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20230705【ふかいメルマガ第6回】言語化は再現性

おはようございます!
毎週、皆さんとオンラインで会ったり、
本社や皆さんの現場でリアルにお会いしていますが、
いやぁ、ほんとにおもしろいです!
勉強になります。

私のミスで、約束の日時を間違えたり、
場所を間違えたり、電車に乗り間違えたり、
ご迷惑をおかしましたが、(その節は心からすみませんでしたm(__)m)
お話しを聞いて、皆さんのスキルで成り立っている会社や業界があり、皆さんの24/365(これもここで初めて聞いた言葉の一つです)シフトによって、私たちの社会が守られていることを知りました。

それから、「少ない」のですが、このメルマガに「多くの」質問や意見をいただきます。少ないのに多い、質問や意見・・・(わかる人だけにわかる表現)ありがたいです!

オンラインでしたが、個別にディスカッションもしました。
そんなわけで、あっという間に1週間が過ぎていきますねー。

ところで今日の本題です。
私が、ヤラカス舘→YRK&で30年以上取り組んできた、マーケティングやマーチャンダイジング(商品政策)、ブランディング、マネジメントという仕事には、様々な理論や考え方があります。

第4回でお話しした「マーケティングの4P」もそうですし、
「プロダクトアウト・マーケットイン・ユーザーイン」
という考え方もそうです。

そしてマーケティングの父と言われる、
90歳で現役のフィリップ・コトラー先生は、
マーケティングを、1.0から2.0、3.0と時代とレベルで分けていて、今は4.0まで本にしている、のかな?5.0までいってるのか、もうわかりません・・・(ベンキョウしなさい)。

でも、毎日不確実な実務に追われていると、理論や考え方には当てはまらないと思うことも多くありますよね。現場も知らない学者さんが、理論だけでパパっと問題を整理したからって、信用できるわけがない
・・・最近似たようなこと言われたような(;’∀’)
とも思うわけです。

一方で、理論や原理・原則を知っておくことは、実務上の複雑な場面での判断において、強い後ろ盾になります。
私が生きてきたマーケティングの世界は、とても曖昧です。
資格が無くても仕事ができます。
日本語が読み書きできれば、「マーケティングプランナー 深井賢一」
という名刺を持って営業ができます。
30年前(正確には32年(-_-;))、私がこの業界を志望した動機が、
「マーケティングプランナー」という肩書がカッコイイから、でした。
(ハズカシナガラ)

そしてマーケティングという仕事は、
発注する時にあるのは、提案書や企画書という想像図・イメージだけで、
この人や会社なら、きっと期待通りのものを提供してくれるはず、
という思いだけで大きな金額で発注してくれる、と言っても過言ではありません。
そういう業界、他にはあまりないと思います。
服を買うにも、車を買うにも、現物を確かめますよね。
家を建てる、ビルを建てる、というような大きな買いものであれば、
なおさら完成予想図だけでなく、模型にしたり、
最近ではARで実際に完成した建物の中を歩いてみたりして、
確かめるはずです。

そういった業界に比べて、とても曖昧で、
一歩間違うといい加減になりやすい業界が、
マーケティングやブランディング、広告・PR業界だと思っています。
(ちなみにYRK&は広告やPRではありません)

そこで重要になるのは、「言葉」と「数字」です。
「過去実績」よりも、この2つが重要だとさえ思っています。

なぜなら、ブランディングやプロモーションは、
絵や写真で表現することも多いので、
なおさら「言葉」が重要だからです。
たとえば、「できるだけ明るい表現で」「若々しく見せたい」というような
言葉による打ち合わせから、ビジュアル作成に入ることも多くあります。

相手が使っている言葉をどう読み取るか、
どう正確に明確化していくか、
これは、「言葉のやり取り」で決まります。

だから、言葉による理論化、
数字の裏付けは重要になるのです。
そして、判断の後ろ盾になります。

ところで、みなさんと話をしていて再認識したことがあります。
それは、エンジニアの世界は、今話した私たちの世界とは、
まったく違うということです。

エンジニアの世界は、ほとんど「言語」で成り立っている世界だからです。

C++、JAVA、VBne、 C#、 PHP 、SQL、 CCNAなどなど(ムズカシイ)
ネットワークやサーバー、保守メンテナンスもそうですし、
ヘルプデスクなんてなおさら「言葉」だけで成り立っています。
すべてが、「正確な言語」無くして成り立たない仕事なのです。
言語による理論化や
知識や技術の体系化は、
極めて重要です。

その対局にあるのは、
我流の知識、
経験による技能の習得です。

大きな違いは何でしょうか。
スポーツでも料理人でもビジネスの世界でも、
知識や技術の体系的な習得と、
我流による経験的な技術習得の違いは、
再現可能かどうかです。

あの人ならできるけど、
他の人は同じようにできない、
ということがあります。

帝国ホテルの総料理長だった故村上信夫さんの話しを思い出します。
見習いで帝国ホテルに入り、皿洗いの毎日。
しかし、先輩たちは自分たちが使ったフライパンや鍋を、
そのまま洗い場には出さず、
洗剤を入れて味見ができないようにしてから出したそうです。
ソースの味を、後輩や同僚に盗まれないようにするためです。
だから逆に、先輩に認められたという証は、
洗剤の入っていないフライパンや鍋が、
洗い場に出されるということだと、
村上さんは述懐していました。

そのフライパンのソースをスプーンですくって舌の上で何度も味わい、
どんな材料がどれくらい分量で、
その味がつくられているのかを、舌で盗んで学ぶわけです。
その後村上さんは、帝国ホテルの専務取締役総料理長にまでなるのですが、帝国ホテルが提供する料理の味のレベルを高く維持するために、
先輩の技を盗んで技量を上げる集団から、
レベルの高い料理人を育成する組織に変えていきました。

同じような話しは、日本のミシュランにおいて、
創刊以来連続で3つ星を取っている、
京都菊乃井の三代目村田吉弘さんもされています。
京都の料亭は、代々その味を秘伝のように受け継いできました。
それを村田さんは、調味料や食材の分量を数字にして、
料理人を育成する方法に変えました。
そのやり方は、同業者から批判も浴びたそうですが、
菊乃井代々受け継がれた料理のレシピを、
自社の料理人に公開し、
書き写せば誰でも同じような味がつくれる仕組みにしたのです。

「見て盗む」「背中から学ぶ」ということは、職人の世界にはありがちです。これはこれで感銘を受ける話がたくさんあるのですが、
(特に奈良の宮大工 故西岡常一さんが大好きで、いつか書きたい!)
会社という組織の中では、非合理的な考え方だと思います。
なぜなら、ノウハウ(知識・技術×経験)が、極めて属人的になり
その人しかできないノウハウになってしまうからです。

再現性の問題です。
誰でも、いつでも、再現できる仕組みになっているというのが
組織の理想です。
人で儲けている会社
は、
その人が辞めると穴が空いてしまいますが、
仕組みで儲けている会社は、
人に過度に頼ることもなく、
そこで働く人は、仕組みから知識や技術を学ぶことができるため
他でも通用するノウハウを得ることができます。

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」
ドイツの名宰相ビスマルクの有名な言葉です。

ウェーブもそういう会社にしていきたいと思っています。
ところが、おもしろいのは、同じようにノウハウを公開しても、
同じ知識と技術を身につけても、
能力の「差」、実績の「差」が出てくることです。
ここがプロの世界の醍醐味です。

これについては、次回のメルマガ、「姿勢」でお話しします。

深井賢一

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