恒例の、月末、ちょっと前の古新聞をトイレットペーパー交換に出す前にまとめて読む。2021年9月の日経新聞、ひと月分だけ読んでみた。菅退陣表明、総裁選へ。そして、ウクライナ戦争に至る前兆現象は?

 恒例の、月末、ちょっと前の古新聞をトイレットペーパー交換に出す前にまとめて読む。やる気が出ずに、2021年9月の日経新聞、ひと月分だけ読んで、今朝交換に出した。トイレットペーパー一巻になった分の情報。
去年の9月って、どんなだったか覚えていますか?


 まず、8月8日に東京五輪が終わって、9月の前半はパラリンピック真っ最中。コロナは緊急事態宣言継続中。総理大臣は?菅儀偉総理。オリンピックをがんばって開催したが、支持率はどんどん下がり続けたのであった。


  パラリンピック期間中なのに、9/4に退陣を表明して、自民党総裁選になだれ込んでいったのが昨年の九月のことだったのだな。
 9/26の世論調査だと、次の首相にふさわしいのは 河野太郎46% 岸田17% 高市14% 野田5%。だったのですよね。


 国際情勢、2月のウクライナ戦争に向けて、どんな予兆があったのかな、と思って読むと、①ロシアについての記事はほとんどない。②それでもよく読むと、予兆、前兆となるでき事が積み重なっている。


 この前、古新聞一気読みをした2021年1月~3月分だと、バイデン政権発足での「対・中国シフト」に対してプーチンがいろいろな動きを見せて、ウクライナとも国境でひともめしたり、ナワリヌイ氏毒殺未遂の騒動があったり、ロシア絡みの記事がたくさんあったのだが、この時期の国際政治というと・・・


 8月末で米国がアフガンから完全撤退して、9月1日の一面トップは「米・アフガン撤退完了」バイデンが国内外で大批判を食っている真っ最中。アフガンの混乱が続いているが、21日バイデンが国連で「軍事介入主義に終止符」「中国との競争に集中」という演説をしている。「ロシア軽視、軍事介入しない」宣言と、今から見ると読めてしまう。


 今回の戦争で「NATOとEUは利害が違う。それが分からないとこの戦争の構図が分からい」ということを僕は繰り返し書いてきたけれど、そのことが象徴的に表れている記事がいくつかある。


 まず、この時期、フランスと米国が、オーストラリアへの潜水艦の配備を巡って大喧嘩している。フランス大使を米豪から召喚してしまうという、「国交断絶」ぽい大騒ぎになっている。


 それから、9/18に「EU、危機対応へ新組織」ということで、NATOとは別に「欧州防衛連合」を作る構想、いくいくはEU軍創設を目指す動きをしている。そして、これは実はマクロン、フランス中心に画策されていて、「EU軍ができたら、フランスは国連安保理の常任理事をEUに移譲することも検討、という記事がある。欧州の安全保障を米国に依存している状態から脱却したいマクロン、フランスの思惑、というのが見て取れる。


 もうひとつ、この9月は大事な選挙がいくつかあって、26日にドイツ総選挙があって、その前にメルケルさんが政界引退を表明している。メルケルさんのCDUが負けて、シュルツ氏が連立政権を模索、というのが28日の記事。「メルケルさんがいたらなあ」と言う声がこの戦争では方々で聞こえるが、このメルケル引退、ドイツ政権交代というのも、戦争の前提のひとつなのである。

 ロシアでも下院選挙があり、プーチンの「統一ロシア」が議席の2/3を確保して勝利、というニュースが9/21に出でいる。選挙前の支持率は30%くらいだったのを、ばらまき、弾圧、あらゆることをしてこの結果である、という分析記事。2036年までプーチンが政権を維持することが可能になる、そのための信任を得たとプーチンが言うだろう、という記事である。

 国際エネルギー機関IAEA「ロシア、天然ガス供給増を」価格高騰で要請、という記事もある。天然ガス供給について、欧州各国がロシアに完全に依存して、秋冬に向けて困っている状況が分かる。「価格高騰」だけでも、IAEAがお願いしないといけないほどロシア依存していたのである。経済制裁と言いつつ、ロシアからのガス輸入を完全にやめるのは不可能なことがわかる記事である。

 また「中ロ間、進むインフラ整備 米経済制裁受け連携強化」で、鉄道橋、道路橋など国境を結ぶ交通インフラがいくつも完成し、またエネルギー分野でのパイプラインなどインフラ整備も進んでいるという記事。

 あと、9/17に中国がTPP加盟申請をしたら、9/23に台湾がTPP加盟申請をする。香港では本土化が進み、選挙も統制状態になっている。バイデン政権の「対中国シフト」だけれど、「対立」論調がメインなのだけれど「なんらか協調の余地があるのか」をまだ模索する視点も残っている。習近平が大企業攻撃を開始していて、恒大グループ危機問題(6月)の余波がまだ残っている。また、「学習塾規制」を打ち出したニュースもこのころ。少子化との関連で「東アジア固有の受験競争と私塾」を論じる解説記事が出ている。

 わずか9カ月ほど前なのに、忘れているよなあ。当時は全く気にしていなかった記事に、今の国内、国際情勢の予兆がたくさんあるのだよなあ。
報告おしまい。

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