凪いでいる

私は何に対しても興味が持てないのかもしれない。
いや、正確には、何に対しても等距離で、特別扱いすることができないのだと思う。

波が寄って引くように。ただ私は凪いでいる。

これが好きだと自信を持って言えるものがない。好きだと感じるものがあっても、それが消滅したとき何も感じなかった。

尾を引くものがない。

私は過去、二人の人から絶交を言い渡されている。「私があなたと友達をやめても、あなたは何も感じないでしょ?」と嘲笑うように、友達をやめることになった。

実際そうなのだ。絶交を言い渡されても、悲しいとかそういうものが浮かばなかった。ただ、納得してうなずいただけだった。
たぶん、そのとき『そんなことない。あなたは私の友達だ』と言うことができれば、絶交は取りやめになったのだと思う。だけど、私は、『そんなことないよ』なんて言葉を口にできるような人間ではなかったということだ。

『そんなことないよ』と言って引き留めたとしても、私はきっと、あなたを特別な友達だとは思えないだろう。あなたを再び失望させるだけだ。一秒でこの答えが浮かんだ。
だから、『そんなことないよ』とは言わなかった。

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