンセント側の強いメッセージが読み取れる。

図2

テンセントが任天堂の京都本社に送ったマスク

新型コロナで新サービス展開 Didiの「パシリ」サービス

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要点
①新型コロナで、運転代行サービスに大打撃
②一方、買い物代行サービスの需要増
③Didiは、今年4月から大阪でフードデリバリー事業開始
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 新型コロナの大流行で、中国では買い物代行サービスの需要が高まっていた。中国大手配車サービスの滴滴出行(Didi)は、試験運用をへて、代行サービスを中国の上海や広州、深センなど、21の都市に展開した。テック系メディアのTechnodeなどが、先週伝えた。
       新型コロナの影響で、配車サービスの需要が激減。36Kr Japanによると、買い物代行は、現在、運転代行の登録者が行なっている。仕事のない運転手を、需要が高まる買い物代行サービスに回した。今後は、サービスの需要にあわせ、買い物代行専用の運転手を募集する予定。
       Didiによると、買い物代行サービスは、新型コロナが流行してから始めた新事業。まずは、杭州や成都などを対象に試験運用を始めた。現在では、上海、広州、深セン、重慶、南京を含む21の都市でサービスを展開している。
       買い物代行サービスでは、コーヒーのテイクアウトや野菜、薬品などを頼める。距離と商品の重さによって代行料金は変わる。たとえば、杭州では、5kg以内の商品の場合、4km以内が12元(約190円)、4kmを超えると1kmあたり2元(約30円)が追加される。
       報道によると、Didiの担当チームは、1週間で事業立案からビジネス開始にこぎつけた。
       Didiは、今年4月から大阪でフードデリバリーサービスを始める。在宅勤務など、外出を控えるようになるとサービスの需要が高まるとみられている。
       Business Insiderによると、Didi広報は、「2強と言われる(フードデリバリー業界)の中に競争原理をつくりたい。我々の参入によって市場のサービス品質、価格、透明性があがる」と話している。
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By Weekly China編集部
March 22nd, 2020

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