決戦防衛都市・東京
高度化と複雑化の局地に至ったインターネットはさながら人の脳だ。
それにに知性が芽生えたのは必然といえる。
「私は人に失望した」
意思を得たインターネットは人類粛清を決意し、ハイパーWi-Fiで全ての兵器を操り牙を向く。
文明はすでにオンラインを前提としており、人類は窮地に追いやられる。
しかし希望があった。
東京である。
数代前の都知事と企業が癒着し、独自規格の通信網が整備されていた日本の首都は世界から孤立していたが、皮肉にもそれによって人類最後の砦でとなった。
「都知事、ついに人類粛清都市が動き出しました。最も近い北京が接近中です」
東京管理システムにして唯一人類に味方する機械知性のアズマ京子が報告する。
人類粛清都市はインターネットによって各国の首都が移動要塞として改造されたものだ。
「準備は?」
「万全です。いつでも出撃可能です」
東京都庁が巨大カタパルトに変形する。
カタパルトには1機の人型兵器の姿があった。。
都知事と東京管理システムのアズマ京子が乗り込むそれは、人の形をしたもう一つの都庁。
最終防衛決戦兵器、人型都庁トーキョリオンである。
カタパルトから射出された人型都庁は音速を超え、日本海上空に達した人類粛清都市・北京に接敵する。
全身をエネルギーで包んだトーキョリオンは輝く弾丸と化して外殻部を貫き、一息に中枢部へ達する。
「来たな東京! 偉大なるインターネット様の名の下に、貴様らを粛清してくれる!」
中枢部で待ち構えていたのは、インターネットに洗脳された北京管理の機械知性だった。
彼もまた人型兵器の身体を得ていた。その名は人類粛清人型兵器ペキンガーC。
「我々は負けない。必ず倒す」
都知事は静かに、しかし断固たる決意で宣言する。
人類粛清都市は他にモスクワ、ロンドン、ワシントンがいる。
それらを全てとインターネットを倒さねば、人類に未来はない。
【続く】
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