走り出すために

体を馴らす為の助走、あるいはその前のストレッチのようなものなのかもしれない。
とかく、いきなり走り出すことはできないのだ。

仕事の話である。
フリーランスの私は普段自宅で仕事をしており、大体朝の9時頃になるとPCを立ち上げ、そこからメールやスケジュールを確認する。ここまではまぁいい。
問題はその次で、実際に作業を始めるまでに時間がかかるのである。

ブラウザのブックマークから好きなメディアや毎日更新のWEB漫画などをチェックし、複数のSNSにも一通り目を通す。そうこうしている内に時間はあっという間に過ぎ去っていく。
多少の罪悪感を覚えながらも仕事にとりかかる気はなかなかおきない。私は労働が嫌いなのだ。

そこで納期に思いを馳せると多少は責任感のようなものが芽生えてきて、ようやく作業にとりかかろうと姿勢を正す。
こうして日々の労働は保たれている。

いきなり走り出すことはできない。そのことについていつも、今も考えている。
私は至って真面目なのだ。だからこそ作業を始める前に今、こうやってこの文章を書いている。

そろそろ納期について考えなければいけない。

了