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年金っていくらもらえるの?


 今まで3度にわたり年金について見て来ました。

 それでは今回は実際にいざ年金をもらう立場になった場合、いくらくらい貰えるのか?
老齢基礎年金(国民年金)、老齢厚生年金(厚生年金)ごとにそれぞれ見て行きましょう。


1.老齢基礎年金(国民年金)

 国民年金からは「老齢基礎年金」がその納めた月数により支給されます。
 満額受け取るには原則、国民年金の加入期間である20歳~60歳までの期間(計480月になります)全て保険料を納付することが必要です。

※     この場合の年金額は 年額795,000円 となります
  (年度や生年月日により多少異なります)

 また480月に満たない人については、それぞれの加入期間(納付期間)に応じて計算された額が満額から減額された形で受け取ることになります。

 ここで言う納付期間には、以前取り上げた免除制度を利用して、何割か免除された金額を納付した方には、それぞれの割合に応じて「納付月数」が計算されます。

計算式としては

795,000 × 
(保険料納付月数 + 全額免除月数×1/2 + 1/4納付月数×5/8 + 半額納付月数×3/4 + 3/4納付月数×7/8) / 480

 (注意)
 平成21年3月までは、全額免除は「1/3」、4分の1納付は「1/2」、半額納付は「2/3」、4分の3納付は「5/6」月にしてそれぞれ計算します。

※     60歳になった時、免除などにより480月に満たない場合は60歳から65歳になるまでの間に任意加入(第2号被保険者を除く)をして、満額の年金に近づけることができます。

 またここで言う「保険料納付済期間」には20歳から60歳までの第2号被保険者(会社員、公務員など)、及び第3号被保険者(第2号被保険者の扶養配偶者など)の期間も含まれます。

2.老齢厚生年金

 一方、厚生年金保険からは「厚生年金」がその保険に加入していた期間や、その期間中の報酬額などによって計算されて支給されます。

 厚生年金には65歳から国民年金に上乗せした形で支給されるもの(「本来支給」と呼んでいます)と、生年月日により60歳以降、65歳になるまでの一定期間にもらえる「特別支給の老齢厚生年金」があります。

 まずは一部の人しかもらえませんがこの「特別支給の老齢厚生年金」について見て行きたいと思います。

3.特別支給の老齢厚生年金

 老齢厚生年金は、厚生年金保険の被保険者であった人の老後の保障として給付され、65歳になった時に、老齢基礎年金に上乗せする形で支給されますが、当分の間は受給資格を満たしていれば65歳になるまで「特別支給の老齢厚生年金」が支給されます。

 しかしこの年金、誰しもがもらえるわけではなく、重要なのがその受給者要件です。

 特別支給の老齢厚生年金を受け取るためには以下の全ての条件を満たしていることが必要なのです。

<要件>

①老齢基礎年金を受けるために必要な資格期間を満たしていること
②厚生年金保険の加入期間(共済組合加入も含む)が1年以上あること
③支給開始年齢に達していること(生年月日によって違います!!)

 ここで問題となってくるのが③で言うところの「支給開始年齢とは何歳か?」と言うことです。
 これはカッコ書きのとおり性別、生年月日によって異なります。
 その対象となる方の生年月日を挙げると

< 男性 >
昭和28年4月1日までに生まれた方        ⇒ 60歳の誕生月から
昭和28年4月2日~30年4月1日に生まれた方   ⇒    61歳の誕生月から
昭和30年4月2日~32年4月1日に生まれた方        ⇒    62歳の誕生月から
昭和32年4月2日~34年4月1日に生まれた方        ⇒    63歳の誕生月から
昭和34年4月2日~36年4月1日に生まれた方        ⇒    64歳の誕生月から
昭和36年4月2日生まれ以降          ⇒     なし  
                         ※ 本来支給のみ

< 女性 >
昭和33年4月1日までに生まれた方       ⇒ 60歳の誕生月から
昭和33年4月2日~35年4月1日に生まれた方        ⇒ 61歳の誕生月から
昭和35年4月2日~37年4月1日に生まれた方        ⇒ 62歳の誕生月から
昭和37年4月2日~39年4月1日に生まれた方        ⇒ 63歳の誕生月から
昭和39年4月2日~41年4月1日に生まれた方        ⇒ 64歳の誕生月から
昭和41年4月2日生まれ以降          ⇒ なし
                         ※ 本来支給のみ

 ご覧のように男女間で5歳の差があり、それぞれ規定の生年月日以降に生まれた方には、この特別支給の老齢厚生年金は一切支給されず、65歳からの本来支給の厚生年金のみとなります。

 また同じ女性でも、共済組合に加入していた期間に対する特別支給の支給開始年齢は、上記の男性と同じ生年月日が用いられます。

4.本来支給の老齢厚生年金

 特別支給の厚生年金を受けられる方は65歳から、また受けられない方も65歳になると要件を満たすことにより本来支給の老齢厚生年金が支給されます。

 それではここからはいよいよ今回の本題、「年金はいくらもらえるのか」について見て行こうかと思います。

特別支給の老齢厚生年金も、本来支給のそれも、基本的に計算式は一緒です

 ここで登場するのが「平均標準月額」もしくは「平均標準報酬額」と言った言葉です。

 これは何かと言うと、ザックリ言って毎月の給料の額を何分類かに分けたそのくくりの額(給料の額によって上下する)の事で、毎月、給料から差し引かれる厚生年金保険料もこの額をもとに計算されて差し引かれます。

 「平均標準報酬月額」は平成15年3月以前の計算の基礎になる各月の標準報酬月額の総額を平成15年3月以前の加入期間で割った額、
 また「平均標準報酬額」は平成15年4月以降の加入期間について、計算の基礎となる標準報酬月額の総額と、その間の標準賞与額の総額を平成15年4月以降の加入期間で割って出た額になります。

 以上をふまえて年金額の数式を表わすと

老齢厚生年金 = A + B

:平成15年3月以前の加入期間

  平均標準報酬月額 × 7.125/1000 × 平成15年3月までの加入月数

:平成15年4月以降の加入期間

  平均標準報酬額 × 5.418/1000 × 平成15年4月以降の加入月数

と言う計算式に当てはめて計算されます。

5.まとめ

 このように国民年金だけに加入していた方については前半に話した老齢基礎年金が、また厚生年金保険にもしていた方についてはそれに併せて後半にお話しした老齢厚生年金が支給される、と言うことになります。

 今回は大事な年金の支給額に関わることでもあり、多少長文になってしまいましたが、年金にはまだ他にも細々とした決まり事や制度があります。

 次回は今回お話しきれなかったその他の支給や用語・仕組みについて補足的に話して行きたいと思います。

 また不明な点はコメントや、XのDMでも受け付けております。併せてご利用下さい。


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