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道南道の駅完全制覇の旅 #2

4/28 5:30
鳥の声で目覚める。気温は10度。
テントを張らなくてもしっかり熟睡。
昨日は暗くて気付かなかったが、五稜郭みたいな形をした敷地だった。
乙部のミニ五稜郭は野宿に向いてる、と心にメモをしながら出発の準備。
乙部、決して大きな街ではないけどセコマもセブンもローソンもある。
24h営業のコンビニがあるので野宿でもどうにでもなる。

晴れで虫いなければテント要らない
静かな目覚め

舘の岬が通行止めなので、迂回路へ。といの水、という湧水スポットがあった。ここ以外にも乙部には湧水がたくさんあるらしい。ますます魅力を感じる。迂回路への坂道でふと振り返ると、さっきまでいた乙部の街を見下ろせる。

左下の道路が通行止め

迂回路はだいぶうねうね道。見た目はけっこうな坂だが上っては下ってを繰り返すのでそんなにキツくない。
シラフラで見た白い壁みたいなところがいくつかあって見た目にも飽きない優雅な上り。
日本海側の中でもちょっと変わった雰囲気の道だった。
通行止めしてなかったら通ることはなかったのかも、と思うとこれもまた運命的な出会いだと思う。

うねうねつづら迂回路


4/28 6:30
楽しいうねうねアップダウンを繰り返しているうちに、あっという間に目的地の元和台へ。
本来であればここで野宿の予定だった。
着いてみると広い緑地に遊具、東家、レストランまである。
道の駅オープンまであと2時間。早起きしすぎた。
たまには軽ギアでゆっくり来ようと思っていたが、楽しくてすぐに重くしてしまう。
数年後にツケが来るのだろうか、お肌と一緒で。

元和台緑地広場、海のプールをまったりうろうろする。
こんな時でもないと、ゆっくり写真や動画を撮ることが無いので、ここぞとばかりに愛車を撮る。

ぜんぜんここでも寝れる

乗り始めた頃は、特に進むこと自体が楽しすぎて、とにかく止まりたくなくて、ずっとずっと乗っていた。
止まることが無いから写真も動画もほとんど撮らないし、「また来ればいいや」とすら思っていた。
初めて行くところ、初めてみる景色を目の前にした時、すごくすごく感動して「忘れることなんてない」と思うけど、時間が経つとその記憶の鮮明さは失われて、出来事を覚えていたとしても細部までは思い出せなくなっている。
SOMAに乗り始めた年は、本当に記録が少なくて何があったか思い出せない部分も多い。あんなに走ったのに。
オロロンラインもオホーツクラインも、ほかの通った道も「とにかく最高だった」ということだけは覚えていて、「それだけでいいじゃん」と思うこともある。
しかし、ふと写真を見返した時、当時書いたものを読み返した時にようやく蘇るものがある。
また、振り返ることで、当時と今の心境の変化、価値観の揺るがなさ、キャパシティの深さを実感できる。
自分自身を俯瞰から見られるような、自分で自分を支えるような感覚だ。
「誰かのための何か」ではなくて、近い未来の、遠い未来の自分のために、しっかりと残していきたいと思う。

前の方に何かが祀られてた窓岩
愛車とのツーショはいくらあっても良い

存分に愛車撮影をしたところで、道の駅オープンまであと30分。
うろうろし疲れてきて、ベンチに座る。
散歩中の地元のおばあちゃんに話しかけられ、話すうちに気に入られたのかC1000を奢ってもらった。

4/28 8:30
元和台の道の駅オープン時間。
一台の軽トラが来る。
乗っていたのは、昨夜晩御飯を食べた「四季彩岬」のご主人。
まさかの道の駅のオーナーさんだった。
嬉しい偶然に思わず名刺交換。昨夜の野宿の快適さを報告しつつ、ピンズガチャを回す。
出てこない。
ガチャが壊れているらしく、手渡しでピンズをもらう。89ヶ所目にして初めてのパターン。
乙部が想像していたよりずっと素敵な街だったこと、次はお酒を飲みに「四季彩岬」に行くことを約束して、道の駅「ルート229元和台」を後にする。

4/28 9:00
元和台出発前にタケさんからメッセージ。
「その先のしびの岬、桜の名所だよ」
地図で見てもらえれば分かるが、教えてもらわなかったら間違いなく素通りしていたであろう場所。
寄ってみたが、本当に桜の名所だった。
なだらかな丘に一面桜の木。地元民ならではの情報は本当にありがたい。タイミングもバッチリでさすが!

意図せずお花見

4/28 10:00
これまた来てみたかった熊石。
予報になかった雨が降り始める。
念のため持ってきていたつぐちゃんゴーグルが大活躍。
ただ、もちろん冬用なので鼻の辺りが濡れてむず痒い。夏の視界対策の必要性を感じた。
また、今回は着替えを一切持ってないため、万が一に備えてレインパンツも積んでいた。
こういう準備が的中した時の感覚、誰か名前を付けてはくれないだろうか。

元取りすぎたゴーグル

この時、ありかさんからアワビ情報をもらったが、熊石にたどり着いた時間が早すぎてお店が開いてなかったので今回は断念。
この旅のゴールを彩るために、現地で食材を調達する。

熊石産アスパラ

晴れ女すぎて、今まであまり雨の中走ることなかった分、すごく記憶に刻まれる日になりそうだ。
実際、初めて洞爺に自走で行った日、北湯沢以降ずっと雨だったこと、サロマ湖でゲリラ豪雨に当たって肉まんで暖をとったこと、中標津で台風直撃してやむなく輪行したこと。今でもすぐに思い出せる。
「熊石でパニアの中まで濡れるくらい雨に当たった」ことも忘れることはなさそうだ。

4/28 11:00
大成の道の駅に到着。
かじかんだ手でガチャを回す。
90個目、そしてこれにて道南の道の駅は完全制覇。
嬉しさに浸っていると、スタッフのおばちゃんに声をかけられる。全身びしょ濡れだもんな。
なんとなく買ったヨーグルトが激ウマ!
少しゆるめで甘さ控えめ。今まで食べたヨーグルトの中でいちばん好きかもしれない。

もう一個食べたかった
自転車旅じゃなければ買ってた

大宮から来たという昆虫マニアのおっちゃん。
私があまりにも美味しそうに食べてたからヨーグルトを買ったらしい。
話を聞くと、これから昆虫の罠を仕掛けに寿都に行き、その後全道各地へ罠を仕掛けに行くそうだ。
各地のオススメスポット情報を提供したら、札幌のオススメカレー屋さん情報を教えてくれた。
気付いたら一時間以上経っていた。

4/28 12:30
この日のランチに狙っていたお店へ向かう。
天沼食堂、調べて出てきた写真がどれも美味しそうなのだ。
しかし、今は営業していないらしい。
お肉屋さんとしてはやっており、大変美味しそうなお肉が盛りだくさんだったので、いつかここでお肉を買って、キャンプで焼きたい。
帰り際、この辺でごはんを食べられるところはないか聞く。
近所の「若竹」というお店をすすめられたので行ってみる。
広いお座敷の定食屋さん。暖房がついており冷えた体があたたまる。お客は私のみ。
昨日の夜も食べたしな、と思いつつも生姜焼き定食を注文。好きなのだ。
食後、満腹感と部屋の暖かさが相まって眠気が襲う。申し訳ないと思いつつ10分ほど寝落ち。
道北ライドの時に確信したが、どんな上り坂より、どんなロングライドより、やはり寒さがいちばん堪えるらしい。
※道北ライドについては後日記録したい。

マヨネーズはびしゃがけ

少し寝てスッキリした頭で再出発。
この短時間では、いつものmont-bellオレンジと手袋は乾かなかった。

4/28 13:30
道道740号線を北上する。
トンネルの手前、通行止めゲートの向こう側にお地蔵さん。
その先に今は使われていないであろう道の気配。
自転車を止め、少しだけ様子を見にいってみた。
山が海に突き出ているところ、ゴロゴロ落ちてる岩と今にも崩れてきそうな岩壁。
使われなくなった海沿いの道特有の物悲しさを感じる。
手前はそこそこしっかりした道だったので自転車も持ってこようと思ったが、もう少し進んだところがガッツリ崩れていたので自転車では厳しそうだった。

侵食

トンネルの出口側に繋がっているようだだったが、ある程度進んだところで、今日のもう一つの目的のための時間が無くなりそうなことに気が付き引き返す。再び自転車に乗り、トンネルを抜ける。反対側にはしっかりとバリケードが張られており、飛び越えるのは容易じゃなさそうだったため、自転車で行かなくてよかったと思った。

海沿いを走ると時々見かける昔の道。
通れていた時のこと、通れなくなってしまった時のこと。知りたい。
こういうのはどこかに記録が残っているんだろうか。

この場所は「帆越岬」で調べると少しだけ情報が出てくる。
海釣りスポットでもあるとか?
とはいえ、あまり立ち入ることは推奨されていないようだった。

#3へつづく

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