「春のこわいもの」幻視者・川上未映子〈迷路的なるもの〉の終末のヴィジョン
No.1: 川上未映子の短編小説集は、短編小説が集められたものという意味での短編小説集ではないあるいは、採集された世界の断片としての小説川上未映子の短編小説集は、短編小説が集められたものという意味での短編小説集ではない。そして、その短編小説は、短編小説集に収録されているという意味での短編小説ではない。川上未映子のそれは、その複数の作品がひとりの小説家によって生み出されたものであることを理由として、さらに、それらの個別の作品がひとつのモチーフによって書かれたものであることを理由