人は動物のエリートか、落ちこぼれか

　皆さん、こんにちは。人の中では優秀じゃない方の木賃もくちんふくよし(芸名)です。
　はい。季節は秋ですね。今は秋。今日からワタクシは心の旅人になってる場合ではありません。仕事ください。

　さて。秋の味覚と言えば、「鮭」のそのひとつです。サケなのかシャケなのかは置いといて。
　この鮭の中で、通常の産卵ルートを辿らず、途中で引き返してしまう鮭がいます。

　通称「時鮭」

　トキシラズ。トキ、トキザケ、トキサケ、トキジャケ、トキシャケ。色々な読み方があり、漢字も「時不知」だったりややこしいのですが、要は鮭が本来回るべき巡回ルートを、途中でショートカットし、春から夏に掛けて戻ってくる鮭だそうです。
　本来なら産卵準備のために身が細りつつある秋鮭よりも脂の量が３倍とか言われてます。身も赤いし、シャア専用でしょうか。

　更にこの時鮭の中に、鮭児けいじと呼ばれる、全身トロかよ！って鮭もいるらしい。何でも5,000匹から10,000匹に１匹の激レアサーモン。
　ガチャで言えばSSRとかURの文字が付きそうです。

　そう。ここで少々考えて欲しいのですが、この時鮭がレアな存在という点は紛れもない事実として。ええ。

　コイツらは、
　鮭の中では、

　エリートなの？
　落ちこぼれなの？

　という点です。
　鮭が本来持っている、本能的な巡回ルートを守れない落ちこぼれなのか、そのコースは無駄が多いと判断してショートカットするエリートなのか。
　これは非常に気になる点です。本能に逆らったのか、本能が薄れてるのか、それとも利口なだけなのか、あるいはアホなだけなのか。

　同じように人間と他の動物で考えてみましょう。

　果たして、人間は万物の長たるエリートなのか？
　それとも、動物の道から外れた落ちこぼれなのか？

　現実的に考えて、人間はこの地球上で目覚ましい発展を遂げてきました。そこに異論はありません。いや、あるはずがない。

　しかし、繁栄というだけで考えると、個体数なら細菌類の足元にも及びません。
　何しろ、人間の体内だけで100兆以上の細菌が生きているため、人が繁栄するほどに細菌も繁栄します。人以外が繁栄しても繁栄します。勝ち目がありません。
　流石に細菌と比べるのは酷なので、哺乳類で考えましょう。
　ですがコレも、ネズミの総数は1000億以上と言われ、おそらくクマネズミ１種と比べても人類より多いとされています。
　日本ではマイナーですが、鳥類ならコウヨウチョウだけで150億羽いるとされてますから、数の上ではトップでも何でもありません。

　捕食者としては植物、哺乳類、魚類、鳥類、菌類、何でも食べる、という点では強者でしょう。
　しかし、道具を使わず、個人の力での捕食となると、強者どころか底辺レベルの貧弱さを露呈します。
　家や服がないと暑さ寒さも凌げず、道具なしでは餌も捕食することも侭なりません。
　他の動物に比べ、無防備な幼児の期間が長いだけでなく、教育を施さねば、生きていく術さえも学ぶ事が出来ません。
　他の動物は学校も教科書も言葉も持たずに狩りの方法を知ると言うのに、人間はこのザマです。

　しかも、多くの動物は共食いをしません。
　人間もほとんど人間を食いませんが、最も多く人間を殺しているのは人間だったりします。動物としての本能が薄いような気はしますが、利口なのかアホなのかは微妙。

　この辺りから考えて、人間は動物の中のエリートなのか、それとも、落ちこぼれなのか。この答えを見出すのは、なかなかに困難だと言えます。
　人間の基準で言えば、間違いなく人間は万物の長でしょう。
　文化を持ち、道具を使い、海にも空にも宇宙にも行ける。
　道具を使えば猛獣にも勝てて、何百人分の食料を育てたり、釣ったりする。こんな真似が他の動物に出来るだろうか。否。出来ない。

　だが、発情期を持たず、基本的には一度に一人しか産めない。ほんの少しだけ見る角度を変えてしまうと、人間はあまりにも貧弱な落ちこぼれ動物だと言えよう。

　しかし、ワタクシはそれでも、人はエリートだと思うのである。

　まず、排泄だ。

　いきなり尾籠な話で申し訳ないが、生物の多くは、排泄物を垂れ流すか、あるいは排泄の瞬間こそが生命の危険である。
　猫なんかがウンチング・ハイになるのは、無防備になる排便の瞬間を生き延びた喜びだとする説が有力です。
　そう考えると、人間ってのは大概が個室で、ゆっくりと腰を下ろし、好きなだけ踏ん張れる。
　これぞ特権階級だと思いませんか。

　そう。何もエリートってのは能力の高さだけで判断されるものではない。与えられた環境こそがエリートの証拠なのである。

　例えば、セックス。
　射精を終えた直後の亀頭が過敏になり、連続して性行為を行えないようになっているのは、これもまた同じく、野生の名残であるとされる。
　要は排便と同じく、性行為の最中もその身を危険に晒すため、ここで終わりの合図を定めてあると言うものだ。

　そう考えりゃ、早漏が嫌われ、セックス後のピロートークが女性にとって至福の時とされ、男としちゃ、出すモン出したら、

　とっとと寝たい。

　ってか、強烈に眠い。 

　そんな動物界では最高に危険な行為を満喫できるのは人間だけですよ？

　ヤった後の「眠り」にしてもそうだ。動物の眠りが浅いのは、同じように身の危険に対応するためだ。
　それが何だ？ 低反発枕だ？ ふかふかベッドだ？ 安眠だ？

　挙げ句の果てには寝坊した？

　(´°Д°)」 コレが特権階級じゃなくて何だと言うの？

　排泄、交尾、睡眠だけじゃない。
　食事もそうだ。

　まずもって、餌を狩るために苦労しなくていい。そりゃ、食い物を買うためには働かなきゃならんが、狩れるかどうかもわからない狩にチャレンジしなくていいんだぜ。
　そして、慌てて急いで食わなくていい。
　周囲から外敵の襲撃に怯えながら食わなくていいんだ。

　これって完全に「勝ち組」じゃねえの？

　と、ワタクシは思うのである。

　ところで、多くの動物は「エサ」と「美味いエサ」の２つを用意すると、「美味いエサ」から食う。
　奪われないように、美味しいものから食べようって事である。

　つまり、フィクションにおける「俺は好きなモノは最後までとっておくタチでなァ」って悪役なんかは超エリートて事である。

　なお、ワタクシは「美味しいモノ」は、「より美味しくなる順番で食べる」派なので、超・超エリート間違いなしである。

　(´･Д･)」 まァ、食い意地が張ってる所為で、早食いだけどね。ベビーブームでガキの数が多く、ボンヤリしてたら飯がなくなる世代。

　※ この記事はすべて無料で読めますが、自分のエリート具合を確認できた人は投げ銭(¥100)とかサポートしてくれてもいいんですよ？
　なお、 この先には、結局「人間はエリートか落ちこぼれか」という結論が書かれています。