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マーケ担当者の錬金術:返済不要の補助金を賢く使え(中小企業向け)

みなさんこんにちわ。tohari.です。
マーケ施策を考えている時、「予算がもっとあれば・・・」と思ったことありますよね?

特に中小企業であれば予算もあまりないですし、大企業でもあればあるだけ使いたいのが実情だと思います。予算がない時は普通は施策を諦めることになりますが、でも予算がなくても他から調達する、という手段もあります。

調達手段の代表は銀行からの借入になりますが、これだと普通はマーケ担当では手がつけられませんね。でも最近だと国や自治体が実施している補助金・助成金が結構充実していますし、他にもクラウドファンディングというやり方もあります。

そこで今回は、マーケ担当者でも取り組むことのできる(と言いますか、知っておくべき)、返済不要の補助金(中小企業向け)についてご紹介していきたいと思います。


マーケ担当が資金調達???

話を聞いてそう思った方も少なくないかもしれませんね。
そうですね、一般的にはマーケ業務と資金調達業務は別の職務、担当になると思いますが、でも返済不要のお金を調達できるなら、経営者にしたらこんな嬉しいことはありませんので、「やれる人がやってよ!」という感じだと思います。また調達したお金は販促に使えるので、マーケ担当者にとってもメリットは大きいです。

ですので、あなたが資金調達もできるマーケターになればいいだけのことです。そんな人なかなかいないので、まさにスーパーマーケターですね。

知識のない方でもこの記事を読んでいただければ、販促に使える補助金の内容・ポイントを簡単に掴むことができます。
そしてチャレンジしてみたいということであれば、もちろんご自身でも可能ですし、面倒であれば筆者の方でもサポートさせていただくこともできます。

補助金は申請すれば必ず通るものではありませんが、決して狭き門でもありませんし、採択されればそれなりの額が返済不要で取得できます。
リスクは少なくメリットの大きな取り組みですので、本記事をご覧になって該当しそうな計画があればあればぜひ積極的に検討されることをお勧めいたします。


補助金と助成金の違い

今回の記事では補助金に絞ってご紹介いたしますが、よくセットで言われるものとして、助成金というものもあります。まず最初にこの2つの違いについて簡単に触れたいと思います。補助金と助成金は似ていますが、管轄行政や対象活動、採択率、受給しやすさなどが異なります。


補助金

国が行う補助金の管轄機関は経産省(主に中小企業庁)になります。補助金は国の政策目標に沿った事業を行う個人事業主や法人(中小企業中心)などに支給するお金であり、スモールビジネス事業者にとって心強いサポートをしてくれる制度です。予算が限られていて、要件を満たしていても採択されない場合もあります。募集期間も限られており、事業活動を行う前に申請して採択されるのを待つ形になります。
管轄が経産省ということからもわかるように、基本的に事業継続や拡大に対する支援ですので、マーケ担当者が知っておくべきはまずは「補助金制度」になります。
詳しくは後述します。


助成金

一方、助成金の管轄は厚労省になり(国の場合)、その対象は雇用や業務環境改善を目的としたものになります。助成金は対象者や対象活動などの基準を満たしていればほぼ100%受給でき、随時募集されていることが多いため、受給しやすいといえます。
助成金の主なものとしては、以下があります。


業務改善助成金
業務改善のための設備投資に対して、設備機材の購入、広告販促、工事、研修、ITツール導入、システム開発、車やPCの購入などが助成対象になります。広告販促が入っているので、こちらもマーケ担当者に少なからず関係がありますが、「最低賃金の引き上げ」という条件があるので、マーケ部門単独では進めづらい特徴があります。


人材開発支援助成金
事業内の職業能力開発計画を立て、 計画に沿って従業員に職業訓練を実施する事業主等を支援する制度です。 例えばマーケ業務関係であれば、SNS研修なども助成対象となるので、もちろんマーケ部門にも関係はありますが、ベースが社員教育になるので、多くの担当者にとっては少し業務外になるのかなとは思います。

ちなみに国や自治体には中小企業が活用できる補助金・助成金制度が本当にたくさんあり、その数なんと8,000種類だそうです。
もちろん筆者も多くは把握しきれていませんが、国と地方自治体、どちらが狙いどころかというと、やはり国です。
支給額が大きく、適用範囲も広いからです。

本記事では、これらの中で「マーケ業務に使える2大補助金(中小企業庁)」についてご紹介していきます。


(1)事業再構築補助金 → EC事業の立ち上げに使える!

補助金上限:1.5億円
補助率:1/2-3/4
採択率:40-50%


中小企業庁及び独立行政法人中小企業基盤整備機構が実施している補助金制度です。補助率は予算の3/4を上限に最大1.5億円の補助が受けられる大型補助金です。昨今の社会・経済情勢の激変によって、売上や利益が下がった「中小企業・個人事業主」を対象とした制度です。基本的には新規事業のための初期費用が対象であり、その中でも建物の建設・改装費や機械装置等の設備投資、システム導入費が補助対象です。一定期間内に使用する予定の広告宣伝費や研修費も対象となります。

マーケ業務との関連で言えば、「EC事業の立ち上げ」はまさにこれに当てはまります。物販でなくても例えばオンライン教室などのサービスでも大丈夫です。サイト構築(サイト制作、ECツールASP含む)からリリース後の広告宣伝費、EC担当者の研修費まで全て補助金対象となるので、申請しない手はないと思います。


採択事例

1:居酒屋店経営
オンライン専用の注文サービスを新たに開始し、宅配や持ち帰りの需要に対応。

2:衣服販売業
衣料品のネット販売やサブスクリプション形式のサービス事業に業態を転換。

3:ヨガ教室
室内での密を回避するため、新たにオンライン形式でのヨガ教室の運営を開始。

4:伝統工芸品製造
百貨店などでの売上が激減。ECサイト(オンライン上)での販売を開始。


対象となる費用例

  • 建物費(建物の建築・改修・撤去費用や賃貸物件等の原状回復の費用)

  • システムの購入・開発、リース費用

  • 販売促進費用・広告宣伝費用

  • 外注費(制作、設計等)

  • 教育訓練費、講座受講等の研修費


対象とならない費用例

  • 不動産や株式、公道を走る車両の購入費

  • 機械装置(工作機械、キッチン機材、POSレジなど)

  • パソコン、スマートフォン等、汎用品の購入費

  • フランチャイズの加盟料

  • 仕入れ・材料費など

  • ランニングコスト(賃料、消耗品費、水道光熱費)

  • 社内人件費


ちなみにここで少し補足ですが、対象となる費用例のうち、必ず申請時に含まれていなければならないものがあります。それは「建物費」「システムの購入・開発・リース費用」「外注費(制作、設計等)」のいづれかです。これらがない状態で、「広告宣伝費」や「教育訓練費」だけを補助金申請しても採択はされません。

また、WEB制作を社内のプログラマやデザイナーが行った場合、そのコストは人件費となりますので、やはり補助金対象とはなりません。
あくまでも外部に支払った費用が対象となりますので、ご注意ください。


申請にあたっての注意事項

1)申請期間は年間で12-13回程度に分かれており、公募期間に沿って申請する必要があります。
具体的な公募機関は中小企業庁のホームページで確認することができますが、期間ごとに予算が分かれており、申請→採択されます。行政機関の年度は4月-3月なので、毎年大体2月くらいが最終公募になります。

2)申請にあたってはGビズプライムIDが必要です。
GビズプライムIDとは、1つの1つのID・パスワードで様々な行政サービスにログインできるアカウントで、申請時にはこれを取得する必要があります。
これは電子申請に必要なもので、特に難しいことはありません。以下より取得ができます。
https://gbiz-id.go.jp/top/

3)事業計画書を認定経営革新等支援機関に確認してもらう必要があります。
申請書類の1つに「事業計画書」があります。これはその事業の売り上げとコストの計画がまとめられた資料になりますが、例えばEC事業ならその立ち上げに対して計画があると思いますので、基本的にはそれが活用できます。但し作成した事業計画が「認定経営革新等支援機関」の確認を受けている必要があります。「認定経営革新等支援機関」とは、中小企業等経営強化法において国から定められた機関のことで、以下のサイトから検索することができます。

ですので、申請前には共同で事業を進める認定経営革新等支援機関を選定しておく必要があります。

4)申請は新規事業の途中からはできません。
費用が発生する前に申請し採択された後に事業に取り組む必要があります。

5)補助金はあくまで後払いです。
実際の給付は事業立ち上げ後に報告をするのですが、その報告書が出された後になりますので、最初は自己資金が必要です。


ちなみにこちらから中小企業庁が出している「事業再構築補助金の概要」資料が入手できます。
ご興味のある方はご覧になってください。

https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/download/summary010.pdf



(2)IT導入補助金(デジタル基盤導入枠) → ECサイトリニューアルや動的機能を持ったWEBサイト制作、飲食店のセルフオーダーツール導入にも使える!

補助金上限:450万円
補助率:1/2-3/4
採択率:70-80%(2023年度のこれまでの実績)


IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等の労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDX等に向けた ITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入を支援する補助金です。独立行政法人中小企業基盤整備機構より採択され、当機構および中小企業庁監督のもとTOPPAN株式会社が事務局業務を運用しています。対象となるITツール(ソフトウェア、サービス等)は事前に事務局の審査を受け、補助金HPに公開(登録)されているものとなります。

また、補助金申請者(中小企業・小規模事業者等)は、IT導入補助金事務局に登録された「IT導入支援事業者」と一緒に申請することが必要となります。IT導入支援事業者とは、ITツールの導入を支援する外部委託会社のことであり、ITツールの説明、導入、運用方法の相談等のサポート、及び補助金の交付申請や実績報告等の事務局に提出する各種申請・手続きのサポートを行う事業者です。

このIT導入支援事業者も予め国から認可を受けている必要がありますが、基本的には申請すれば大きな問題がない限り認可されますので、ITツールの導入を受ける会社が決まっている場合には、その会社に事前に認可を受けてもらうか、また時間的余裕がない場合には、すでに認可を受けている会社を含めた座組を組む必要があります。

なお、IT導入補助金には4つの種類があり、それぞれ以下のような特徴があります。

この4つのうち、主にマーケティング(顧客獲得)に使えるものは「デジタル基盤導入枠」になります。補助率や採択率が高いのが特徴です。

ECサイトの構築なども適用されます。事業再構築補助金でもECサイト構築が対象に入っていますが、事業再構築補助金の場合には、それまでの既存ビジネスの売上が下がっているやEC事業を新たに始めるなどの条件がありますが、IT導入補助金のデジタル基盤導入枠ではそういった条件はなく、リニューアルなどにも使えますので、だいぶ使いやすい補助金と言えます(但し同ツール導入によって、何かしらの生産性向上は求められます)。


デジタル基盤導入枠の補助対象

デジタル基盤導入枠の補助対象は以下のとおりです。

ここで必須対象となっているSW(ソフトウエア)について補足します。表上では「会計」「受発注」「決済」「EC」の4つが上がっていますが、そのほかにも、例えば動的機能を持ったWEBサイトであれば補助金対象となります。

動的なWEBサイトとは、専門的には文章や画像がアクセスする毎に変わり、ユーザーに適したHTMLファイルが都度サーバ側で作られるWEBページのことになりますが、わかりやすく言うと、カート機能ログイン機能会員機能サイト内検索機能口コミ投稿機能見積もり自動生成機能、予約機能などがあれば、そのWEBサイト制作は補助金対象となります。

またこれらを必須条件として、様々なオプション、役務、HW(ハードウエア)なども補助対象となりますので、かなり使える補助金ではないかと思います。


採択事例1:醤油醸造会社

顧客情報の管理業務などに時間が掛かり、従業員の退社時刻が遅くなるのが課題だった。RPAを課題解決につなげるため、2019年に導入。経験豊富なベテランのアポイントメントの頻度や優先順位を数値に置き換え、それを顧客リストに組み込むことにより、訪問優先度の高い顧客を自動的にリスト化できるようになった。 導入前後の1年間を比較すると、従業員の残業時間が1人当たり月3時間6分減少。顧客と親密に会話する時間が増えたことが売上げと仕事に対するモチベーション向上に貢献した。


採択事例2:飲食店(焼肉店)

同店舗では人手不足の解消をきっかけに、セルフオーダーツールの導入を決定。顧客が自ら画面からオーダーし、その情報が厨房に届くので、正確さ・スピードが向上。
スタッフは料理を運ぶことや接客に専念でき、聞き間違いがなくなった。6人必要だった現場が5人で回せるようになった。シフトの自由度が増し、ランチ営業を再開できる見込みが立った。


採択事例3:地域に電子地域通貨+個店に分析アプリ

某商店街協同組合では、クーポン機能やプリぺイト事業を統合した新たな電子地域通貨を導入。この電子地域追加の導入により、住民に対して利便性の高いサービスを提供するとともに、地域のデジタル化やスピーディーな決済、業務効率などを実現し、労働生産性の向上に取り組んでいる。また、従来の新聞折込では届かなかった情報をアプリで配信したり、加盟店マップに掲載される店舗情報からも来店者を呼び込み、売り上げ増加を見込んでいる。


まとめ

いかがでしたでしょうか?
中小企業、小規模事業者のマーケ担当者であれば、「事業再構築補助金」「IT導入補助金」の2つは是非抑えておいた方がいいです。これら2つの補助金は、共に中小企業庁が管轄で、毎年4月-3月の会計年度ごとに更新され、新たな条件や補助金額などが設定されます。本年度はあとわずかですが、おそらくは最終2月くらいまで公募があると思いますので、計画のある方はぜひ以下のWEBサイトチェックしてみると良いと思います。


また筆者の方でも補助金導入をサポートをしておりますので、お気軽にご相談いただければと思います。


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