完璧な文章/「風の歌を聴け」村上春樹/あるいは、手作りの散文図鑑://引用の餛飩(ワンタン:hun-tun)
No.1:真ん中に一本の線が引かれたノートの右側と左側/ノートの上に昼と夜の時間が流れ、音楽/言葉が燃え上がる。「それが落とし穴だと気づいたのは、不幸なことにずっと後だった。僕はノートのまん中に一本の線を引き、左側にその間に得たものを書き出し、右側に失ったものを書いた。失ったもの、踏みにじったもの、とっくに見捨ててしまったもの、犠牲にしたもの、裏切ったもの、裏切ったもの・・・僕はそれらを最後まで書き通すことはできなかった。」 (「風の歌を聴け」村上春樹 P1