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わざわざのシュトレン、値上げしませんでした

今年で15年目を迎えたわざわざのシュトレン。今年は大きく頭を悩ませたことがあります。シュトレンの「販売価格」です。

小麦やくるみ、フルーツ類、パッケージの資材まで含めて、シュトレンの材料のほとんどが値上げされていて、原価を計算すると昨年の販売価格ではかなり厳しい状況でした。どうしたものかと悩みに悩んで、結局今年は価格据え置きで値上げをせずに販売しています。そこにはお客様への強い思いがありました。

14年前は今より1,000円安くできた

わざわざがシュトレンを焼き始めたのは14年前のことでした。現在と当時でも原材料は、ほとんど変わっていません。卵・砂糖・バターを使わずに、ドライフルーツやナッツ類をたっぷり入れて焼き上げていて、当時は今よりも1,000円ほど安く販売できていたと弊社代表の平田は話します。

記録をたどると、7年前の2016年はホール1本で2,484円とありました。そして現在が2,700円です。これまでも原材料価格の高騰で何度か値上げをしましたし、消費税の増税も加わって、お客様がお支払いする値段はじわじわと上がっていました。

15年目の今年。シュトレンの材料が軒並み値上げしており、材料費や人件費等々を踏まえると昨年同様の2,700円では厳しい試算になりました。そこで一般的なシュトレンの相場(2,000〜6,000円)も踏まえて、今年の販売価格は3,240円で検討したのです。

「さすがにシュトレンで3,000円は、パンとして高いよね」

シュトレンの価格設定で迷っている話が社内の全体ミーティングで共有された際、平田はきっぱりとこう話しました。パンひとつに3,000円は高いように感じるので、できれば値上げはしたくない。ただ一方でこの状況では値上げも不可避だろうとも思うということで、社内では反論もありました。

結果、今年は価格を据え置きとし、2,700円で販売する決断をしました。結局、「パンに3,000円は高い」という感覚だけでの決定かもしれません。周囲で値上げが続く本年だからこそ、お客様にとって買いやすい値段でお届けしたいという強い思いが、今回は値上げをしないという決め手となりました。

三方よしでありたい

わざわざではシュトレンに限らず、パンやオリジナル商品等のものづくりにおいて、生産者・わざわざ・お客様の皆にとってちょうどいい価格であることを常に意識しています。そのため、どの価格も理由を説明できるようになっています。

例えば以前、わざわざオリジナル商品である「残糸靴下」の値段が高いという疑問の声をお客様から頂いた際には、なぜその値段なのかを記事にして説明させていただきました。沢山の反響をいただき、お客様にものづくりの背景をお伝えする良い機会になったと感じています。

わざわざが会社としてお店を営業し続けていくには、利益を得る必要があります。一方で、何らかの形でお客様に利益を還元することで、よい商品をお届けしたり、少しでもお買いものを楽しんでいただきたいという思いもあります。

オンラインストアの送料についてもそうです。これまで2万円以上のお買いものの方には送料をわざわざ負担としていた所を、今年から5,500円以上に引き下げました。これは試験的にキャンペーンを行いながらデータを取り分析し試算した結果、5,500円まで皆様にお買い求めいただければ、送料をきちんと払いながらも、わざわざオンラインストアを運営できると判断したためです。

このように、わざわざではお客様からは見えない部分で、生産者・わざわざ・お客様のバランスを取りながら工夫を重ねてきました。本当はこういうことを自分から言わない方がかっこいいのかもしれません。ですが、相次ぐ値上げで価格に対してシビアになりがちな今だからこそ、値段のことやわざわざの姿勢を説明することは大切なのではないかと感じています。思いが少しでも伝わっていたら嬉しいです。ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。

シュトレン、ぜひ食べてみてください

わざわざのシュトレンは、甘いものが苦手な平田が「甘さ控えめのシュトレンを食べたい」ということで、自分のために試作しはじめたのがきっかけで誕生しました。卵・バター・砂糖は使わずに焼いていて、ドライフルーツや国産小麦が生み出す自然の甘さと、渾然一体となった素材の香りが特徴的な仕上がりです。チーズや生ハムとも相性抜群で、よそではこの味は作れない、唯一無二のシュトレンだと自負しています。

来季はもう値上げせざるを得ないかもしれません。また来年の状況で判断することになると思います。ということで皆様、頑張って価格据え置きにした渾身のわざわざのシュトレンを、ぜひ召し上がってみてください!

監修>平田はる香 文責>いしはら 写真>若菜紘之

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