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プロフェッショナルの技術: アートとデザイン

挽きたての豆から珈琲を抽出し、季節の花を添えて出す…行きつけの喫茶店で、その手捌きにいつも見惚れてしまいます。分野問わず、プロの職人さんが手掛けるアート空間に浸りに行くのが好きです。

最近、アーティストとデザイナーに、ほぼ同時に仕事をお願いする機会がありました。芸術分野に限らず応用出来るよう、その共通点と相違点を言語化してみたいと思います。なお、わたしはどちらかというと、デザイン向きの仕事をしています。

まず共通点からですが、アートとデザインは、どちらもイメージを形にする営みです。かつて美術学校で教鞭をとった画家、パウル・クレーが明確に定義したように。

“芸術の本質は、見えるものをそのまま再現することではなく、見えるようにすることにある” ――パウル・クレー

次に、アートとデザインの違いは、その目的に表れます。

アート: 芸術の行為、そのものが目的である。デザイン: 相手の課題解決を目的とする。芸術は、そのための技術(スキル)である。

つまり、視点が違うのです。独自の世界観を、全面に打ち出すアーティスト。相手の立場を想像し、合わせていくデザイナー。

では、百聞は一見にしかず、ということわざがありますので、動画でお見せします。ファッション雑誌VOGUEから、3人のメイクアップアーティストによる競演をお楽しみください。アーティストど真ん中の方と、デザイナー寄りの方がいらっしゃいます。ちなみに、メイクのテーマは、フラミンゴ。写真から着想を得て、メイクで表現します。


さて、アーティストとデザイナー、その視点の違いを象徴する言葉を挙げてみます。

モリー: “羽根の質感や羽根についた水滴の質感. 水面に反射する水の色も,すごく気に入ったの. 写真を見た時の感情を表現したい”
リンジー:  “フォトグラファーの立場になって考えた. 草むらをかき分けて撮影する姿を想像したわ. わたしのメイクで表現するのは――やぶを通り抜ける光景よ”
デリーナ: “メイクで自分を好きになってほしい. わたしの理想は別人に変えるのではなく――その人らしいメイクをすること”

モリーさんは独自の世界観を描き出しています。一方、リンジーさんはフォトグラファーの立場を想像して創り、デリーナさんは目の前のモデルを魅せるメイクをします。


三者三様のメイク。皆様は、誰の創作が好きでしたか?もしくは、誰の態度・言葉に共感しましたか? 

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※パウル・クレーの言葉について、原典をあたりたい方は『造形思考〈上〉』「第10項 創造についての信条告白」をご覧ください▼



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