「絶版とメンヘラ。」
ギークハウスの破滅を観ない儘、去ったのだ。
リナカフェの閉店を味わう前に、帰ったのだ。
追い出しコンパで演奏をせずに、逃げたのだ。
卒業の謝恩会の会費だけ払って、潜んだのだ。
僕は、当たり前に、正確に、メンヘラなのだ。
一瞬ライターを遣り躾けられる前に馘された。
減量の継続がバレ、病気だと下剤を奪われた。
僕は僕の命を詩篇に捧げて、救ってあげたい。
未だに、消え掛かった傷に触って祈ってたい。
出来る限り笑える文章を書きたくて脳を煮る。
僕は古く成って絶版にされてる小説が好きだ。
相手にされない僕に似てて胸が焦がれていく。
痛くて危なくて、無茶だったり未来だったり。
ゾッとする醜さも、この頁では赦された儘で。
本は足が速いので、ベルが鳴る前に掴むのだ。
音が止まった刹那のブレイクに併せ爪を噛む。
呪詛を世の中に広めたくて言葉を使い倒した。
編集された悲哀に腕を振り翳しては眼を瞑る。
僕の残り半分は百億光年先で唄っているのに。
遠回りしても、誰彼は、一瞬で、届くなんて。
喩えば、認知の宣伝行為を非難されたとして。
其の読者への想いは、何一つ間違って居ない。
存在は存在として存在するとは限らないから。
上手に愉しめたら、自分の罰に正直に成れよ。
辞世の句を求められたら、真っ黒な嘘を吐く。
笑えたモノを弔いの象徴にされ我慢が成らぬ。
悪意は何時でも鼻に付くので急いで洗いたい。
思想は思想の声を聴き思想として機能させる。
創作の色合いに、余計な助言は邪魔なだけだ。
もしも正しさをそちら側に傾かせたとしても。
誰も彼も、僕を置いて、何処へ往くのかしら。
宇宙人みたいに、距離感を持てたら佳いけど。
別に同情されたくて失敗話をする訳じゃない。
僕の大切な空を貴方に、贈りたいだけなのだ。
一度くらいは、踊って、時間を止めたかった。
光の門扉は僕の為には絶対開いては呉れない。
春の心は騒々しい死神を大量に飼育している。
鏡は少しずつ修復され、気付けば紫に割れる。
傷付ける人が好かれる事を肌感覚で飲み込む。
猛虎に成りたいがフレンチブルの僕しかない。
失敗した人を貶さないと人間扱いされなくて。
後出しの礼儀作法で美しさを型に嵌められて。
知らない有名人の言葉で造られた悪夢を観て。
平等と言う概念の拒否せいで外は寒さを着て。
其れでも別れの挨拶だけはヤケに丁寧なので。
夜は寝れるか、小夜子さん。或いは空白の境。
文字は続くか、文雄くん。或いは指先の温度。
瞳は逢えたか、瞳さん。或いは世界の広大さ。
勇気は隣るか、勇次くん。或いは生命の願い。
里は撫でるか、麻里子さん。或いは現在の泪。
そして最後に腕と声と背を残し残させたのは。
インターナショナル・クライン・ブルーな風。
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