カスタマーサクセスという役割

現在の職場で、カスタマーサクセス部隊のマネジメントをしており、幸いビジネスがグロース基調にのったため、メンバーを増やす必要が高まり、採用に力を入れ始めている。

しかしながら、応募してくれる人のもっているイメージと、われわれが求めるイメージがなかなか合いづらいと感じている。
そこで現状から目を離し、カスタマーサクセスという役割がどのように成り立ち、どのような種類があるかを歴史的経緯を推測しながら考えてみる。

日本でのカスタマーサクセス黎明期

私が初めてカスタマーという言葉を聞いたのは、今から約10年ほど前だったとおもう。
当時の同僚が転職するということで、転職先を聞いたところ、外資系のSaaS型ビジネスアプリケーションの会社で、カスタマーサクセスやる、と。日本法人を立ち上げる前で、実質日本の社員一人目、やることはインバウンドの営業、導入支援、テクニカルサポート、製品ローカライズ。
カスタマーサクセスって名前から、なにするのかさっぱりイメージできなかったけど、逆にイメージが固められないほど多様な役割を担うんだなぁと思った記憶がある。

完全に推測だが、おそらく世界的にはsfdcあたりがこの言葉を世に広め始めたのが2005年くらい、世の中にSaaSビジネスが広まったのが2010年くらい、そのビジネスの普及とともに言葉としてのカスタマーサクセスが認知されてきたように思う。

3つに分類される現在のカスタマーサクセス

現在の日本におけるカスタマーサクセスは、その生い立ちから、大きく3つのタイプに分類できると感じている。

1. カスタマーサポート型
2.営業サポート型
3.マーケティング型

1のカスタマーサポート型は、SaaS型ビジネスに多く、元々は問い合わせ対応などとカスタマーサポートという組織に源流があるケースが多い。
トライアルなどで登録されたユーザーの全てを対象に、主に新規導入支援による有料契約の獲得と、チャーンレートの維持、もしくは低減を役割としてもつ。
テクニカルな問い合わせも多く受けるので、開発チームとユーザーとの間のハブになれるテクニカルスキルと、ユーザーの短いテキストメッセージから課題を引き出すコミュケーションスキルなど多様なスキルセットがもとめられる。

2の営業サポート型は、導入に開発、煩雑な初期設定が必要なサービスに多い。もともと営業組織内にある、営業事務や、契約後のセットアップ部隊に源流がある。
営業組織の管轄であることが多いため、新規契約数をのばすこと、その単価(オプション機能アップセルなど)向上が役割であることが多い。日本のパッケージソフトウェア会社や、リクルート系のサービス会社に多くみられる。
スキルセットとしては営業事務に近いレベルのことが多く、また、活動の軸足が新規獲得に偏りがちであり、立場的にも営業組織の雑務を押し付けられているケースも多い。

3のマーケティング型は、顧客満足度向上のプロジェクトチームや、マーケティング部の中にあるVOC分析を行う部隊から発展するケースが多い。アプリケーションサービスに進出している機器メーカーに多くみられる。多くは新規顧客獲得を代理店や販売子会社なと直販以外をメインにしており、そうした営業部とは別組織になっている。
そういった背景から、アンケートやキャンペーンなど、独自のエンド顧客との接点をつくる必要があり、そこからの情報をもとにサポートサービス改善、顧客満足度向上を進める。

あなたの会社のカスタマーサクセスのミッションは?

その成り立ちから、もしくはそこにいた人のスキルセットから、カスタマーサクセスの役割、ミッションがなし崩し的に決まってしまうことが多いのではないでしょうか。
本来は、カスタマーサクセスというサービス提供価値最大化と、絶えず変化するユーザーニーズをとらえる最前線であるチームのはず。
現状のスタイルが、自社の事業モデルに最適で、最もパフォーマンスを出すための役割、権限、組織になっているか、見つめ直してみるのもよいかもしれません。

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