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映画ロストケアを観に行って思ったこと【ネタバレ含む】

ロストケアを観に行って来た。

おとといのレイトショーで鑑賞。
感想を一言で言うならば、介護が終わった人に観てほしい映画だ。

物語の主役は松山ケンイチ演じる斯波(しば)。介護の必要な人に寄り添うデイサービスの介護士をしている。
斯波は若いにも関わらずしっかりしており、要介護者に笑顔を向け誰よりも懸命に介護をする立派な青年である。しかし、若い割に白髪でなにか過去に苦労をしてきたのだろうということがわかる。
後になってわかるのだが、斯波には実は心にとても深い闇があったのだ…

ざっと物語の導入はこのようなもの。興味が湧いた方はまずはこの先の記事を読まずに是非劇場で鑑賞してほしい。


さて、ネタバレを含む内容と私の体験談を聞いてほしい。

作品で私が思うのは、斯波が行った犯行は痛いほどわかるということ。
さらに言えば救いの手が無ければ私が斯波になっていた未来もあっただろうということだ。


検事は斯波を「あなたの行ったことは自らの誤った価値観による卑劣極まりない犯行だ」と罵倒する。
それに対し斯波は「あなたのように安全地帯にいる人にはこの気持ちはわからない。穴の底でじっと耐えている人の気持ちがあなたにはわからない」と反論する。

このシーンはとても見ごたえがある。
検事には介護に関して思うところがあり、斯波の言う理屈も独善的な面はあるがある意味で正しい面もあるからだ。

このシーンで思い出すのは自分の介護経験だ。
僅かな期間ではあるもののじーちゃんの介護を家族でしていた。

じーちゃんは作中の要介護者達と同様に次第に認知症の症状が酷くなり次第に徘徊するようになった。
その当時の辛さが映画ではかなりリアルに描かれている。当時を思い出して辛くなるところもあるのだが、斯波の言葉が当時の辛かった自分たち家族に寄り添ってくれたような言葉にもとれて目頭が熱くなる。
じーちゃんは認知症とアルツハイマーのため病状が良くなることはなく次第に悪くなっていくのだが映画でも同様の状況が描かれており胸が苦しくなる。

それでも介護を終わった方に見てほしい理由は

介護における問題は誰もが正しく、誰もが悪くない。


というところに答えがあると思う。

認知症になった人も悪くないし斯波も悪いだけじゃない。検事の結論も間違えていないし誰もが悪くない。
ただ、善意も悪意も時には人を救い、人を苦しめるのだとこの作品では描かれていると思った。

じーちゃんの介護は辛かったし時にはじーちゃんにカッとなる時もある。
そんな自分が嫌になるときもある。

それを鑑賞中に思い出して涙が止まらなくなるときがあった。
そんな辛かったときの私の家族の気持ちを斯波は理解してくれたような気がした。


介護を経験するのとしないのとでは心に来る重さが違うのかもしれないが
この作品はとてもいい題材の映画だと思う。


ぜひ興味の湧いた映画ファン
過去に介護で苦しんだ方は映画を観てほしいと思う。


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