見出し画像

初恋をしたらストーカーになっていた

 皆さんは初恋はいつでしたか?高校生?中学生?小学生?早い人は幼稚園生の頃とか?僕は中学2年生の時でした。同じクラスの女の子で、Yさんといいます。Yさんは身長150cmくらいで体重は50kg(目算)くらいのちょっと太めの子でした。Yさんに恋心を抱いたのはある日僕に話をかけてくれたことがきっかけでした。

 話しかけられた内容はあまり覚えていないのですが、「何しているの?」みたいな内容だと思います。中学生当時の僕は大して目立つ子でもなく、軽くいじめられていて、声をかけられた時は教室の窓からぼんやり外を見ていました。まともに女子と接したことのない僕は、女子に対して全く免疫がなく、にもかかわらず女子にはよく思われたいという自尊心がありました。Yさんはその時何かを尋ねました。何を尋ねられたかは覚えていないのですが、「次の授業は数学だっけ?」とか「宿題って今日までだっけ?」とかそんな内容だと思います。その時に返した言葉は覚えています。「多分そうだよ」です。そして続けてこう言いました。「あまりあてにしないで」と。

 女子に対して免疫がなく、女子によく思われたいという自尊心が働き、間違えることを恐れた僕は「あてにしないで」と言う言葉を付け加えることで、間違ったとしてもその責任は自分にはないことをアピールしたのです。今思えば、この戦略は明らかに間違っているのですが、女子に頼られて期待を裏切る結果を恐れた僕は、「僕が間違えたわけではないよ」という逃げ場を残すことで、女子からがっかりされないようにしたのです。今回に限らず、Yさんに何かを尋ねられると口癖のように「あてにしないで」という言葉を使っていました。もちろん「あてにしないで」と言われた方にしてみれば、「え、じゃああんたなんかに聞かない」と思うのは当然なのですが、当時の僕はそこまで考えが至るには幼稚すぎました。
 この後Yさんとなにか話すわけでもなく、Yさんはその場を去ったのですが、同時に僕の心を奪っていきました。女子に何かを頼られる、女子がちゃんと会話をしてくれる、この刺激は中学2年生の僕を落とすには十分すぎました。

 この後、僕は、1年半ほどYさんに片思いをすることになります。

ここから先は

2,007字
この記事のみ ¥ 300
期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この文章が面白いと思った方は少額でもいいのでぜひご支援ください。筆者の励みになります。