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鵜呑みをやめれば「ヘルシーな世界」が待っている

何でも食べ過ぎは良くない。

とにかく冬にこたつで食べるみかんが大好きな私は、子供の頃親によく言われていた。
(確か体が黄色くなるという本当か分からない説とともに)

情報だってそうだ。

既に言い尽くされた話ではあるが、科学技術の発達により現代人の情報へのアクセス量は爆発的に増えている。
スマホやPCを見ればニュースも欲しい情報も簡単に手に入る時代だ。
そんな情報過多、放っておけば情報が勝手に目の前に食べろと迫ってきてしまうような時代。
それを全てそのまま食べ続けるなんて不可能だ。

だから私たち、特に情報の受け手は、無意識に情報を選り好みして情報の食べ過ぎを防ぎ、嫌いなものを食べないようにしている。

・「事実」と「文脈」の鵜呑み

私たちがメディアやコンテンツから受け取る情報は2つの要素で構成されている。


受け手は日々情報を受け取る中でこの2つが合わさった情報を受け取っており、主に自分の中で信頼たる条件を満たしたものを、ある意味無条件に消化している。
このような選り好みはモノゴトの単純化を進め、情報を効率的に消化することを助けてくれる。
要は食わず嫌いが進み、なおかつ信頼できると思っているものだけを積極的に取り入れてる状態。

しかしそういったいわば「情報の鵜呑み」は視点を狭め、大事な情報の見落としや過激な反応といった弊害が出てしまっているように思う。

例えば、私が働く住宅業界では着工数(住宅が作られた数)が右肩下がりだと言われて久しい。

野村総合研究所が定期的にリリースしている住宅着工数(住居が建つ数)の実績予測を加工して14年度実績を100とした時の推移予測。

これだけを見ると新築住宅はもうだめだ、違うことをしよう!と言う話になる。(実際そうなってはいる)
しかし、結果と照らし合わせると決して右肩下がりにはなっていない。

先程のグラフに19年度までの実績を重ねる。予測とは全く違う動きをしていた。(破線は最新の予測)

この差分に気づけなければ、せっかくのチャンスを逃すことになる。
つまり、

「事実」・・・住宅業界は右肩下がり
「文脈」・・・有名企業による発信

この2つを鵜呑みしてしまうことで、むしろ広がっているチャンスを見落とす結果になる可能性がある。

さらに言えば、「文脈」の鵜呑みは与えられる「事実」が歪められていたとしても気づかない可能性があり、それに煽動されて過激な反応をしてしまう可能性も秘めている。

このように、効率化のための選り好みも鵜呑みが行き過ぎれば、危険であり、無為な争いを生むことも考えれる。
良いと言われているので食べていたのに、実は体に悪いものでした、みたいな話は今でも報道される。
そんなことが情報を取り入れる時にも起こりうると思う。

・気づきをもたらす10の視点

『ファクトフルネス』に出てくる「10の本能」は、この「情報の鵜呑み」をやめて情報を吟味するためのレシピになるのではないかと思う。
文中に出てくる「10の本能」は言わば「10の視点」だ。

世の中に溢れる情報に鵜呑みで反応しては、気づかない内に誤った認識をしたり争いを生んでしまうかもしれない。
モノゴトを色んな視点で見る、つまり吟味することで、「事実」と「文脈」を正しく捉えた上の情報消化ができるのはないか。

先ほどの住宅業界の例でいえば、
 ・ネガティブ本能
  →住宅業界はどんどん悪くなっていく
 ・過大視本能
  →右肩下がりのグラフ
 ・単純化本能
  →住宅着工数だけを見て判断してしまう
といったものが働いている。
そこに気づくことができれば、実は違う動きをしている部分があることにも気づくことができるはずだ。

予測と実績が乖離したら要因には大都市圏と貸家(アパート)があった。

・情報消化をヘルシーに

このように『ファクトフルネス』にある10の視点を使うことは多面的にモノゴトを捉える助けになる。
それは条件反射で受け入れたり、反応するのではなく、一度「受け止める」ことになるのではないだろうか。
受け止めて吟味することで新たな側面から見つめ、冷静に投げ返す。

情報に対して一度「受け止める」


そんな連鎖が生まれれば、みんなが今よりもっと情報をうまく消化できるのではないか?

発信側からも消化の良いコンテンツが増えるのではないか?

効率化を進めるがために生まれる消化不良から、

みんなが冷静に受発信する「ヘルシーな世界」へ。

そんな世界を作るためのレシピをもたらしてくれる、そんな一冊だと思う。

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