見出し画像

【FVP政治観察記】(第5回)誰のための少子化対策なのか

【衆参】


「出生率を反転させる」私はこの言葉に違和感を覚えました。国家のためでなく国民のための少子化対策であるべきなのではないでしょうか。



0.少子化の現在地

日本の少子化はとめどなく加速しています。
二十年前には100万人程度だった出生率はついに80万人を切りました。一度止まりかけた合計特殊出生率の低下も再び加速しています。

東京新聞より



1.「出生率を反転させる」の違和感

岸田首相は今年の所信表明演説において少子化の急速な進展で日本は社会機能を維持できるかどうか瀬戸際と呼ぶべき状況にあり、出生率を反転させなければならないと強調しています。そして次元の異なる少子化対策を実現するとして、具体策と安定財源の検討を進めるとしました。(NHKより)

私はこの発言に違和感を感じました。出生率を反転させるため、すなわち国の子どもの数が減ることのないように少子化対策を行おうとしているように聞こえました。子どもは国のために生まれてくるのでしょうか。

希望する人が、子どもを産み、育てられるような社会を作ることが政治の役割であり、出生率を反転させることが大切なのではないと思います
国家のための少子化対策ではなく国民のための少子化対策でなければなりません。

さらに、自民党からは少子化対策として子供をもうけた人には奨学金を免除するという提言もなされています。(時事通信より)

「国のため」という考え方が根底にあるからこのような的はずれな対策が提言されるのでしょう。
この認識を改めない限り、出生率を反転させることはできないのではないかと私は思います。

先ほど合計特殊出生率は1.3付近であるという話をしましたが、一人の未婚女性が希望する出産数は1.8程度です。(日経新聞より)
この数字の差をどうにかして埋めていかなくてはならないのが政治の仕事ではないでしょうか。

日本財団が17〜19歳の子どもたちに取ったアンケートによると子供を持ちたいと思っている人は46%となりました。
また、子供を持つうえで、障壁となることはという質問では「金銭的な負担」や「仕事との両立」などが挙げられています。

このようなことから、教育の無償化や子どもの医療費軽減などは有効的であると思います。
また、出産・育児についての心理的ケアなどの精神面でのサポート充実や、待機児童問題の解消、保育士不足の解消など行政サービスの強化も必要だと考えます。



2.少子化対策=子育て支援 ではない

少子化対策として声高に叫ばれるのが子育て支援です。もちろん、子育て支援は重要施策であると思いますが、それ以前のことにも目を向ける必要があります。

東洋経済オンラインより

以上のグラフから結婚した人の出生率はあまり下がっていないことがわかります。

東洋経済オンラインより

一方で未婚率は大幅に跳ね上がっています。
少子化の原因にはそもそも結婚しない人が増えているということも挙げられます。
もちろん、国家の国民ではなく、この国に生きる一人ひとりとして考え、結婚したくないという価値観を認め、尊重するべきです。
しかし、結婚したいのにあきらめてしまっている人もいるのではないでしょうか。
そのような人々に対して何らかの施策を打つことが今、求められていると思います。

内閣府より
内閣府より

内閣府(https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/research/cyousa21/net_riyousha/html/2_8_4.html)によると結婚しない理由として「結婚後の生活資金が足りないから」や「結婚資金が足りないから」といった理由が上位に挙げられており、その傾向は若者においてはっきりとなっています。
若者の生活安定が結婚数増加に繋がり、結果的に少子化対策にもつながるのです。

大切なのは雇用の安定です。
年収100万、150万の非正規でいつクビになるかわからないような若者が結婚しようと、子供を産み育てたいと思えるでしょうか?
希望する人は正規雇用で働ける社会でなければならないと思います。

また、住宅支援も大切です。
やはり、衣食住のうち住が最も大きなお金が必要であり、中々大変です。家賃の補助や公営住宅の活用、空き家の再利用などで政治が若者に安定した住まいを届けることが必要だと思います。

更に、返済型の奨学金が重くのしかかっているという事例もあるようです。大学のときの借金を背負って社会に出て、返済し切る前に結婚しようとおもうでしょうか。奨学金のあり方を見直すとともに、そもそもの国公立大の授業料高騰にも何らかの施策を打つべきだと思います。

内閣府より

これらの施策は希望する支援対策のアンケートでも多く挙げられており、真に必要な対策と言えると思います。






※「FVP政治観察記」ではそれぞれのメンバーが活動を通して感じたことや政治への思いを書いています。賛同できる意見もできない意見もあると思いますが、ぜひご一読いただき、また、皆さんの意見を発信していただければ幸いです。

noteのフォローもぜひ!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?