楢木範行年譜11　民具展覧会　昭和11年10月22日～　

鹿児島民俗研究会の発足に伴い、民具展示会が開催されたことはいくつかの紹介で知ってはいたが、今回、新聞記事を入手したので、二つの新聞記事を紹介しておく。
・昭和11年10月23日『鹿児島朝日新聞』夕刊2面。「愈々蓋を開けた　古代民具展覧会　三百余点を集めて　初日早々から大賑ひ」
・昭和11年10月24日『鹿児島朝日新聞』朝刊7面。「民俗研究の　権威を集め　本社後援の民具展と座会　廿二日から山形屋で」

＜民具展示会＞
主催：鹿児島民俗研究会
期間：10月22日～
会場：山形屋6階
陳列民具：染色、服物、灯火用具、山袴漁具、猟具、労働用具、農具、食器、千両箱、火打角、油皿、しそく、蝋燭立、カンテラ、ランプ、行炉、たもと提灯、農具、草かき、雁爪、煙草包丁、藁切包丁、玩具、ヒキ駒、ギツチヨネン、遊戯道具、破魔杖棒、トフタ労弓竹、鉄砲、など約300点

＜民具展座談会＞
主催：鹿児島民俗研究会
会場：山形屋社交室
日時：10月23日午後6時～
出会者：小出満次高農校長、池田俊彦二中校長、鯵阪本社編輯長、児玉幸多七高教授、谷口熊之助高農教授、楢木範行商船校教諭、永井龍一鶴丸校教諭、村瀬県社会主事、後藤女師範校長、荒田校長松下重資、後藤弘毅七高教授、町田二次、築地健吉、宮武省三、野間吉夫、平川清隆、牧両本社員等

幹事永井龍一（たついち）氏開会挨拶を述べ、野間吉夫氏座長となって一場の挨拶を述べ「現在蒐集されて居る民具の衣食住に関する史実に就て所見を伺ひたい」と提案、町田二次氏は自在鉤の名称に就き「桑朴三節樫と垂水町方面では称してゐるが此意味は桑の木は魔除けで縁起並に中風の薬だと云ふ見地から斯く桑の木を以て拵へたもので其他火起の作り方に就て吹く方にして拵へるのが本当だ」などゝ使用法を語り、灯火用具、其他飲食用具等の問題に就いて有益な意見の開陳があつたのち今後之が蒐集法其他将来の研究問題等に就いて発表があり大成功裏に午後九時半に散回した（写真は座談会）