【CaT vol.6レポ】動画活用の術を1日で身につける|「これからは動画だよね」に対応するための、動画制作&活用手法
こんにちは、待島です。
5Gの開設計画を提出していた各携帯キャリアに、免許が認定されたことが先日ニュースになっていました。総務省の5Gの動画や、内閣府から出ているSociety 5.0の動画を見て、未来がそこまで来ているワクワク感が止まりません。こういう、今の世の中には存在していないものも、動画なら全体像がイメージしやすく、心にも残りますね。
YouTubeでは無料でたくさんの楽しい動画が見られますし、企業のウェブサイトに動画が使われることも多くなってきました。ただ、動画を活用して何ができるのか、またどういう表現がベストなのかということは、まだまだ僕自身クリアではありません。
そんな折、SNSで今回のイベントの情報を見て、まさに今聞きたい内容と思い、秋田へ飛んできました。
CaT vol.6『「これからは動画だよね」に対応するための、動画制作&活用手法』のイベント参加レポートをします。
CaTとは
『CaT』は作り手やこれから何かつくりたい人のためのイベントです。
「Create and Think」(つくる、そして、かんがえる)をテーマに、試行錯誤を行う中で最適な解と思えるものをつくってきたみなさんにお話を伺っていきます。
Create and Think (CaT)
CaTは、秋田のデザイン制作会社である株式会社neccoさんで主催されています。今回の講師は株式会社デスクトップワークスの田口 真行さん。トータル4時間のロングセッションが始まりました。
今回のグラレコ
ウェブ×動画
ウェブの中に動画があるのが当たり前になり、「動画やったことない」はヤバイと変わってきています。では、どうやって身につけるべきなのか。
動画はTV業界や映像業界で成熟してきました。ウェブ制作者にとっては、その歴史をイチから押さえる必要はなく、ウェブサイトで動画を使うことにフォーカスすればOKです。
動画とメリットとデメリットとは?
ワークとして、「動画のメリットとデメリットは?」について近くの席同士でアイディアを出し合いました。僕らのチームはこんな感じ↓
メリット:
文字よりも印象を強く残せる/音でも情報を伝えられる/パット見て好印象に繋げられる/クオリティが低くても世に出せる(YouTubeなどの媒体がある)
デメリット:
見るのに時間がかかる/斜め読みできない/人混みでは見られない(恥ずかしい・迷惑になる)/ただアップするだけでは見てもらえない(伝播しにくい)
クライアントから聞かれた時、すぐに答えられるように考えておくべきだと田口さん。確かに、明確な正答でなくとも、自分の考え方を言葉にしておくのは重要だなと感じました。
動画は「時間軸を持っている」
動画のメリットは、操作なしで最初から最後まで続けて見ることができること。テキストだと、1画面に収まる量は限られているので、スクロールの動作が必要ですが、動画には不要です。
一方で、「短い移動の間で見たい」などのユーザー側のペースに合わせられないというのはデメリットです。
動画は「世界観を表現しやすい」
動画は映像と音楽との組み合わせで、ストーリーを作ることが容易です。一度ユーザーに興味を持たせられれば、その後は最後まで見てもらいやすい特性があります。
また、ウェブページよりも、「あたたかい感じ」「親しみやすいデザイン」などの感覚的なものを伝えるのにも優れていますが、表現がズレていると、逆にマイナスな印象を与えてしまう可能性があります。
これらのように、動画にはメリット・デメリットの両方があるということを踏まえて、動画を扱いましょう、というお話でした。
動画は作品か、広告か
今どきの動画は作品というよりは、手元で再生されるコンテンツといえます。企画設計を行うよりも前に「そもそも何のための動画か」という目的を明らかにするステップを設けるべきです。
ウェブサイトにおける目的は、ブランディングとマーケティングの2つです。
ブランディングの役割
印象の伝達やイメージを蓄積すること。Appleや、海外の自動車メーカーは上手にやっているとのこと。「買ってください!」ではなく、「私達はこういうものを作っています」と伝えるものです。
マーケティングの役割
製品やサービスのプロモーションを行うこと。いかに自社の商品やサービスを買ってもらうか、使ってもらうかを主軸にします。いくら美しい映像ができても、販促キャンペーンの内容が伝わらなければ意味がない、のがマーケティングです。
例えば、「ブランディングを高めたいんです。つきましては来月のイベントに集客できる動画を作りたい」というように、ブランディングとマーケティングの目的を混在させると、成果物を判断する指標にブレが生じ、わけがわからなくなってしまいます。
動画を作る前に、誰に、どこで、何を伝えて、どうしてほしいのかを具体的にイメージすることが動画の出来を左右します。
動画を作る要素
動画を作るのは映像と音であり、その2つを繋ぐのがストーリー、という位置づけです。
コストを抑える工夫
動画を制作する上でもっともコストがかかるのは、「編集」の段階です。人を動かすコストが高いので「撮るだけ撮って、あとは編集でなんとかしよう」はNG。
できるだけ無駄な編集を減らすことでコストを下げ、かつ動画のクオリティを上げるための作り込みに時間をかけるべきです。
設計段階で決めること
動画の設計段階では、上記の8個の決めることがあります。
メッセージ
動画で何を言いたいか、見た人に何を伝えたいか。
シナリオ
どういう流れで進行するか。
絵コンテ
動画における設計図。
セリフ
映画でなくとも、動画の導入部分ではセリフを決めていた方がスムーズにスタートできます。また、セリフがあることで演者がセリフに応じたパフォーマンスにも意識を向けることができ、質が上がります。
画角
16:9比率だけでなく、ユーザーのスマホ閲覧を考慮する場合には、縦向き、横向き、正方形と環境を意識して選定します。FacebookなどのSNSの動画再生画面が参考になります。
尺
滞在時間を意識する。
演者
話者のポジション/性別/年齢/ルックス/衣装/メイク/身長/体格/声質を、いかに違和感をなくせるかを重視します。また、ターゲットユーザーにとって相性が良い演者であるかも重要です。
ロケーション
明るさや色の指定など、編集には限界があるので、予め仕上がりイメージを持つ上で重要です。撮影日とは別日のロケハンを行うのはコストがかかりますが、そこはコストをかける価値があると言えます。
主役を引き立てるバイプレイヤーの役割
「主役」に対して「脇役」を意味するバイプレイヤーには3種あります。
インタビュア:引き出し、訳す
アシスタント:視点を広げ、視聴者目線を共有する
ナレーション:映像の重厚感をコントロールする。内輪感を排除する
いずれも重要で、バイプレイヤーがいないと、主役は成り立たないとすら言えます。
画づくりのコツ
イベント参加者2名に前に出てもらって、田口さんのiPhoneをカメラに、映像の違和感についてその場で説明がありました。
イマジナリーラインに気をつける
演者を結ぶ線上(イマジナリーライン)を超えて撮影すると、左右の位置関係が逆になって見えたり、向き合っている感じがしなくなるので避けます。
2者で話す場合、間の空間を開けることで向き合って話していることをわかりやすくする
などなど、具体的な画づくりの方法が紹介されました。
音声収録のコツ
音の質は映像の質に大きく影響します。収録にあたってのコツを聞きました。
マイクの種類
よく使われるのは、ガンマイク/ヘッドセットマイク/ラベリアマイク(ピンマイク)/バウンダリーマイクの4つ。
指向性
どこまで音を拾うかもマイク選びのポイントです。
無指向性 :全方向の音を拾う
単一指向性:一方向の音をよく拾う。範囲の広さでさらに細分化される
双指向性 :あまり使われないが、前&後ろ、左&右、のようにマイクを中心として一方向とその逆方向の音を拾う。
ありがちなマイク選びのミスとして、演者の話す声を収録するためにピンマイクを採用したが、無指向性だったため、まわりの余計な音も拾ってしまい意図した音を録れなかった、ということがある。この場合は単一指向性を選ぶ必要があるので、Amazonなど実物を試さずにマイクを購入する時には、必ず指向性を確認するのが良いでしょう。
その他のポイント
カット編集のコツ
映像と映像を組み合わせるカット編集。いわゆるホームビデオがだらだら長かったり、ブツ切れに見えるのはこの工程が無いからというのが大きいのではないでしょうか。田口さんからのポイントは2つ。
取捨と繋ぎが重要
シーンをつなぎ合わせる時には、演者の口グセ(えー、とかうーん、とか)のタイミングを合わせると自然に繋げやすい。いわゆる「編集点」。
カメラが多いほうが編集しやすい
1台よりも2台、2台よりも3台ある方が映像の切り替えに幅ができ、全体の画が単調になりにくくなります。
テロップ編集のコツ
田口さんの考えるテロップ編集の種類は次の4つ。
とんねるず方式
バラエティ番組のテロップは、演者が話していることからキーワードを抜粋して掲載したり、笑いを生むために言葉を変えたりしている。喋りのタイミングにピッタリ合わせることで面白さが引き立つ手法です。
カンブリア宮殿方式
字幕にように演者が話している言葉をなぞるテロップ。
プロフェッショナル仕事の流儀方式
キーフレーズを印象的に抜き出して、別カットで挿入します。(「ポーン」という音とともに、黒バックに1行のテキストが入るアレ)
ジャパネット方式
文字情報がかなり多く、一見では見きれないほど。効果音のタイミングを商品や話の流れによって微妙に変えている点も優れています。
テロップのポイント
次の4つ。ここまでの話で出てきた重要な点を再確認するような内容でした。
まとめ
・・ということで、動画の目的設定から企画、設計、撮影、編集まで、具体的なノウハウがここまでか!というくらい詰め込まれた、みっちり4時間セミナーでした。ひとりの人の話をこれだけ長く聞いたのって、学生時代にも無かったかもしれない。しかし非常にテンポ良く、飽きさせない濃密なセッションはさすがでした。
初めて参加したCaTは、参加者の方の雰囲気と、イベントの空気感がすごく心地よかったです。学生さんや若い方が多いのも印象的でした。本当に参加して良かった!
懇親会も深い時間までどっぷりで、インプット・アウトプットした量がかなり多かったです。秋田、CaT。また行きます!
次回のCaTは2019年8月17日に『CaT vol.7 真夏のVue.js祭り🏮』が開催されるそうです!イベント情報はおそらくCaTのDoorkeeperでアップされると思うので、事前に「メンバーになる」をクリックしておくと、通知が来て便利だと思います。