見出し画像

たぬき汁を食おう。


 皆さん、こんにちは。ロケットラクーン大好き、木賃ふくよし(芸名)です。
 はい。今日は皆さんが興味津々な様子なので、

 たぬき肉

 のレヴューをしたいと思います。はい。

画像1

 どーん!

 ええ。昔話などで何度も出てくるので、存在は知ってるけど、食ったことがない料理。そう。
 知ってるけど食ったことがない料理ランキング、堂々の四位に入った「たぬき汁」


 四位です。


 いえ。ランキングは今、テキトーに決めました。ウソ数字です。気にしないで下さい。
 まあ、本日は「令和狸合戦ぽんぼこ」と称し、「たぬきだって食べられるんだよぉ〜」と、たぬき肉を食う会を先程までやってたので書く訳ですが、ぶっちゃけ、ワタクシ自身はタヌキ肉を食うのが4回目ぐらいなので特に目新しい訳ではないんですよね。

 ただ、コレだけはハッキリ言っておきますが、

 たぬき肉は
 くさいなんて
 噂が絶えませんが、

 ありゃ、嘘です。


画像2

 丸い方が後脚。長い方が前脚。


 個体差か、あるいは、雌雄、シーズン、処理、鮮度、調理法で味は変わりますが、基本的には強い臭気があるなんて事はありません。
 そりゃ、肉が腐りかけてりゃ匂うのは当然で、コンディションさえ良ければ美味しく食べられます。
 まず鮮度。原則的に、鮮度が高い方が良い。古けりゃ臭気が強くなる。当たり前の話だ。鮮度が良い状態で冷凍してりゃ、まず問題ありません。
 次に処理。コレは主に猟師さんが、どれだけ的確かつ丁寧に処理したかで味が変わるって事である。これも当たり前。血抜きが甘けりゃ血生臭いし、内臓処理が悪ければ腐敗する。こんなのはタヌキに限らない。
 シーズン。春、夏は雑食になるので臭みが強い。冬は脂が多い。秋に柿を狙って食うようなタヌキが一番美味いらしい。なるほど、納得だ。
 雌雄。基本はメスの方が身が柔らかくて美味しい模様。オスの方が臭気が強いらしい。ただし、可食部が多いのはオス。
 んで、家畜じゃねえんだ。てか、家畜にもあるよ、個体差は。要領よく餌にありつけるタイプと、鈍臭くて餌に恵まれない個体が同じ味だと思うな。
 お前らが大事にしてる個性とやらは、どんな動物にも、タヌキにもあるんだよ。だから、そもそもたかだか4回程度食ったぐらいのワタクシのレヴューもどれほど当てになるかは不明だ。結局は自分で食って確かめるしかない。

画像3

 背脂、横隔膜、心臓。


 そして、調理法。
 以前、同じくタヌキ肉を猟師さんから頂いた時、たぬき汁を二種類作った。

画像4

今回のたぬき汁は1種類


 片方は徹底して、タヌキ肉から臭みを抜いた。
 もう片方には、最低限の処理しかしていない。 


 その結果、確かに臭みを抜いたたぬき汁の方がキレイに美味しく出来たのだが、それでは豚汁を食うのと大差ない。たぬき肉を食う意味が見出せないのだ。
 ワタクシはこれを「ジビエのジレンマ」と勝手に呼んでいるが、鳥獣に限らず、映画でも小説でも「食べやすくする」為にアクやクセを完全に抜いてしまうなら、それを求める意味も、一緒に抜けてしまう、という背理が生じる。
 矛盾、逆説、パラドックス。
 タヌキ肉には、確かに食べ慣れた牛豚鶏に比べると、クセはある。
 しかし、何の肉かわからないまでに調理をするなら、タヌキ肉を食う意味はない。

画像5

 それに、クセって何だ?
 食べ慣れて気が付いていないだけで、牛肉なんかも実際、クセは強い。
 かつて牛肉食文化のなかった日本人は、西洋から入ってきた牛肉をクセが強いと言って好まなかった。単に慣れただけである。

画像6

 例えば、仔羊肉も「独特の臭みがある」と評する人もいるが、ハッキリ言う。
 品質と鮮度の良い仔羊肉の赤身は、牛肉よりも臭みが少ない。
 羊肉は確かに、仔羊よりも臭みが強くなる傾向にあるが、一級品を食べてみると、まるで臭わなかった。
 ワタクシがあまり好まなかったヤギ肉でさえ、品質と鮮度が良ければ、臭みはなかったのである。

 つまり、タヌキ肉が臭いなんてのは、ハッキリ言えば迷信の類なのだ。

 確かに、揚げ焼きにしたセロリの葉とタヌキ肉を合わせると美味いので、クセや臭みがないとは言わない。

画像7

 セロリの葉が合うよ。


 しかし、
 クセや臭みより、
 本当に抜くべきは

 「我々の先入観」

 でしかないのだ。


 上手に〆たあと、素早く的確に処理をし、適切に保存され、劣化する前に、美味しく調理して食べれば、タヌキ肉は臭くなんかない。

 当たり前の事なのである。

 肝心の味だが、味は豚肉、鶏肉よりも、牛肉よりも、仔羊肉に近い。羊肉ではない。羊よりクセの少ない仔羊肉だ。
 脂は少々、クセがある。確かに、劣化が始まると、油粘土や靴箱の油脂のような独特の臭気を放つ。しかし、鮮度さえ良ければ、焦がしたバターのような甘い香りさえする。
 赤身部分は美味い。弾力は鴨肉に近い。噛み応えがあり、噛むほどに味わいが出る。
 肉質は仔羊の腿肉に近い。そう言った点では、割と理想的な赤身肉と言えるのだ。

 ただし、

 歩留まりが悪い。


 1匹のタヌキを処理するのに、どれほどの手間と時間を必要とするか。
 それに対して、得られるのは僅かな毛皮と、1人3~4食分程度の肉。そして、大量の油脂である。
 しかも、牛肉と違い、劣化が早い。

 なるほど、猟師が率先して狩りたがらないワケである。



 (´・Д・)」 でもね、ちゃんと良い品質のタヌキを、ちゃんと調理したら美味しいんだよ。


 で。あと、コレだけは言っておかねばならないので追記。

 「タヌキ」と呼ばれる肉は2種類あって、いわゆる「タヌキ」と、タヌキに姿形が似ているので同一視されていた「アナグマ」(ムジナとも呼ぶ。ムジナは地方によってはタヌキの別称だったりもする)に分かれる。

 で。アナグマは美味いけど、タヌキはマズい、なんて話もありますが、今回食べたのは「マズいと言われてるタヌキの方」だから。

 タヌキはマズいとか食ってもいないのに抜かす阿呆がいたら、この記事を読ませてやってください。ゲテモノ食いと蔑むのは自由だ。だが、食ってるから言う。ブラックバスもカンガルーもワニもヘビもハクビシンも美味いんだからな。特にハクビシンは激ウマ。


画像8

これがホントのたぬきうどん。なお、麺はさぬき。



 ※ この記事は無料ですが、参考になった、という方は投げ銭(¥100)をお願いします。
 なお、この先には特に何も書かれていません。


ここから先は

52字

¥ 100

(´・Д・)」 文字を書いて生きていく事が、子供の頃からの夢でした。 コロナの影響で自分の店を失う事になり、妙な形で、今更になって文字を飯の種の足しにするとは思いませんでしたが、応援よろしくお願いします。