小説について。小説という言葉たちが放つその美しさと残酷さ。物語をなぜ人間が求めてやまないのか? その理由。小説でしか辿り着くことのできない場所の光と音についての文章。
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#書評
古川日出男「曼陀羅華X」自家製の雑草図鑑を盾として、あるいは、歌え!長編小説の形をした白色(ホワイト)の傾いだ十字Xの花弁のリリックを/雑なる家族の黙示録のための断片
自家製の雑草図鑑を盾としてレインコート派の父子と犬が静かなる東京で、戦う/父と母と子の「一冊の本」、子の文字と父の絵画と母の言葉から編纂された一冊の本、表紙に十字の「白色(ホワイト)の、白色(ホワイト)の、白色(ホワイト)の、」花弁からなる「クルアーン」を盾として、揺籃から連れ去られた嬰児が子となり拉致された男が父となりフレンドが母となり、寄せ集められた雑家族がハンドメイド(手作り)の言葉を操り、書き記された予言と預言と戦闘マニュアルを凌駕して、三つの給水塔(タワー)がそ