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【入試英作文対策】5000人 の答案添削から見えてきた攻略法

この記事では、大学受験生に向けて自由英作文の攻略方法を解説します。一般の英語学習者にとっても、大いに参考になると思います。今回のテーマは助動詞。意見を述べたり、円滑なコミュニケーションに、とても大切なんですよ。


プロフィール

私eTeacherは40年近く、主に高校生、そして予備校生や大学生に英語を教えてきました。高1や高2生を担当していた期間を除けば、20年以上、進学校や中高一貫校の高3生、予備校生の大学受験指導をしてきたことになります。のべ5千人以上の受験生の答案を添削してきました。現在も、大学と予備校で英語を教えています。

大学入試の英作文とは?~中学英語の延長線上~

大学入試で英作文が登場するのは、各大学の個別試験(2次試験)です。読解問題は配点も高く対策もよく行われるものの、読解ほど配点が高くないけれど、差がつくのが英作文とリスニングです。

英作文は、みんな苦手です。でも、皆さんが思っているほど、ハードルは高くありません。実は、大学入試の英作文に求められるのは、「中学レベルの英語を、(ある程度)きちんと書けること」だからです。中学レベルですよ!実際、東大や京大の合格再現答案は、みな中学英語プラスアルファです。難解な単語やフレーズを使う必要はないのです。読むために必要なレベルと、書くために必要な英語のレベルは、大きく異なるのです。

英作文の指導をしていて感じること~シンプルな英文をストックから引き出す、英作文は「英借文」~

多くの生徒指導の中で感じることは、英作文が上手い生徒ほど、独自表現が少なく、シンプルな文をつくること、同時に英文のストックを沢山もっているということです。

ストック量としては中学3年分の教科書を暗唱できるまで読み込むくらいは必要です。単語の使い方、フレーズ、英文をまるごと、脳内にストックすることが大切なのです。あとはそれを小出しして、使えばいいだけ。英作文は「英借文」です。

多くの大学では、それほど長い英文を要求されることはありません。様々なテーマについて、80~100語程度の英文を、書く練習をしましょう。自由英作文には典型的な「型」がありますよね。妙なこだわりを捨て、テンプレート通りに書くのです。その意味では、ここでも「英借文」ですね。

時間をかけすぎない、というのも大切なポイントです。東大受験生にいつも言うのは、いかに短時間で、シンプルでわかりやすい英文を書けるか、がポイントということです。内容的に新鮮味がなくても、一読して、なるほど、筋が通っている、と採点者が思えば、合格できるのです。水のように、サラッとした英文で良いのです。採点者が知りたいのは、あなたの独創的なアイディアではなく、英語の力なのですから。


英作文を助けるキーアイテム~助動詞~

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【使いこなせないのは、あまりテストに出ないから】

正直言って,大学入試の文法・語法問題(いわゆる4択問題)では助動詞はそれほど多くは出題されません。
高校では、あまり時間をとって教えません。だから、助動詞に対して苦手意識を持っている人はそれほどいないはずです。でも実は、助動詞は英作文や会話において、とても重要な役割をはたします。そのことに気づいていないだけなんです。

【助動詞は気持ちやニュアンスを伝える~助動詞はフレーズストックの宝庫~】

コミュニケーションにおいて、助動詞がとても大切なのは、それが書き手や話者の、気持ちを伝えるものだから。細かなニュアンスを伝えるために、助動詞は欠かせません。もし、助動詞を使わないで、英語を書いたり話したりしたらどうなるでしょう。「~する。」「~だ。」と、断言・決めつけばかりになってしまいます。現在時制はFacts(事実)を表すものです。日常会話で、私たちはできるだけ断言や決めつけを避け、相手に柔らかく伝えようとしますよね。そうしないと、円滑なコミュニケーションが成立しないし、人間関係もギスギスしてしまいます。

例えば,You, open the window. と言われるより、Will you open the window?の方が、そしてWill you open the window?よりWould you open the window?やCould you open the window? の方が、言われて気分がいいし、自然ですよね。


助動詞を日本語に置き換えようとしても無理

英語は日本語から遠い遠い言語です。世界の切り取り方も、時間の切り取り方も大きく異なります。だから、英語の単語と日本語の単語は1対1には対応しません。単語に載っているのは、日本語ならこの言葉に近い、という訳語のサンプル集です。だから、翻訳家は辞書に載ってない意味で訳したりもします。助動詞はその最たるものです。日本語の訳語だけで、覚えたり、使おうとしても、無理なんです。


【英語の助動詞をマスターするために】

助動詞は気持ちを伝えるもの。だから、会話文をたくさん聞いたり、読んで、実際に、どんな状況で、どのように使われているのか、触れるのが、上達の近道です。小説や物語・戯曲が良いのですが、残念なことに、今どきの大学入試の英語読解は、ほとんどが論説文。かつてのように、小説や物語は出なくなりました。そこで、おすすめは、図書館にある多読教材 Graded Readersです。辞書を引かなくても読めるレベルの、できればその物語の内容を知っているものを選んで、読んでみてください。生き生きとした助動詞の使い方に出会えるはずです。センター試験の過去問なら、2007年度までの最後の長文問題を読んでみましょう。ほっこりとした内容の物語文で、ちょっといい話ばかりです。


助動詞活用の事例

自由英作文の指導を長年していていると、多くの人に共通する問題点に気づきます。時制、名詞の可算・不可算、冠詞、接続詞の使い方等々、さまざまです。そうした文法・語法的な間違いと共に、とても気になるのが、助動詞を使わない、使えない人が多いということです。

【自由英作文の形式」
自由英作文の出題形式はいくつかのタイプがあります。自分の意見を述べたり、賛成・反対を述べるもの。様々なことや体験、あるいはグラフ等を説明させるもの。読解や対話文中の空所を文で埋めるもの。そして、テーマやイラストに沿ったストーリーを創作させるもの。ほぼ全てに共通するのは,与えられたテーマや情報について解釈し、論述すること。つまり、「もしも~なら、・・・となるだろう。なぜなら・・・だから。」の世界です。

【自由英作文の問題例】
例えば、スマホの校内持ち込みについて賛否を問われたとします。先ずは賛成か、反対を述べますよね。次に理由です。よくある答案の例を挙げてみましょう。

【自由英作文の解答例】
Students should not be allowed to bring their smartphones to school. If students have smartphones with them、 they use them during class. Smartphones prevent students from studying ...

どうでしょう。しっかりした英文です。でも、この英文はこんなふうに聞こえます。

「スマホの学校持ち込みを許可してはダメです!」「持ち込みを許すと、全ての学生(生徒)が授業中にスマホを使います!」「スマホは、必ず、学習の妨げとなります!」

気持ちはわかるけど、もう少し冷静に、って思いませんか。ちょっと不自然ですよね。少し添削してみます。

【自由英作文の解答例2】
I think students should not be allowed to bring their smartphones to school. If students have smartphones with them, some of them will use them during class. Smartphones might prevent students from studying ...

どうでしょう。今度は、落ち着いて、知的な感じがします。
違いが分かりますか?入試とは、「あなたがいかに知的な人物であるかを答案に表現する場」です。日本語にせよ、英語にせよ、「自分の言葉で」それを表現するのです。
入試自由英作文は、シンプルな論理・シンプルな英語で答えるのがこつです。それは、口頭意見発表の台本を書くようなもの。だからこそ、助動詞を使うと、採点者が、もっと共感しやすい英文になりますよ。


まとめと次回の予告

助動詞の大切さについて、おわかりいただけたでしょうか。でも、厄介なのは、過去形が、必ずしも過去を表すわけではない、ということですね。ここで、つまずく人は多いです。「できた」= couldといつも書いてしまう人とか。そして、助動詞の過去形と言えば、あの忌まわしき「仮定法」です。

次回は その仮定法や、個々の助動詞について、間違いやすいポイントを確認していきましょう。では、みなさん、もっと英語を楽しみましょう。
お楽しみに。

【おすすめの参考書】
世界で最も売れている英文法書であり、私が全ての英語学習者におすすめする,Raymond Murphy著のEnglish Grammar in Use では、日本の文法書とは比較にならないほど、多くのページを助動詞に割いています。つまり、英語を使う時にはとても大切なもの、でも我々日本人は軽視しているもの、それが助動詞なのです。

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