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「言われたことだけやってちゃダメ」を紐解く

巷では「言われたことだけやってちゃダメ」とよくいわれる。とくに新人さんは、ここで大いに悩みがち。

指示を受けた時、真面目な方であればあるほど「言われたこと」を尊重し、忠実に従おうとする。相手の意向を無視するなんてナンセンス、逸脱しようなんぞとは考えない。

しかし、先の「言われたことだけやってちゃダメ」を紐解いていくと「言われたことだけに収まっていてはダメ」にたどりつく。であるなら「言われたこと」を目指すゴールとするより、スタート地点のキッカケとして向き合うほうがいい。

オーダーに「求められるすべて」が網羅されていれば、それに応えるだけでも成立するが、無から有を生み出すクリエイティブワークおいては、指示内容に求めることを100%網羅しきるのはなかなか難しい。相手がコンテンツ制作に不慣れなクライアントの立場であればなおさら、要望も抽象的になってくる。だからこそ「ディレクターが必要」なわけで、そこでの寄り添い方ひとつでディレクター自身の存在価値も変わる。

そもそも「プロに依頼する」という状況で生じる指示には、「守ってほしいこと(既知の要件)」と「考えてほしいこと(未知の提案)」のふたつのニーズがある。前者が破ることが許さないルールなら、後者は指示に応える側に許された「余地」。要望が抽象的ならなおさら、その余地はたっぷりある。

だからといって、何でもありではない。
的外れなアンサーを返すことで相手の意向に沿えない(外しちゃう)こともある。けど、その余地は「期待の現れ」でもあるわけで、そこへのアンサーは先の存在価値のレベル感をも変える。

よって、「言われたこと」をゴールとするより、それはあくまでスタート地点のキッカケとして向き合ったほうがいい。「逸脱せよ」とまでは言わないが、相手に差し出すアウトプットは、期待に応える(もしくは期待を超える)サプライズの瞬間でもある。

P.S
ちなみに「言われたこと“だけ”やって」の場合、それは(上記とは)まったく性質が異なる話なので注意。


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