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『謎ときサリンジャー――「自殺」したのは誰なのか』竹内 康浩 (著), 朴 舜起 (著) あまりの驚きに、ジークンドー東吾先生のワンインチパンチ食らって3メートルもぶっ飛んでビックリする格闘家朝倉海選手みたいに「そうかそうかなるほどなるほどなるほど」と言いながら読みました。それくらい強烈。

『謎ときサリンジャー――「自殺」したのは誰なのか』 (新潮選書) 単行本(ソフトカバー) – 2021/8/26
竹内 康浩 (著), 朴 舜起 (著)

Amazon内容紹介

「あの名短編のラストが実は「事件」だった? 驚天動地、圧巻の評論登場。「バナナフィッシュにうってつけの日」のラストは主人公の自殺ではなかった!? 前代未聞の問いは天才作家の作品世界全体に及び、やがては『ライ麦畑』までが……。世界最高峰のミステリ賞〈エドガー賞〉の評論・評伝部門で日本人初の最終候補となった「文学探偵」が弟子と読み解く新たなサリンジャーの世界。あの名短編のラストが実は「事件」だった? 驚天動地、圧巻の評論登場。「バナナフィッシュにうってつけの日」のラストは主人公の自殺ではなかった!? 前代未聞の問いは天才作家の作品世界全体に及び、やがては『ライ麦畑』までが……。世界最高峰のミステリ賞〈エドガー賞〉の評論・評伝部門で日本人初の最終候補となった「文学探偵」が弟子と読み解く新たなサリンジャーの世界。」


ここから僕の感想。


 グラース家の連作(通称・グラース・サーガ」は、回数繰り返し読んだ小説ベスト10に入るくらい読んだのだが、つまり、ものすごく大好きな小説群なのだが。「そうか。そうかそうか。なるほどなるほど」と、ジークンドーの達人石井東吾先生の予想外の強烈なワンインチパンチを食らって、3メートルも吹っ飛ばされた格闘家・朝倉海選手みたいな感想を言いたくなってしまう。今まで僕は何を読んできたのだろう。

 (本とは関係ないけど、何言っているかわからん、という人のために、ワンインチパンチ参考動画リンクを貼っておきます。下線部クリックすると飛びます。タイムライン3分くらいから見始めて、4分くらいで飛ぶから。初めから見た方が面白いけど。)
ジークンドー石井東吾先生のワンインチパンチは本当に効くのか

 そして、「ライ麦畑」の方は、それはやはり10回では効かないくらい繰り返し読んではいるのだが、何度読んでも、話がすっきりとは頭に入って来なかったのだ。そんなに好きではなかったのだが。そうかそうか、すべてに意味があったのか。なるほどなるほどなるほどそうかそうかそうか。また、朝倉海選手になってしまう。いや、それくらい、びっくりするよ。


 グラース・サーガとライ麦畑が、全く同じひとつのきわめて深遠なテーマといくつかの重要なキーワードと行為動作とを巡って書かれていることが、丹念な細部までの読みと、深い思考で浮かび上がってくる。すごい。これぞ文学評論の極み。


 なんといっても「謎とき」なので、ネタバレしたら申し訳ないので、これだけしか書かないけれど。サリンジャーを読んできた人は、読んだ方が良い。単なる細部のネタ元うんちく本ではありません。サリンジャーという小説家の書いてきたことの、根幹に関わる、これ以上の説得力はありえない強烈な論考でした。サリンジャー読者は必読。サリンジャー読んでいない人は、ひとまず新潮文庫でサリンジャーを読んでから、挑戦しましょう。やはり、小説って最高に面白いよな。そして、文学評論とか批評とか、もう、一生こういうことだけ考えて生きていたい。そう思いました。



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