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20211011ふかいメルマガ20回 KYのススメ 正常性バイアス

おはようございます。
先週の7日(木)午後10時41分ごろ、首都圏では大きな地震がありましたね。
今回の地震、マグニチュード(M)は5.9でした。
私は、阪神淡路大震災は大阪で、
東日本大震災は東京で経験していますが、
阪神淡路大震災でM7.3
東日本大震災でM9

二つの震災の大きさがわかります。

ところで国は、M7以上の首都直下地震が、
30年以内に70%以上の確率で起こる
と、
2015年ごろから公表しています。
そうなると、6年縮んで24年以内の70%以上となりますが、
いつ起こってもおかしくないということです。

しかも首都直下地震の震源地は、
東京を中心に首都圏18ヶ所以上が想定されています。
首都圏にいる限り、残念ながら逃げ場はありません。

今回のメルマガは、多様性について意見と質問をいただいていたので
そのことをテーマにしようと思っていたのですが、

先週の地震で、私自身大きな反省があり、
また確実に来る首都直下地震への備えと心構えを
テーマに変更させていただきますm(__)m

時系列でざっと地震当日を振り返ります。
地震が起きた午後10時41分、
私は自宅でYouTubeのテレビを映しながら、
ゆるゆると飲んでいました。
その時大きく家全体が揺れ出し、
その直後に何台かのスマホから
一斉に緊急地震速報が鳴りました。
ブイッ!ブイッ!という独特の音で、
聞いたのは久しぶりでした。
しかも揺れが長く続きました。
今までの地震よりも大きいと直感し、
テレビをYouTubeから地上波NHKに切り変え、
状況を確認しました。

「埼玉南部と足立区で震度5強」
うん!?けっこうな揺れ。

でも、中継の映像で見る限り、
倒壊などの大きな被害は無さそうで、
街中の人たちも、いつも通りのようでした。
品川駅周辺の惨状は、1時間経ってから中継でわかることになるのですが、
この段階では「これくらいなら大丈夫だろう」と思っていました。

冨永さんから私にteamsのチャットが入りました。
午後10時53分。
「システムのメンバーから被害があれば共有ください」というもの

早い!
「わかりました」と返信して、
あれ?システムのメンバーの安否確認、なにでするんだ?

部会の連絡、在宅勤務時の個別連絡など、teamsとLINE、メール、
それぞればらばらに使ってきたので、
とっさにどれで連絡すればいいんだろうかと思いました。
が、「大きな被害も無さそうだし、何かあれば連絡があるだろう」
と、なんの根拠もなく勝手に思ってしまいましたm(__)m

これが今回の大反省です。
正常性バイアスですよ!正常性バイアス!
これ、一番ダメなやつです。

今日のテーマです。

23時10分にYRK&取締役で中許祐里子(ゆりこ)さんから、私あてに
「東京は地震がったようですが、大丈夫ですか?安否確認は走らせましょうか?」とGoogleチャットが入りました。

ちなみに中許ゆり子さんは、YRK&の事業共創本部の管掌役員で、
10月1日からウェーブの監査役になりました。
事業共創本部というのは、ウェーブの管理本部です。
私は、大丈夫だと思っていたのですが、
このチャットに背中を押されました。
大丈夫だ、と思うなら、大丈夫かどうか連絡をとったほうがいいし、
一人で不安な人もいるかもしれないから、
大丈夫でも声はかけたほうがいい、と思い直したのです。

23時32分にYRK&東京メンバー宛に「安否確認」が走りました。
中許ゆり子さんが直接メッセージを入れてくれたのです。
私はその間に、東銀座のYRK&東京オフィスに電話を入れると、
2人の男性社員が残っていました。
無事でしたが、エレベーターが止まっていること、
帰りの電車が止まっていることを聞きました。

また冨永さんから、組み込みのメンバー1人が
緊急停止した電車の中にいることを知らされました。
そしてシステム開発事業部メンバーに、
Teamsのチャットと、メールで安否確認の連絡を送りました。

23時59分・・・・
地震発生から、1時間18分もたってからでした。

遅い!
この初動の遅さ、猛烈に反省ですm(__)m
全員の無事は、確認できましたし、
これをきっかけに、システム開発事業部それぞれのメンバーとの安否確認は、何を使って行うか、確認もできました。

ただねー、遅い!それにしてもあんた遅いよ・・・スミマセン。
実は、私、2016年に東大の片田敏孝先生のセミナーを受けていました。
片田先生は、東日本大震災の「釜石の奇跡」で有名になった防災の専門家です。
「釜石の奇跡」というのは、東日本大震災時に津波に襲われた釜石市で、学校にいた小中学生3,000人が山へ走って逃げて全員助かったという出来事。
海外でも「カマイシ・ミラクル」と呼ばれているそうです。

石巻市で、津波から逃げ遅れて児童74人と先生10人が死亡した「大川小学校の悲劇」と対比して語られます。

なぜ釜石では奇跡が起こせたのか、以下は、片田先生の話しです。
そこで出てくるのが「正常性バイアス」で、大きな災害が起こった時に、「自分は大丈夫」と思ってしまうことを言います。
例えば震災前、釜石市の防災をアドバイスする立場の片田さんは、地震の後に津波から逃げる防災訓練を各地域で指導していました。
しかし、本当に地震が起こった時に、大人は正常性バイアスが働いて、
「これくらいの地震だ、バタバタしたらかっこ悪い」とか
「この前の地震でも津波は来なかったのに、また逃げろ!逃げろ!って呼びかけたら、オオカミ少年になってしまう」と考えてしまう
そうです。

よくわかります(-_-;
だから片田先生は、

・大人には「呼びかけ当番」を期間で決めて、
その期間に地震が起こったら、その「呼びかけ当番」が
近所の人たちに避難を呼びかけて率先して逃げる。

これなら、もし津波が来なかったら・・・なんてよけいなこと考えすに
当番なんだから精一杯声を出して、みんなを誘導することができます。

・子供達には、大人の判断に従わないで、自分1人でとにかく逃げる。
と繰り返し教えて訓練したそうです。

実は東日本大震災当日、小学校にも中学校にも、父母の車が子供を迎えに来たため、校門前では渋滞が起きていたそうです。

しかし、子供たちは、親の車を探そうともせず、山を目指して走ったというのです。
子供が行ってしまえば、親も追いかけて走らないといけないわけです。
その結果の「奇跡」であって、「必然」の避難が
全員の無事を導いたのです。

片田先生が言う避難3原則
「想定を信じるな、状況下で最善を尽くせ、率先避難者たれ」
「震度4なら大丈夫」「震度6以上なら・・・」という想定を信じるな。
みんなが大丈夫、と思っている時に、「逃げよう!」と、いわゆるKY(空気読めない)な奴になれと勧めているのです。

そういえば、
先日ノーベル物理学賞に決まった真鍋淑郎さん、なんと90歳!
受賞の記者会見で、アメリカ国籍を取得し、日本に帰りたくない理由を聞かれて「日本は協調しないと生きていけない社会。私は協調する能力がないのです」とコメントして場内を笑わせていました。

協調を「空気を読む」、とも置き換えられるなぁと思いながら聞いていました。
そういえば、山本七平の「空気の研究」という本を思い出しました。
1983年に出た本ですが、その中で「世界中の戦争には、戦争を起こした張本人が必ずいる。しかし太平洋戦争を起こした日本には、いくら探しても戦争を始めた張本人がいない。
戦争を起こしたのは、実は“空気”だった」。
というような一文があったのを記憶しています。

命が関わる災害時にも空気を読んでしまう日本人。
正常性バイアスというとピンときませんが、
「空気を読むな」ということです。

そういえば、片田さんのセミナーは防災のセミナーで行ったのではありませんでした。会社でも同じことが起こりますよ、社内の正常性バイアス「うちの会社は大丈夫」に気をつけてください
という内容のセミナーでした。
社内のおかしいことを、おかしいと言える「空気」づくりも会社では大事です。
しかし今回は、私に正常性バイアスが働いてしまったことに反省です。

確実にやってくる東京直下地震。
その時の心構えと準備が、できました。
という報告で締めくくりたいと思います。

深井賢一

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