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産業技術大学院大学(AIIT) 情報アーキテクチャコースの学生になって7ヶ月

はじめに

社会人学生 Advent Calendar 2021 7日目の記事です。
フロントエンドエンジニアの @watsuyo_2 です。

2021年 4月に、産業技術大学院大学(以下、AIIT) 情報アーキテクチャコースへ入学してから12月までの約7ヶ月間に起こった体験談を綴っていきます。

AIITとは、品川シーサイドにキャンパス(今はオンライン授業がメイン)を構える、学部を持たない専門職大学院です。

情報アーキテクチャコースでは、卒業すると情報システム学修士(専門職) を取得できます。

実は、AIITは東京都公立大学法人が運営していて、その他にも 東京都立産業技術高等専門学校 や 東京都立大学 も運営しています。

自己紹介

経営学部を2017年に卒業し、システムエンジニアとして2年弱、Webのフロントエンドエンジニアとして3年が経ちます。

最近の業務では、Vue.jsやTypeScriptを使った開発を中心に、UIコンポーネントの設計や実装をデザインシステムの構築をしています。

AIITで何を学んでいるのかをよく聞かれるので、それらを知っていただく記事になればいいなと思います。

AIIT入学の経緯

文系出身ということもあり、システムエンジニアから独学でWeb業界に来たこともあって、情報系やコンピューターサイエンス系の学習をせずにいました。

そんなこともあって、上記のような学問を学んできたエンジニアや、既にコンピューターやWebに関してある程度の知識を持ったエンジニアがいる環境下で、どうやって戦っていくかを考えました。

そんな中、AIITの説明会に誘われたことをきっかけに、説明会に参加し、興味を持ちました。

インターネットを活用すれば、カンファレンスや勉強会はもちろん、QiitaやZenn等のブログ、YouTubeやUdemyといった動画コンテンツで多くのことを学ぶことができますが、学校に通うメリットを次の章で話します。

個人的なAIITの情報アーキテクチャコースに通うメリット

  • 学費が安い

  • オンライン授業(2020年から)

  • 数学が必須でない

  • 情報システム学修士(専門職)を取得できる

  • 他コース(デザイン系、事業系)の授業も自由に受けられる

が、AIITに通うメリットと考えていて、同じような考えでAIITに入学された方が同級生にもいました。

とはいえ、社会人エンジニアがコンピューターサイエンスに近い修士などを目指す場合、AIIT以外にも様々な選択肢があります。

例えば、東京近郊でフルタイム勤務しつつ情報系の修士号が取れる大学院を調べてみた という記事に、フルタイムの社会人でも通うことができる様々な選択肢がまとめられているのでこちらを参照していただくと分かりやすいかと思います。

上記の記事にもある通り、2年間で卒業できると実質354,780円で情報システム学修士(専門職)が取得できる部分が一番のメリットかもしれません。

- 教育訓練給付金の対象で、条件を満たせば入学料・授業料の50%が給付される
- 卒業後に条件を満たせば追加で20%分給付されるので、トータルで70%の給付
- 2年間の総額は1,323,600円(都民1,182,600円)のため、70%給付で397,080円(都民354,780円)で専門職修士の取得が可能

https://zenn.dev/canonrock/articles/124adce216bb07a5b270

また、授業をオンラインで受けることが可能で職場や自宅でリアルタイムの授業を受けることもできます。(2021年現在)

全ての授業がアーカイブに残されているので、復習もしやすく、リアルタイムに受けなくて良い授業はアーカイブを見て、レポートを提出するといったことも可能です。

AITT 情報アーキテクチャコースの授業

今年度(1~3Qのみ)自分が受講した授業の中で、おすすめの授業を3つ紹介します。

システムプログラミング特論

Pythonを使ってシステムプログラミングを行う授業でした。

システムI/Oやコマンドライン上で扱うコマンドをPyhonで実装してみる課題は、後のRustの勉強やAWSのLabmdaを使用する際に役立ちました。

クラウドサーバ構築特論

AWSを使って自由にWebサービスを実装して良いグループワークがメインで、NeptuneやVPC等、普段業で使わない技術を使ってWebサービスを作る経験は貴重でした。

業務で開発しているプロダクトでは使われている技術だけど、ほとんど触ったことがないAWSを触る機会になりました。

システムソフトウェア特論

Unix系OSについて広く学びました。

普段からMacを使っているので、コマンド操作に慣れているつもりでした、ファイル権限周りや、実践的なシェルスクリプトを体系的に学べたのは、今後に活きそうです。

最後に

AIITは、各授業も面白いですが、2年次のPBLでは各研究室に分かれて、より実践的なグループワークを行う予定です。
先輩方のブログを見る限り1年次よりも大変そうで、今から戦々恐々としています。

AIITの情報アーキテクチャコースに興味のある方、メッセージを頂ければ相談にのることも可能です👍

明日の社会人学生 Advent Calendar 2021は、じろさんが担当になります!
じろが情報系大学院入学に至るまでの話。つまり自己紹介。

番外編

先程紹介した授業以外で、受講した授業を簡単に紹介します。

ここにない授業に関しては、最新のシラバスをご確認ください。

1Q

1Qは、2Q以降に通ずる基礎科目が多いです。

  • 情報セキュリティ特論

    • 共通鍵、公開鍵、デジタル署名といった暗号関連から、組織マネジメント(リスク分析、内部統制)やISMSのような国際標準規格について

    • 情報セキュリティにおける情報倫理について

  • プロジェクト管理特論1

    • ISO21500、PMBOKに基づいた授業で、プロジェクトマネジメントの基本

  • Javaプログラミング技法

    • Javaを用いてオブジェクト指向やクラスの概念

    • 実装課題が多く、どのプログラミング言語にも通ずるシステムI/Oの実装や例外処理について学べる

  • フレームワーク開発特論

    • Railsチュートリアルの安川さんが講師で授業中に質疑応答も答えてくれる授業

    • Ruby on Railsを通じてWebサービス開発の手順やMVCについてを学べる

  • 事業方向性設計特論

    • 1年間で唯一受けた、事業設計工学コースの授業

    • チームで新規事業を考え、それを資料にまとめて発表するスタイル

    • 最終回は、外部ゲストも交えてプレゼンを行った

ちなみに、1年次に受講しなかった授業で、情報アーキテクチャ特論1という、アルゴリズムやプログラムの計算量も取り扱う授業があったのですが、2年次に取るか動画を見て勉強する予定です。

2Q

  • データベース特論

    • RDBの基本概念、SQLによるDB操作

  • システムソフトウェア特論

    • Unix系OSの操作から、SSH、アクセス制限、仮想ファイルシステムを学ぶ

  • 人間中心デザイン特論

    • 1年間で唯一受けた、創造技術コースの授業

  • システムプログラミング特論

    • Pythonを使って、実行効率の改善、アルゴリズムとデータ構造の理解

3Q

  • OSS特論

    • ARPANET、GNU等のOSS前史

    • GNU GPLやMITなどのOSS ライセンスの概要

  • IT・CIO特論

    • AIIT各教授によるオムニバス形式の授業

  • クラウドサーバ構築特論

    • AWS各サービス(S3、VPC、Lambda、Neptune)を使って、Webサービスを開発

  • アジャイル開発手法特論

    • チームを作ってアジャイル開発のロールプレイ

    • スクラムのプランニングやスプリントレビュー、レトロスペクティブの演習

最後までご覧になっていただきありがとうございます!