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自作100文字創作集

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これまで書いた100文字小説、詩集です。 1つ5秒で読めます。良かったらどうぞ。
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2020年11月の記事一覧

旅[自作ショートショート⑬]

午前3時、長い直線に差し掛かった。遥か遠方まで信号や街灯の光が連なって直線をなし、道は無限に続くように思えた。どのくらい走っただろうか。空が白み、光は徐々に消えていった。

道は続いていたが、旅は終わったようだった。

第十三作目。夜中に車中から見る遠くの街の明かりって幻想的ですよね。

要約[自作ショートショート⑫]

この世の全ての本を網羅する書店に、男がやってきた。「この世の自己啓発本の内容を全て網羅した本を売ってくれ。」店主は一冊の薄い本を差し出した。

一頁目にこう書かれている。前向きに考える。考える前に行動する。以上。

第十一作。本を100冊読んだとして、100個知識を得られたかと聞かれたら、どうでしょう。またその知識を使えるかとなるとまた別問題でしょう。実用的な知識は大切ですが、ただ面白いだけの知識

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光[自作ショートショート⑪]

その日地上に光が降り注いだ。見たことも無いほど激しく輝く光は、この世のあらゆる悪を暴き、消し去った。作物は良く育ち、人々には笑顔が戻った。

故に気づかなかった。光の裏側に見たことも無いほど暗い影があることを。

第十一作目。ではまた。

言葉[自作ショートショート⑩]

心の深奥に入る。まずは、内外のあらゆるものを吸い込む。ドクンと血管が脈打ち出す。シューと微かに風を切る音が聞こえてくる。そして吐き出す。吸った深度に負けないくらい深く深く吐き出す。

それがあなたの言葉だ。

第十作目。
元々は「血液が脈打ち出す」だったのですが、
血液は「脈打つ」じゃなくて「波打つ」だわなと気づきました。

ではまた。

目覚め[自作ショートショート①]

目が覚めると同時に目の前の白い景色に目が眩んだ。体がやけに軽い。視界の端を瓦礫のようなものが飛んでいった。耳鳴りがする。光に目が慣れてきた。

目が覚める寸前に、燃え盛る火柱が轟音をあげて視界を覆ったことを思い出した。
[ショートショート風①]

短い文で、起承転結とか意外な展開つけるのって難しいと思いました。とりあえずは、5個作れたらいいかなと思いました。

ではまた。

使者[自作ショートショート②]

一匹の猫が真っ直ぐ近づいて来る。どうやら黒猫のようだ。両手で抱え込める程度の大きさの割には妙な威圧感がある。どんどん近づいてくるが、足音一つ聞こえない。ニャアと鳴きもしない。

私を通り過ぎた彼は、私が出てきた病院の前で座り込み、訪問を告げるように短く鳴いた。
[ショートショート風②]

書くのは楽しいけど、オチを作るのが難しいですね。◯◯は◯◯だったっていうフォーマットは便利です。てか、伝わるだ

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本能[自作ショートショート③]

誘蛾灯に群がる虫たちは不思議だ。何を考えているか分からないが、彼らは光に誘われるがまま、何をするでもなくそこに居座っている。

本能なんだろうな。何をするでもなくこっちを見つめているやつがいる。ニンゲンは光に寄って来る生き物なんだな。

三作目。ではまた。

ガソリンスタンド[自作ショートショート④]

レギュラー60%まで。その風変わりな看板のガソリンスタンドを目指して、あちらこちらから利用客がやってくる。
「60%くらいが丁度良いんですよ。満タンより60%くらいが。」と店主は言う。ここは心のガソリンスタンド。

四作目。ではまた。

いいねボタン[自作ショートショート⑤]

いいね、いいね、いいね、どうでも、いいね、いいね、いいね、なんでも、いいね、いいね、

AR技術の革新的な発展に伴い、ネット上を越えて、実生活でもいいねを可視化できるメガネが発売されたが、なぜか1年も保たず生産中止となった。

五作目。目標の五作目クリアできたのが嬉しいです。ちょっとイヤーな中身ですが、見えるものが限られてるよねっていうネット社会の一大テーマを書きたくて書きました。
こんなこと書い

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プロセス[自作ショートショート⑥]

色鮮やかな蝶々が飛んでいる。美しさに目を奪われる。おっと、なにかを踏んだ。

足元には煤けた紙屑のような歪な塊が散らばっている。誰も見れないその内部では液状化した体組織が再構成を繰り返す。ドロドロ、ドロドロ。

六作目。華がある方がもちろんなにかと良いんですが、私は泥臭くて、不器用な人間が好きです。

ではまた。

光陰[自作ショートショート⑦]

私を囲い浮かぶ光るダッシュ線の群れは、明滅を繰り返し、瞬く間に彼方へ過ぎ去っていく。それらは途中途中で途切れているように見えるが、実は線分であるから、過去も未来も今でさえも捉えている。

私は時間の中にいる。

ニュアンス。視覚的なイメージ。
ではまた。

円環[自作ショートショート⑧]

言われるまでもなく、毎日自分を見つめている。穴が空く程に。そしたら、ある日ほんとに穴が空いた。どこかへ繋がっているようだ。

先へ先へと穴の中を進んでいくと、スタート地点に戻っていた。なんだ、ここに繋がってたのか。

第八作目。ではまた。

カラス[ショートショート⑨]

鋭い眼光、尖った口ばし、黒い翼。時に群をなし、時に一人で今日もせわしくしている。なぜ鳴くかはそれぞれの理由があるんだろう。時に屍肉すら啄み懸命に生きているんだろう。

黒、それは今日も働くサラリーマンの色。

九作目。私が公園のハトだとしたらなんて考えてたら思いつきました。

ではまた。