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【告知】クラファン、挑戦します。

しばらく更新できておらず、久々になってしまいました。

多忙を極めていた、といえばその通りで、昨年の12月12日に、「Daddy support協会」という、男性の育児支援を推進する社団を設立しました。

今日はこの近況、そして推進する活動と想いを語らせてください。

(クラファンはこちら

「自分がこの問題を広める」という決意

ここまでは色々紆余曲折がありました。
2021年9月から始まった経産省の「始動 next innovators」で「父親の産前教育」を題目に事業案を検討し、利益化の難しさに一度は挫折しかけたテーマでした。

しかしそのメンタリングで、Asmamaの甲田恵子さんに「起業だけが答えではない。産婦人科医であり、文章を書けるのであれば、自分で社会問題として取り上げ、広め、解決していけばいい。あなたはそれができる立場にいる。」と言われたのが転機になりました。

そもそも私にあったのは「男性の育児環境を変えたい」という想いでした。スタートアップでなくていい。スモールビジネスですら、なくていい。

社会を変えられれば、手段は何だっていい。

そこから、個人での文化啓発に取り組むことを決意しました。ひたすら色々な方にこのテーマを訴え、記事として書き、共感してくださる仲間を探し続けました。

様々な人が、様々な機会をくれました

初めての記事は2022年4月1日に公開しました。
メディカルジャーナリズム勉強会の「伝え手育成プログラム」で最優秀賞をいただき、Buzzfeed Japanに公開させていただきました。

この頃はまだ、「男性の産後うつ?ハァ?」というリアクションも少なくありませんでした。twitterなどで色々言われたなぁ。
ただその何十倍も、大きな効果をもたらしてくれました。

まずは7月から、夫婦向けメディアである、日経dualでの連載をいただきました。(これはメディカルジャーナリズム勉強会のおかげです)
ここで男性の産後うつから育児まで、様々な小ネタを考えながら載せていきました。

そして忘れもしない、5月末に届いた1本のメール。
中央公論新社の編集者が、buzzfeedの記事を見て、連絡をくださいました。

「新書を書きませんか。」

企画書を仕上げ、翌年4月の刊行を目指して書くことになりました。
それまで長い記事でも数千字。新書は最低でも10万字。
圧倒的に違うレベルの戦いでしたが、不思議と筆は進んでいきました。

年末は長野県松本市でホテルに篭り、それでも間に合わず編集者を焦らせましたが、無事脱稿し、今印刷に進んでいます。

まさか発信を開始してから1年で、新書を出せるとは思っていませんでした。

「本を出す」ということは、記事より多くの人に届きます。おそらくその分、多くの応援も、同時に批判も受けるでしょう。
多くの意見がある分野なのも承知です。ですが、誰かが挑まなければ、変わらない。それに自分がなる覚悟は、1年前に決めていました。

もちろん、多くの方が読んだ時に、みんなが不快にならない表現は心がけました。あくまで淡々と。冷静に社会を分析する目で書いた本です。
「なぜ父親の育児・育休はうまくいかないのか」。決して感情論でも、誰かが悪いわけでもない。変えなくてはならない、社会構造があるだけです。

是非お読み頂けたら嬉しいです。(Amazonなどで予約可能です!)

他にもこれらの記事から、「Abema Prime」でのコメント出演、「初めてのひよこクラブ」での記事監修など、様々な発信につながっていきました。

機会をくださる方々への感謝と共に、発信を続けるにつれ、来るコメントに肯定的なものが増え、少しずつ変わっていくのを感じるようにもなりました。

個人での発信から、仲間との共創へ

記事執筆がもたらしてくれた変化は、書籍やメディア出演だけではありませんでした。

7月に、Facebookで突然メッセージがきました。

それが今、社団の理事として共に活動してくれている斉藤圭祐さん。彼は父親として産後うつになった当事者であり、その情報を調べる中、私の記事を読んで連絡をくださいました。

この少し前に「父親の支援コミュニティを作りたい」と話したのが、同じく理事の中西信介さん。男性保育士でもあり、実際に地域での支援活動に携わっていました。

2021年の9月、「始動」にエントリーする際に、現場でのモヤモヤを初めて言語化し、資料に落とし込みました。これが私の「父親の育児支援」の始まりです。

その1年後、2022年の9月、この2人を引き合わせ、ここからいよいよ本格的な活動がスタートしました。

正直、1人では活動にするのは無理でした。記事はかけるし、色々な企画は考えるものの、形にはなっていかない。
3人集まったことで、いよいよ「形」ができ始めました。

それまで散々、色々なところで語ってきた問題意識、そして妄想をまとめ上げ、2人にぶつけ、磨き込む作業。
私自身の「社会問題の分析」「現状把握」は2人の同意を得られたものの、「課題解決の手法」「具体策」はまだまだ甘いのも露呈しました。

これらを磨き込みながら、実際の活動にしていく。
そうして2022年12月12日に創立したのが、「一般社団法人 Daddy Support協会」でした。

「始動」は経産省のアクセラレーター。その目標はあくまで起業です。しかし、そこに集まっていたのは、「起業したい人たち」ではなく、「社会を変えたい仲間」。だからこそ、始動から一般社団法人を作ることに、迷いはもうありませんでした。

逆に、この「育児」は公益性が高いテーマ。活動の方向性を考えれば、様々な企業のみならず、個人・自治体・医療機関と手を携えて進んでいく必要があります。

その意味では、持続可能な資金繰りができれば、むしろこのテーマは社団法人の方が向いていたのです。(本音:NPOは作る手間が大変だった。)

団体での「文化啓発」としてのクラファン

社団を作っても、私の方向性は変わりません。「個人での文化啓発に取り組む」だったのが、「団体での文化啓発に取り組む」になっただけです。

しかし、その規模感、できることは格段に変わりました。
個人として話してきた専門家・専門職・当事者に、今度は「団体」として声を掛けられるようになりました。
様々な形で、多くの仲間がこの活動に協力を表明してくれています。感謝しかありません。

そして団体での文化啓発、そして活動のfirst stepに私達が選んだのが、まさに題名にもあるクラウドファンディング。

ついに【3月16日 午前10時~】、「父親支援」のクラウドファンディングをredayforにて開始しました。

あとは私たちのクラファンへ掛ける気持ちを、是非読んで頂ければと思います。

クラファンの目的・私の想い

男性の育児が普及する今、「準備不足」が原因でパートナーを困らせたり、自身が追い込まれてしまう父親が増えています。

本当なら妊娠40週の間にできる準備がたくさんあります。しかし「妊娠・出産・育児で何が問題か」が認知されていない状況では、この「準備」に対する意識が、父親のみならず、母親も低いことが多々あります。

私たちはこの「妊娠40週の間にできる準備」に着目しました。

残念なことに、今の男性育児・育休の流れは「育休推進」に偏っています。

もちろん、育休取得者が増えることは素晴らしいことです。しかし、「育休を取る」ことが目的化して、「育休取らせてもらうので、育休前は仕事頑張ります!」と妊娠に向き合わない父親や、「育休明けはパートナーも産休だし、働ける」と、育休後に長時間労働をする・させられる父親も同時に増えています。

本当に大事なのは「育休前の準備」「育休後の協働体制」なのに、そこには目が向いていません。
結果、「取るだけ育休」という言葉が出てきたり、育休ならぬ「育業」という位置づけがされているのが現状です。

またその裏で、「父親自身が追い込まれる」事例も増えてきています。

これまで育児から隔離されてきた父親たちを、何の支援もなしに育児に参画させれば、必ず追い込まれる父親が出てきます。
まさに母親が「ワンオペ育児」「マミートラック」「産後うつ」、そして「産後自殺」として通ってきた道を、父親も通ることになります。
父親が育児でメンタルヘルス不調や休職になる。既にこれが起きていることを、特に産業医の現場で実感しています。

父親が母親を追い込む場合も、父親自身が追い込まれる場合も、親のメンタルヘルス不調は、明らかに子供に悪影響です。

しかし今の日本は、「両親が健康に育児できる」環境とは言い難いのが現状です。
多くの親が働きながら育児をするこの時代、両親が健康に育児をするためには、「社会的支援」が不可欠なはずですが、特に父親でこれが欠けています。
父親にあるのは「両親教室」くらい。知識も、経験も、支援もない中、沐浴とおむつ替え・妊婦体験だけで育児に臨むのです。

だからこそ、「妊娠初期から」「父親に特化」した支援・ツールが必要と考えました。

自身が妊娠しない男性は、どうしても赤ちゃんを早期に実感し、準備をすることは難しいのが実情です。
そこをカバーできるのは「知識」「支援」「男性が育児をするのが当たり前」と同時に、「父親が支援されるのが当たり前」になるべきです。

今後5年以内に、「誰もが適切な支援を受けられ、妊娠・出産・育児情報にアクセスし、準備ができる」世の中を作りたい。

その為には、以下の3つが重要と考え、クラファンをすることにしました。

・より多くの方に「男性の育児」にかかわる社会的支援の問題を知って頂く
・当事者・支援者の仲間を増やし、全国に活動を広げていく
・自治体などと提携するために、直接父親などにアプローチできる「モノ」を作る

この初手として、妊娠初期から父親にコンタクトできる場=母子手帳受け渡し時を狙ったリーフレット・父子手帳を今回は作ります。

コンタクトできる「モノ」を作り、そこから色々な父親支援のプレイヤーと協働し、自治体と組み、支援の輪を広げていくための最初の一歩、どうか応援頂けたら嬉しいです。

支援は、価値で返す。

臨床医としてのキャリアから飛び出して1年半。ここまで来るとは思っていませんでした。

このプロジェクトには、多くの医師や助産師、育児当事者、研究者なども力を貸してくれています。
しかし、資金がなければプロボノで、決して持続的な活動にはならない。

需要が潜在的なこのテーマで継続的な資金を得るには、公的機関との連携が不可欠で、そのためにはまず様々な活動実績が必要です。
「人に寄付を依頼する」。本当にそのことが正しいのかは、今でも分かりません。もっとビジネス的に収益を得るやり方があったかもしれません。
しかし、頂いた支援を形として社会に返し、変える。それが私がやるべきことだと確信しています。

一つ一つの支援は、皆さんの貴重な財産です。
株式会社がその支援(株式)を利益を上げて返すのが使命なら、
クラウドファンディングでは、それ以上の価値を社会に提供していくのが使命だと考えています。

もう既に、多くの方の「時間」という支援を、多分に頂いてきました。
始動エントリーでつきっきりで資料作成に付き合ってくれた、初対面の起業家の方。
私に様々な実体験を話してくれた、延べ60人以上の父親・夫婦たち。
事業案の壁打ちに付き合ってくれた、メンターや始動の同期たち。
そしてこの活動に時間を投じてくださる、社団のメンバーやアドバイザー、アンバサダー、協力者のみなさん。

全てのご支援に報いるのは、
「5年で男性の育児環境を変える。」
この「価値」有言実行で実現するだけです。

この活動が、日本の育児環境を少しでも変えられたら。その想いで、突っ走っていきますので、是非応援頂けたら嬉しいです。

令和5年3月16日
Daddy Support協会 代表理事
平野 翔大

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