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フリーランスの生存戦略

2024年5月22日放送、ディレクター不在の現場で「ディレクション業務“も”担う」デザイナーやエンジニアに向けたライブ配信番組「#ディレQ」のアーカイブです。音声&テキストでお楽しみください。


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フリーランスのグラフィックデザイナーさんから寄せられたお悩みです。

クライアントから相談はコンスタントにいただくのですが、仕事にならない(お金にならない)ことが多くて悩んでます。相談を仕事に繋げるコツがあればお聞きしたいです。

今回のお悩みは、オンラインセミナーの参加者の方からX(Twitter)のDMでいただきました。「ディレクションのお悩みじゃないかも…」ってご本人は気にされてましたが、私自身、会社設立前はフリーランスのWebディレクターとして活動していた経験があるので(あくまで個人的な経験に基づいた回答ではありますが)じっくり向き合いたいと思います。

フリーランスで独立した当初、技術も経験も資金もコネクションも無かった私が積極的に行っていたのが「クライアントへの提案」です。それは、広告費をかけないで(自らの工数の持ち出しのみで)できる唯一の営業行為でした。

同業者が数多いるウェブ業界で、フリーランスで食っていくためには「仕事が舞い込んできたらいいな」って運を天に任せるのではなく、自らの手で「仕事を生み出していくぞ!」って姿勢で挑んでました。それこそ「降りてくるのを待つ」ではなく「自ら手を伸ばして掴みにいく」感じです。

当時、フリーランスのウェブ制作者の多くは「Webデザイナー」を名刺の肩書きにしていましたが、私は「Webディレクター」を肩書きにしていました。それは「(デザインに限らず)ウェブに関する相談は何でもお気軽にどうぞ」という意思表示であり、クライアントの相談の間口を広げるためのいわば生存戦略のようなものです。おかげで、様々な業種業態の企業から相談の声がかかりました。

私のもとにやってくる相談のほとんどは「ウェブサイトを制作してほしい」といった要件のハッキリした依頼ではなく、「ウェブを活用して何かやってみたいんだけど…」といった抽象度の高い相談でした。モノづくりを請け負うクリエイターからすると「仕事にならないのでは?」と敬遠したくなるような状態かもしれません。

私の周りのフリーランスのクリエイターは、「プランが固まってから(要件が定まってから)」の依頼を仕事の対象としていましたが、私は「プランが固まる前段階から(要件が定まる前)」の相談に率先してアプローチしていました。

例えば、「店舗への来店数を増やしたい」とクライアントから相談がきたとして、そこに貢献できることを考えて、提案してみる。クライアントが「それやってみたい!」って期待値が高まれば、実行に向けた予算や条件面の話へと展開できます(仕事になります)。

中には、折り合いがつかず(予算や条件が合わず)話が流れてしまうこともあるかも知れません。しかし、提案がムダになるか?と言えばそうとも限りません。その提案は(時間が経ってから)仕事に繋がることもありますし、なにより「困った時に相談したら、前向きな提案をしてくれた」という事実がクライアントの中でしっかり刻まれます

「いちフリーランス」の存在から、「積極的に提案をしてくれるフリーランス」への変化。それは価値の転換です。

「積極的な提案」は、やろうと思えば誰もが行えることではありますが「仕事にならないかもしれない...」「ムダになったらもったいない…」という判断で(依頼以外の相談には)提案しないスタンスの同業者も多く存在します。周りがやらないから私もやらない…ではなく「むしろ私は積極的にやる!」が、結果として希少価値を育んでいくと私は思っています。

ちなみに、クライアントに差し出す提案自体に即対価を求めるケースもありますが、それはクライアント側が提案を求めてきた場合の話。私が行ってきた提案は、あくまでいち事業者としての営業行為であり「相談に対して(求められてないのに)提案しちゃう」モードの実践です。目先の利益を追うのではなく、お互いの関係性を深めてロングテールな利益を育むことを前提とした取り組みです。

最後に、あくまで個人的な意見にはなりますが、いち事業者として「このクライアントさんの仕事は絶対にやりたい!」って思える取引先企業には、逆に「エンタミナを選びたい」と思ってもらえるよう、日々クライアントにとって価値ある「提案」を追求しています。その追求こそが、自分たちが普段から取り組むべき「営業行為」だと捉えています。

今回のお悩みに対するアンサーは、どちらかというと私の個人的な経験談をベースに回答しましたが、ヒントにしていただけたら嬉しいです。

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