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朝5時の散歩、という名の冒険

朝起きたら散歩に行こう、と思って寝付いた昨晩。

目を覚ましたのは5:10。寒いなあと思ってコートを着て眠ったのだけど、そのおかげか身震いせずに、するっと布団から出られた。

服は着のまま。マフラーを巻いて、帽子を被って外に出た。

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朝の5:20はまだ夜のように暗くて、地面はサクッと凍っていて、空気はシャリっと冷たかった。行く先も決めていなかったけれど、なんとなく、海が見えるカフェ彩葉の方に行くことにした。どちら行っても、けっきょく海は見えるのだけど。

ごうごうごうと吹く風と、ざあ、ざああっという波の音がずっと聞こえている。いつも背中に重たくのしかかっているリュックもないので身軽だった。小さい頃から「あんたの背中には定規でも入れた方がいいわね」と怒られていた猫背も、伸ばしたい気分になった。

「かかと擦って歩くと革靴擦り減っちゃうから。気をつけて」とその昔言われていたことも思い出して、控えめな腿上げ歩きをしてみた。何もないところで躓きがちなのも、きっとこういう運動が足りてないからなんだと思う。

控えめとはいえ、こんな早朝から腿上げ歩きしてる男なんてきっと、端から見たら変な人に違いない。でも、5時だから。誰も見やしないから。

腿をいつもより高く上げながら、海に向かって歩く、5:40。

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暗いと街灯が目立つ。街灯、と書くけど街ではなく町なんだよな、と書きながら思うが、他に見あたる言葉もないのでそのまま使う。

街灯が見えてくると、「よっ。寒いねえ」と言ってくれているような気がした。街灯は朝5時だろうと昼の12時だろうと夜の6時だろうと変わらないので、きっと僕が街灯にそう言いたくなるような気分だった、だけなのだと思う。誰もいないし、話しかけたくなる相手が街灯くらいだったんだろう。淋しい男だ。

でもそんな親近感が湧いたからか、街灯と出会うたびに、写真を撮る。

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とは言っても、街灯なんて道中数えるほどしかないのだけど。笑 3本くらいか。

そんなこんなでカフェ彩葉に着く。ちょっとした坂道を下って、海が見渡せる場所に出る。

(朝の海の音。noteにうまく載るかな)

ざざざあああああ……とただただそこにあり続ける海。まだ暗かかったけど、今日も綺麗な海だった。

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「昔から、眼鏡かけるの嫌だったんだよね」と昨日友達と話したことを思い出して、眼鏡も外して歩いてみた。素の視力で外になんか出たら危ないし、運転できないし、仕事にならないから、当分眼鏡もコンタクトも通さない世界なんて見ていなかったことに気がつく。ぼわぼわで焦点が合わないけれど、それはそれでいいもんだ。

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木の陰がまるで模様みたいだった。テキスタイルや、何かのテクスチャにも応用できそうな。

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帰り道、気づけば空も明るくなってきていた。真っ暗でわからなかった空も、曇っていたのだとやっと認識した。

そういえば、と思って、いつの間にか忘れていた腿上げ歩きを始める。

すると凍った坂道に、言葉の通り足元をすくわれ(足を掬う:相手のすきをついて失敗させる。 出典:デジタル大辞泉)、おっとっととフラついたところに車がやってきて、一瞬心臓がどきりとした。眼鏡もかけていなかったので、ひやひやひや。

無事生き延びた僕は、眼鏡をかけて、いつも通りの足取りで、でもちょっとだけ背筋を伸ばして、元いた道を歩く。

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太陽が昇ってきていた。また1日が始まる。

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辿り着いた部屋でストーブをつけたら2度だった。外は何度だったんだろう。

明日は生まれて初めて胃カメラを飲む。何にもないといいな。

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