【まさかの出会い】すーの不妊治療体験記②
皆さん、こんにちは。すーです。
前回自己紹介をさせていただきましたが、脊髄損傷者の夫と男性不妊治療と顕微授精に挑戦しています。
自己紹介の記事はこちらからご覧ください。
今回は、夫との出会い・不妊治療に対する気持ちの変化を思い起こしてみます。
一個人の気持ちなので、みんながみんな抱えている思いではないです。
その点だけご了承くださいね。
私の場合は、夫と出会うまで結婚願望が全くなく、ましてや自分の子どもを授かりたいという気持ちもなかったので、夫と出会う前の私に「5年後には結婚して不妊治療をしているよ、君」と伝えたら恐らく信じないと思います。うん、絶対に信じないです。
前置きが長くなりましたが、そんな私の気持ちの変化やどう受け入れてきたのかを綴っていきます。
今回は、夫と出会ってから結婚するまでを回想していきます。
独身謳歌時代
私は医療や福祉従事者でもなんでもなく、脊髄損傷や車いすユーザーについて本当に無知の状態で夫と出会いました。
元々男性が苦手で、男女関係なくあまり恋愛感情を抱かない性格だったので、結婚はせずに猫ちゃんとささやかな独身生活を謳歌し、その平和な日常がいつまでも続くことを願っていました。
一人暮らし用のマンションを買って、平日はしがないOLとして勤しみ、休日は友人や家族と楽しく過ごす日々。当時27歳。
自分なりに熟考して、かなりの覚悟を持って家を購入しました。
もう余生だと思って暮らしていましたね。(生き急ぎすぎでは?)
しかし、そんな暮らしを1年半ほど続けた矢先、あのパンデミックが発生します。
ちなみに、私と夫はマッチングアプリで出会いました。
え?結婚願望なかったのに登録してたのかって?
そうです、矛盾していますよね。でもそれが人間ってやつです。
パンデミックによって友人や家族と遊んだり、旅行したり、好きなアーティストのライブがなくなったりして、暇で暇で退屈でどうにかなりそうでした。
そうだ、マッチングアプリやってみよ。
流行りのマッチングアプリ。
なんか怖いけど、暇つぶしに登録してみよう。
全然違う業界の話とか聞いてみたいし、徐々に規制緩和されたら飲みに行けるし。
恋愛や結婚がしたいわけではなかったので、「友達がほしい」「お付き合い(いい人がいたら)」「結婚願望(いい人がいたら)」みたいな項目を選んでいました。
そして何人かコンタクトを取った中の一人が夫でした。
私が登録して、1ヶ月後のことです。
予期せぬ出会い
夫が車いすユーザーと知っていて会ったのかと、たまに聞かれます。
ズバリ、知っていました!!!!
何枚かある写真の中に車いすに乗っている姿があり、プロフィール欄に休日は車いすのスポーツをしていることが記載されていました。
私が思うマッチングアプリの醍醐味は、普段出会わない属性の人々と知り合えること!
車いすユーザーの知り合いはなかったので、会って話を聞いてみたいという好奇心が勝ちました。
メッセージのやり取りもスムーズで、楽しかったのを覚えています。
気が合いそうで、お互いの住んでいる場所も近かったので会ってみることにしました。
体の状態や、車いすに乗っている理由は事前に全く聞いていませんでした。
会ったときに直接聞けばいっかなあとふんわり考えながらも、お店選びは私がしたので、めちゃくちゃ悩みました。
車いすで入れない飲食店多いんだなあと気が付いたのもこの時。
いざ当日。
会話が弾む。
え、めっちゃ楽しい。
サラッと車いすの経緯も聞いてみよ。
仕事で怪我をして首がぽっきりしたのか…それを「ケイソン」っていうのか…ふむふむ。
え?鎖骨下から感覚ないの?体幹ないの???ん???????
え???じゃあいまどうやって動いてんの?!!(ロボットか)
マジで人体ってすごいな…てかこの人すごいな…意味わからん(褒めてる)
車いすユーザーって「足に障害がある」だけじゃなかったんだ。
「頚損」って何なんだ~?!
無事にお互い楽しく過ごし、また話したいと短期間で食事に行くこと数回。
あれ…この流れ、もしかしたら付き合うんじゃないか…?
いや、でも、そんな無責任に付き合えないな…。
もし付き合ったとして、障害を理由に別れることになるのは個人的に気が引けるな…。
(今思うと、これは優しさだけではなくて、無意識下の差別的な感覚なのかなと思ったりします。)
しかもお互い適齢期ではあるし、結婚の話になったりもするのかな…。
全然想像つかない。
「こんなつもりじゃなかった。知らなかった。」となってしまうのは相手に失礼だよな…。
え、どうしよう。
そうだ、文明の力に頼ろう。
「頚損」について無茶苦茶調べました。
それはもう、付き合う前(結局出会ってから2週間で付き合った)のあらゆる時間を割いて調べました。
体温調節機能がないこと、汗をかけないから暑さに弱いこと、排泄障害のこと、起立性低血圧、そして性機能障害。
ネットで調べるも、己の想像力に限界がやってきます。
平行して、ドラマのパーフェクトワールドを見ました。
これが素人にはすごーーーく分かりやすくて、本当に助かりました。
(ウィルチェアファミリーのおかげでもあります!!)
障害や身体の機能には個人差があるので、最終的には本人に尋ねてみることが必要だともわかっていました。
ただ、めちゃくちゃセンシティブな部分なので、私もどう尋ねたらいいのか迷ってしまい、とうとう付き合う前に聞くことは出来ませんでした。
彼も付き合ってから一緒に過ごすなかで、場当たり的に説明をしてくれるタイプでして。交際前に話題にすることはありませんでした。
(本人も伝えにくかったのかもしれません)
でも、ひっそり調べていたおかげで、様々なトラブルやハプニングに動じることなく対応することができました。
(彼が私の家でお腹下した時もあったなあ…)
彼には「へー、そうなんだね」「うお~どんまい、こればっかりはしょうがないね!」としれっと受け答えつつ、心の中では「これ、進〇ゼミでやったやつだ!!!!」と予習を嚙みしめる日々。
でも、やはり予習とは違うのが現実。
そして何より、予習しにくい領域があるのも事実で。
それが「性機能障害」でした。
性機能についてのカミングアウト
付き合って数日後、性機能についての話題になり彼からカミングアウトが。
鎖骨から下の感覚が麻痺しているって伝えていたけれど、男性器も同じように感覚がないし体の反射で少し勃つことはあっても、射精ができない。と。
………進〇ゼミでやったやつだ。
この時ばかりは
「そうなんだってね、知ってたよ~。でも別に問題ないかな~。うん、全然平気~。」
と、予習していたことを満を持してアピール。
本心で「まあ大丈夫っしょ、挿入できなくても」と思っていましたし、実際、性交渉に関しては特に不満も問題ありませんでした。
ちょっと悩んだのが、彼の感覚がある部分でどう満たしてあげられるのか…??!ということ。
これはおいおいDiscordとかで話しますね。
そんなこんなで1年くらい喧嘩しつつ笑い合いつつ、ごくごくありふれたカップルとして過ごしていました。
家族になる道筋
そんな中、彼が医療関係のインタビューを受けてきて、こんな記事になりそうなんだけど載せていい?と私に見せてくれた記事の下書き。
けけけけ、結婚を意識している相手がいる?!子どもを授かりたい?!
何かのドッキリかなと思うくらい、唐突にそして潔く差し出された彼の気持ち。(そして、差し出した本人は恐らく無自覚。)
結婚をお互い意識し始めると、街中や公園の子どもが目に留まるようになり、子どもを持つことについて話す機会が増えました。
私は、彼と出会ってから結婚や子どもを持つことを考え始めた(以前は持たない覚悟をしていた)ので、かなり母性本能が未熟なんじゃないかと心配でした。
正直、子どもはいなくてもいい。
事実婚でもいい。
結婚してDINKSで犬猫と過ごすのもいい。
その気持ちの裏には、産まれてくる子どものことが気にかかりました。
子どもがヤングケアラーになったら?
子どもの気持ちはどうするんだろう?
そして、彼と子育てができるのかも不安でした。
車椅子ユーザーってどんな風に育児するんだろう?
産まれた後、私に何かあったら父子は大丈夫なんだろうか?
しかも、私たちの場合は不妊治療で一番高度とされている顕微授精が必要になると…。
超特急でそこまでたどり着くのが怖い。
この不安は治療を続ける今でも、常に付きまとっています。
そんな大きな不安をたくさん抱きながらも、
彼と自分との子どもを授かってみたい。
この先の人生、彼と2人で子育てをしてみたい。
彼と子どもが笑顔でいるのをみたい。
という気持ちが段々膨らんでいくのも感じていました。
子どもは授かりものなので、どんなに考えても「持たない」という選択肢以外、どうなるか分からないのが私にとっては不安になる要因の一つでもありました。
彼は彼で、自分の精子の状態がわからず不安で、彼自身がまずはTESE手術をして診察してもらってからでないとその先のこと(妊娠・出産・子育て)は考えられないという思いがあったようです。
(その気持ちが私とすれ違いになってしまったのですが、その話は次回。)
でも、「持たない」という選択をするには、あまりにも早いのではないか。
そして、その選択で今後の2人の人生が左右されるのも違う気がする。
どんな結果が待ち受けるかわからないけれど、不妊治療に2人でチャレンジしてみよう。
そう思うようになって、子どもを望む方向で結婚しました。
結果、結婚をしてかけがえのない生涯のパートナーを得て本当に嬉しく思っています。
周りの方々からも想像以上に祝福していただいたことも、家族になったことで親族や友人が増えたことも、本当に有り難い限りで。
自分たちの子どもと一緒に人生をもっと広げていくことは、大変だろうけれど、きっととっても楽しいことなんじゃないかと感じるようになりました。
ただ、想定以上に不妊治療の道のりは遠く長かったです。
そして、いざ目の前にその問題が迫ったとき、夫と何度か衝突することになるとは思ってもいませんでした。
【次回予定】結婚後~初めてのクリニック受診
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