【シリーズTurntable第1回②】株式会社NIHONGOに学ぶ、社会起業の原動力
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■ダイジェスト■
・Bar Turn table初回ゲストにお呼びした理由である株式会社NIHONGOさんの魅力、そしてその歩みが物語る社会起業で成功する上で大切なことをご紹介します。
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―魅力―
自分が信じたものへの忠実さ
―社会起業成功に大切なこと―
①走りながら戦略を考えるしなやかさ
②プロフェッショナルとしての責任感
③事業への本気度
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【Ⅱ.NIHONGOの歩みが教える、社会起業の原動力】
この連載記事では、先日開催した初のトークイベントBar Turn tableに関するコンテンツをお届けいたします。
(※イベント概要は前回記事をご参照ください↓
https://note.mu/guidepost_pr/n/n9a92f0d846f5)
NIHONGOさんをバーの初回ゲストにお呼びする原動力となった、いくつかの心惹かれた理由をご紹介します。事業への思いや方法ーそこからは社会貢献への姿勢、戦略的思考、ビジネスのみならず人生を歩む上で重要なことを学ぶことができます。
代表取締役永野さん、トレボル校長西さんと会う度に感じることは、自らの信念への忠実さです。そうした清々しい姿勢に、心惹かれていました。
日本語講師なりたての頃の永野さん
日本語教育はその担い手の約60%が未だにボランティアで占められ、日本語学校も法的な制約から満足のいく給料を得られていない現状があります。そうした業界に営利企業として参入することはそれ自体が挑戦でもあります。
お二方とも、元はベテラン日本語教師、サラリーマンとして安定したレールの上を走っておられたとのこと。そんなお二人を思わぬ方向に突き動かしたのは、日本語教育を取り巻く現状から目を背けられなかったお人柄でした。
永野さんに事業を始められた理由をお尋ねすると、「知ってしまった責任」とおっしゃられました。教え子たちが不法滞在の状態に陥り、犯罪に走ってしまうケースも見て問題の根深さを知ったもやもや、不快感―それを晴らすことが事業の原動力とのことでした。西さんからはお子さん一人ひとりそれぞれ事情があること、まだまだケアしたいお子さんがご近所にいることを事あるごとにお伺いし、目を背けられない実直なお人柄がひしひしと伝わってきました。
学生時代から様々な教え子に熱心に向き合ってきた西さん
目先の利益でなく、人間として何をするべきかを考えて日々挑戦されている姿に、心動かされる人は多いのではないでしょうか。そして、そういった確固たる意志のある人の姿勢が平和をもたらす原動力ではないかと、道しるべでは考えています。
NIHONGOさんのみならず、社会貢献をミッションとする方々・組織にはたくさんの心打たれる志の方がいらっしゃいます。実社会ではさらに、どれだけのインパクトを発揮できるのかも評価の対象となります。NIHONGOさんの事業からはどのように実社会でパフォーマンスを発揮するのか、そのヒントも垣間見えます。特に、以下の3つが参考になるポイントではないかと考えます。
【①走りながら戦略を考えるしなやかさ】
会場でも様々な現在進行中の事業アイデアを語られていた永野さんは、事業拡大に余念がありません。常にアンテナを張り、チャンスと思ったことは逃さない―、そんな永野さんの手元には会うたびに新たな事業アイデアが生まれています。
永野さんに事業を営む上で大事なことをお伺いした時の答えは、「サバイバル」。世間の注目を集めるためのメディア発信のチャンスをつかんだり、最新技術も駆使した教科書作りに出版社と二人三脚したり―。次回のNIHONGOナイトまでにどんな変化があるのでしょう。
永野さんに「人生を狂わせた」と言わしめた「TOKYO STARTUP GATEWAY(TSG)」。ファイナリスト10名に選出され、この経験がNIHONGO起業へとつながる。
【②プロフェッショナルとしての責任感】
NIHONGOの教室立ち上げまでのプロセスからは問題の最前線に携わってきた知見・ノウハウの豊富さ、そして問題を知っているからこその責任感がひしひしと伝わってきます。
トレボルNIHONGO教室開校時のチラシ。「トレボル」はスペイン語で幸せを運ぶ「クローバー」の意味。
かねてから「教育には医療並みの責任が伴う」とおっしゃていた永野さん、西さんの日本語教育へのプロとしての責任感は、最新のICTツール導入、子どもの学年でなく実際の学習レベルに合わせたカリキュラム設定など教室の運営方法にも表れています。
現実を直視し、自らの専門性で新たな一歩を踏み出しているお二人の道のりはプロフェッショナルのあり方を示しているように感じます。
【③事業への本気度】
これはあらゆる事業、将来への夢に歩む人に共通して求められる大切なことではないでしょうか。
魅力の部分でも触れた通り、収益見込みの少ない業界に営利企業が新規参入すること自体、それだけでも大きな挑戦です。本職をなげうっての挑戦、人が振り向くのはその情熱の故ではないでしょうか。
NIHONGOさんが教室開校時のクラウドファンディングで瞬く間に第一目標金額を達成し、第二目標もクリアしてしまったのも、本気で問題に取り組み続けてきた姿勢がステークホルダーに伝わっていたからこそだと考えています。そうした情熱がセオリーある教室運営で裏打ちされているからこそ、信頼が集まるのではないでしょうか。
絵描きを目指して筆を執る、大切な人においしい料理を作るために料理本を買う―。会社を興すといった大きなことのみならず、一つひとつはその人にとって将来への大事な挑戦です。そうした願いに本気で向き合っているか、一歩ずつでも前に進めるかが成否を分けるのではないでしょうか。NIHONGOさんの試行錯誤の日々は、そうしたことを教えているように感じます。
トレボルNIHONGO教室スタート。まずは横浜市金沢区から第一歩が始まります―。
NIHONGOさんの今後の事業の歩みに微力ながらでも寄り添えれば、と道しるべとしても願わずにはいられません。
シリーズの最終回では、道しるべが実社会への応用を考える紛争解決学の視点から、現代日本での日本語教育の意義を総括します。
(トップ写真:タウンニュース 金沢区・磯子区版『外国ルーツの子 支える教室 金沢区釜利谷東に4月開講』https://www.townnews.co.jp/0110/amp/2019/04/18/477966.html?fbclid=IwAR3u1XNSSOaLTVILpiUTXlxwuCu0WB3wT8IeblsZIpLM_ULSkdr4JEo61i4
記事中の永野さん・西さんの写真:Ready for『高校在学率30% 日本語ができない子どもたちの可能性を拓く教室を』https://readyfor.jp/projects/nihongo他筆者撮影)
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