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今年の6月に受けた右胸全摘手術の経過はとくに問題なく、今後は近隣のクリニックで定期健診を受けてください、という流れになった。

近隣のクリニックはどこでも良いらしいが、せっかくなら今の乳腺外科の先生(担当医とは別)が週1回診察に行っているというクリニックを紹介してもらうことにした。

その際、受け取ったクリニックへの紹介状は会計のときに一緒に封緘されるとのことで、会計を待っている間、手元にある紹介状の文面をなんとなく眺めていた。

記載されている癌の大きさ「5.0×1.6×1.4cm」に改めてビビる。「腫瘍は全体に広がっており」という表現にも粟立つ。

ほんと、運が良かったと思う。これが非浸潤性の段階でなかったらと想像するとかなりおそろしい。


他の癌はよくわからないけど、乳癌にかんしては、乳管にとどまっている限りはどんなに大きくてもステージ0という扱いらしい。

そして、ステージ0であれば切除してしまえばその後はとくに問題がないのが一般的のようだ。

わたしも、術後1週間してから腕が上がらない問題があったが、それも最近ではかなり改善されてきたし、術後の経過は順調そのもの。
そもそも手術時間も2.5時間とわりと短く終わってたし、入院期間も最短の1週間キッカリ。入院中も食事はすべて完食、ストレッチしてリラックス三昧で過ごすなど、ほぼストレスフリー。
なんだか、がん経験者ですというのがちょっと憚れるくらいの軽い(?)もので終わった。


この運の良さは、自治体からの検診クーポンを使って受診したクリニックの先生のおかげであるわけだけど、いま思うと、多少は自分の行動もその運の良さにたどりつく経緯をたどっていたかなとも思う。
”運にたどり着く努力”と表現するのはちょっと大げさだけど、でも、自分の行動も間違いなく貢献していた部分はある。


そもそも、10年以上前にレディースドックを受診した際に右胸の石灰を指摘されていた。そのときのマンモトーム生検の結果は良性だったので、それ以上はとくに何もしていない。
そして、それから毎年欠かさずドックを受けていた。

ちなみに、最初にレディースドックを受けたのは確か32、3歳くらいで、一般的な受診年齢よりちょっと早い。
なぜそうしたかの理由はとくになかったけど、単なる興味本位となんとなくの防衛本能(?)だったように思う。

健康診断に比べると人間ドックは検査項目が多い分、当然、費用もそれなりにかかる。
正直、金銭的にそれほど余裕があったわけではないし、石灰の状態もひどくなるわけでもなく消えるわけでもなく、なんの変化もないので、2年に1回ペースでいいか・・と思ったこともある。

けど、結局毎年ドックを受けていた。やはり、なんとなくの防衛本能というか。

元々、わたしはいまの仕事に就く以前は、経理・財務畑中心、会社の内部統制を評価する仕事などもやったりしていた。いわゆる管理部門。
この分野に携わっている方なら容易に想像できると思うけど、仕事の性格上、「なにも異常がないこと」が前提の「ないこと確認」のために時間とお金を使う特殊性がある。

そういう感覚が日常だったので、自分の身体に対しても数万円で「ないこと確認」できるなら、ま、いっか、くらいの感じだった。


では、この毎年のドックでの経過が功を奏したか、というとそれは実はまだ一部。

40歳になると自治体からのがん検診クーポンが2年に1回送られてくる。無料で近隣のクリニックを受診できる仕組みだ。

ドックで必要な検診は受けていたし、無料とはいえ、わざわざスケジュール調整して別のクリニックで検診を受けなくても・・と思っていた。
が、結局、これもなんだかんだ受診していた。

その理由の一つは、いつも受診しているドックの結果で、4年前くらいから石灰がちょっと”薄く”なってきているかも?みたいな状態になったからだ。
石灰は消えることもあると聞いていたので、特に気にしてはいなかったけどどうせなら他の医師の見解も聞いてみようと思った。
そして、それまで受診していたドックの全画像をCDに焼いてもらって自治体の検診を受診した。それが2019年度。

そして、自治体の検診クーポン2回目は2021年度分(受診期間は2021/4~2022/3)。

2021年度分はスケジュール調整がうまくいかず、年が明けてから受診しようと考えていた。
が、実は2022年2月に、急性の卵巣茎捻転という症状で緊急手術を受けて1週間入院していた。開腹手術だったので、退院後1ヶ月は運動禁止という制約もあって精力的に動くのは控えていた。

自治体の乳がん検診も3月末までと期限も迫っていたし、うまくスケジュールが合えばくらいに思っていたけど、なんだかうまいことスケジュールがあったので受診することができた。

そして、そのときの医師が過去の画像と、くまなくつぶさに比較して「変わってなさそうにも見えるけど、よりハッキリしてきているようにも思う・・」と、しばらく悩んでから、最終的には専門病院を受診するように紹介状を書いてくれたのだ。

そこからは検査に次ぐ検査。5月中旬に「非浸潤性のがん」と診断された。


自治体の検診クーポンを無視していたり、2021年分はスキップしたり、そもそも長年の蓄積データがなかったら比較のしようがなかったわけだし、いろいろ振り返ると、もしかしたら今とは違った結果になっていた可能性も高い。

そのときその時の自分の選択がたまたま良い方向に転がったわけだけど、選択して行動することは、運に近づくための要素だったと思う。

そして、これは病気以外にもいえることだと思う。

選択して行動する、この繰り返しで運にたどりつけることを願いながら日々をがんばるしかないんだな~と、思った次第でした。

最後までお読みいただきありがとうございました。


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