矛盾

世界が平和であって欲しい。
みんなが笑顔であって欲しい。
全ての人が平等であって欲しい。
心からそう思う。
こんな事を書いたら偽善者とか思う人もいるのかもだけど。
本当に私はそう思っている。
その反面、それは絶対に叶わない願いであることも知っている。
何故なら、誰かの幸せは誰かの不孝のもとに成り立っているから。
悲しいけど。
人は皆、欲というものを持っている。
そして、妬みや嫉妬の心を持っている。
それを満たす為には何かを犠牲にしなければならなかったりするのだ。
世の中は矛盾で溢れている、矛盾で成り立っているのだとも思える。
全ての人に優しくありたいと、平等でありたいと私は毎日思うけど、毎日壁にぶつかってばかりだ。
誰かの願いを聞き入れたら、誰かを踏みつけてしまうことになってしまう。
例えば、私は会社ではいつもそうだ。
沢山の人が働く職場。
考え方も価値観も全く違う人たちが集まって、業務を遂行しようとしているのだ。
同じベクトルに向かって進んでくれたらいいのに。
私の職場は自己顕示欲の強い人たちの固まりなのである。
各々が自分のやりたいやり方で仕事を進めようとする。
当然、毎日摩擦ばかり起きている。
もう少しみんな妥協して歩み寄ってくれないかな…とは思うのだけど。
私は職場の中では若い方に入ってしまう。
相手は半数以上年上の方だし、年下だとしても先輩だったりするのだけど、職務的には私は上に立たなければならない立場にある。
私の性格上の問題もあるのだが、先輩は立てなきゃと思うし、立場上私が上だなんて威張りたくない。
中には頼ってくれる先輩もいるけど、見下してくる後輩もいる。
私自身の地盤がしっかりしていないけど、有難いことに上司からは期待されている。
私は上司が仕事を進めやすい様に職場の人たちをまとめあげ、一つのベクトルに進めるようにするのが役目だと思っている。
でも、当然ながら全然上手く行かない。
本来なら協力して一緒にそうしていかなきゃならない私と同じ職務の人間はまだ若くて、自分のやりたいようにやる事しか考えてない。
で、思い通りにならなかった時は私に愚痴るか私の所為にするか……兎に角、子供同然なのである。
同じポジションにいるから、ある意味その人からみたら私は邪魔な存在であり、都合のいい存在でもあるので厄介なのだ。
当然ながら、頼りに出来ない。
一人で出来る事をやるしかないのだ。
でも、ある人の望みを叶えたら、ある人を蔑ろにしてしまうことになる。
私はいつも板挟みだ。
まあ、どうにも困った時は上司に相談する事にしているが。
長々と書いてしまったけど、会社の事は例え話で。
悲しいけど、誰かの幸せは誰かの不孝や犠牲のもとに成り立っていて、全ての人の望みを叶えるのは不可能なのだ。
私には沢山の夢がある。
それを叶えることすら誰かを不孝にするのだ。
判っている。
私が幸せになる事を望まない人たちには、私の幸せは不孝でしかない。
妬みや嫉妬が必ず付きまとう。
逆に誰かの幸せは私の不孝でもある。
私だって、妬みや嫉妬の念を持っているから。
冒頭に綺麗事を並べたけど、本当に望んでいるのだけど、自分が不孝になる事を受け入れられるような聖人では私はないから、結局は望んでいないのと同じなのだ。
だから、世界は矛盾で成り立っていると思う。
誰もが皆、幸せを望んでいる。
自分が幸せになる為には、自分の周りにいる大切な人たちも幸せでなければならない。
でも、絶対何処かに矛盾があって、結局は壁にぶつかるのだ。
どうにも綺麗事だけを並べて生きるのは難しい、ある人の願いを叶えたら、平等にしているつもりでも誰かを不孝にしている。
その誰かの心の痛みだけは忘れない自分でありたいなと思います。