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「自己中心的」という言葉に感じる違和感

はじめに

誰もが「自己中」という言葉を耳にしたことがあるだろう。
それだけでなく他人に対して自己中だと思ったり、その逆で自己中だと思われたり、言われたりした経験がある人もいるだろう。しかし僕はこの「自己中」つまり「自己中心的」という言葉に違和感を覚える。

言葉の意味を再考する

自己中という言葉は誰に聞いても「性格の悪い人」と答えられそうだが、本当にそうなのだろうか。

あえて自己中心的という言葉を冷静に見つめてみると「自分を中心にして考える」を意味する言葉に見える。つまり対義語は「他人中心的」もしくは「世界中心的」はたまた「自分以外中心的(?)」よくわからない。

ただ、「自分」が「自分」を中心に世界を感じ、「自分」を中心に他人を感じて生きていくのは至極当然のことなのではないか。自分と関わりのある人間を知人と認識し、自分を産み育ててくれた大人を親と認識し、自分のいるこの惑星を地球と認識するだろう。

つまり、自分以外を中心に置いて物事を認識したり、生活する人間などは存在しないと考えている。

調べてみる

困った時はgoogle先生に聞いてみるのが早い。
十分な考察をした上で答えを聞いてみる。

自己中心性 (じこちゅうしんせい、英: egocentrism)とは、自分と他人が区別できないことである。具体的には、主観的スキーマを客観的現実から導くことができないこと、また自分以外の視点を正確に想定・理解することができないことである。単に自己中心(じこちゅうしん)、これを強調的に指す場合は自己中心的(じこちゅうしんてき)とも言う。
発展した解釈で「利己的な」という意味で使われるが、本来の意味からすると誤りである。自分と異なる価値観があることを理解できずに自己の利益や主張を優先するという点で利己的とは異なる。

「自己中心性」(2019年9月12日 (木) 07:48  UTCの版)『ウィキペディア日本語版』。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%A9%E5%B7%B1%E4%B8%BB%E7%BE%A9

少しわかりにくいので、この結果からわかることを整理しよう。

①「自己中心的」という言葉は「自己中心性」という言葉の派生語であることがわかる。

②自己中心性とは、「自分と他人が区別できないこと」「自分以外の視点を性格に想像、理解することができないこと」という要素があることがわかる。(スキーマのところはよくわからない)

「利己的な」という意味で使われているが、これは誤りであることがわかる。

答え合わせ

上記の結果から、「自己中心」という言葉は上記で考察した「自分を中心に考える」ということではなく、自分のことしか見られないという意味だということがわかった。
ちなみに「自己中心性」の対義語は「協調性」だそうだ。これはすごく納得がいく。

『「利己的な」という意味で使われているが、これは誤りである』という部分が違和感の根本的原因の解決策になると思う。

利己的とは

「利己的」は利己主義の考え方のことを指すので「利己主義」について調べてみる。

利己主義(りこしゅぎ、英: egoism)は、自己の利益を重視し、他者の利益を軽視、無視する考え方。それにより、他者が不利益や損害を被ることも少なくない。

「利己主義」(2020年11月25日 (水) 03:56  UTCの版)『ウィキペディア日本語版』。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%A9%E5%B7%B1%E4%B8%BB%E7%BE%A9

自己中心性と利己主義を比較してみる

自己中心性:自分のことしか考えられない
利己主義:自分の利益以外を軽視、無視する

2つの言葉を並べると違いが理解できるだろう。

ここまでのことを整理すると、世間一般で言う「ジコチュー」とは利己主義のことを指し、利己主義を悪とする悪口なのではないかと考えられる。

利己主義は悪?

いや、まだ納得がいかない。
利己主義は悪なのであろうか

「自分」が「自分」として生きる上で、自分の利益を最優先するのは当然のことなのではないか。それなのになぜ利己主義は悪だと認識されているのか。しかし利己主義が悪影響を及ぼすことは直感で理解ができる。どうしてなのか。

利己主義の悪影響

この答えを見つけるために、利己主義なAさんと、それに関わるBさんを想定してそれぞれにもたらされる悪影響を整理してみる。

①AはBの利益を軽んじるのでBは利益を得られない、もしくは損失を被ることとなる。(Bへの悪影響)(Aへの好影響)
②Bはこれ以上損失を被りたくないのでAと関わらないようになる
③AはBの協力が得られなくなったので、損失を被る(Aへの悪影響)

まず利己主義は関わる相手に悪影響を与えてしまう。このことから、利己主義が相手に悪影響を与えることがわかる。
ただ、その後に自らも悪影響を被ってしまう。これが「利己主義は悪」だとされる所以なのではないだろうか。

結局はAさんもBさんも「自分が損をする」ということを嫌うだけなのだ。

ということはBさんの考えは利己主義、つまり「自分が得したい」という考えと違いはないのではないか。

何が悪か

上記の例で考えると、利己主義は双方へ悪影響をもたらす場合が多い。
だから悪であり、避けるべき考えなのではないか。
つまり問題は「自分が得すること」を優先したことではなく、短期視点で自分の得を考えてしまったことにあるのではないだろうか。
長期的に得をしようと思えば、相手も利益を得るように、つまりwin-winの関係を考えた方が良いとわかる。

これで利己主義を脱出できるのではないか。

大事なのは想像力

利己主義のAさんは目先の利益を求めるあまり、最終的に損をする結果となった。これは長期視点を持っていなかったこと、つまり先を想像することができなかったことが原因にある。
本当に得をしようと思えば、相手との良い関係性を維持しつつ物事を進めていく必要がある。
その際に必須となってくるのが「自己中心性」の対義語である「協調性」である。
つまり自分以外の視点を想像、理解することだ。

具体的には

こう言ったら相手はどう思うだろうか
自分が相手の立場ならどう感じるだろうか
相手が「協力したい」と思う人はどんな人だろうか

などを想像しながら生きることが重要だ。

まとめ

「自己中心的」は自己中心性の派生語である。
「利己主義」という意味で使われているが誤りである。
利己主義を脱するのに必要なのは相手の視点に対する想像力である。

結論として「相手の立場に立って考えよう」と、至極当然のことを再認識する結果となったが、見た目は同じでも言葉の重みは増したのではないだろうか。

自分自身も想像力を発揮して協調的に生きていこうと意思を固めた。


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