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ハラリ『サピエンス全史』&『ホモ・デウス』を読む

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『サピエンス全史』を中心に、ユヴァル・ノア・ハラリの著作に関するnote+αを集めました。
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2020年8月の記事一覧

『サピエンス全史』の幸福論―感情から意味、意味の生成へ、虚構の力を引き受けること

ユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』を読んでいると、下巻の240ページに興味深い一節を見つけた。 そこには次のように書いてある。 「感情は自分自身とは別のもので、特定の感情を執拗に追い求めても、不幸に囚われるだけであること[…」もしこれが事実ならば、幸福の歴史に関して私たちが理解していることのすべてが、じつは間違っている可能性もある。」(p.240) 「特定の感情を執拗に追い求めても、不幸に囚われるだけ」とある。なかなか強烈な一言だと思う。下巻のこのあたりでハラリ

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飢饉、疫病、戦争から不老不死、そして「生きる意味」へ ―ユヴァル・ノア・ハラリ著『ホモ・デウス』が問うこと

『サピエンス全史』に続くユヴァル・ノア・ハラリの著書『ホモ・デウス』を読む。 『サピエンス全史』は「虚構の力」という一本の軸線の周りに人類の数万年に渡る歴史を再構築しようという一冊であった。 それに対して『ホモ・デウス』は歴史の終着点である現在を扱う。 「虚構の力」は私達ホモサピエンスが「言葉(話し言葉)」で考えることを可能にした。そして虚構を共有し、まだ見ぬ未来のために時空を超えて協力することを可能にした。 認知革命、農業革命、書字の発明、そして科学革命と人類史上の

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