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口内調理。

テレビをつけて、たまたまぐるナイをみてたら、口の中に食べものを放り込んでいくと味が完成するという「口内調理」が紹介されていた。

たとえば、牛肉のローストにタンニンの効いた人参(単体ではおいしくない)を一緒に食べるとさわやかな口当たりに、ラムを噛んでカモミールティーを飲むと干し草の香りが漂って、羊が口の中で遊び出す…など、その人の感性に随分と左右されそうな調理法である。

ああでもそういうのありますね、と考えながら、口内調理の最たるに思い浮かんだのは牛乳だった。

私のささやかな自慢ごとは食べ物の好き嫌いがないこと。しかも、どちらかといえば好奇心にまかせて何でも口にできる方。だけど、牛乳の白い質感だけはどうも耐え難い。牛乳瓶やグラスに入った牛乳を美味しそうに飲む人を見ると、背中がぞくぞくする。のどが渇いたからって牛乳をイッキする姿にいたっては、見ている私が絶叫したくなる。「生搾り牛乳」というキラーフレーズにも、私はびくともしない。

ただ、決して牛乳が嫌いなわけではない。パックをストローで飲めば、それは克服できるし。まあ、好きとも言えないけど…。でも私の好物である、いちご、ドーナツ、バウムクーヘンは、牛乳との相性が最強だということもまた事実。ホットケーキを作るのもやっぱり牛乳がないと、のれんに腕押し。ココアも紅茶も珈琲も牛乳混ぜると、冬の幸福にかわる。あと、charaの「ミルク」は私のテーマソングだし。

牛乳だけだと天使の顔した悪魔みたいだけど、食材のポテンシャルを引き出す驚異のプロデュース力は素直に認めたい。さらに最近は、そんな私の牛乳説(?)を覆すようなとんでもない牛乳も出現している。「あれ、意外といい人?」みたいな感じで幅を効かせてくるからちょっと悔しい。でも、ドウマエで売ってるタカナシ牛乳の魅力には抗えない。オハヨー乳業ではないドウマエセレクトに魔がさして購入して以来、くるみとキャラメルのベーグルと黄金コンビになっている。

昼休みに買ってきて、さらに珈琲も用意してお行儀よく三角食いをする。このトライアングルは最強で、どこを攻めても間違いない。そして、パックだから白さを強調されることもない。私の素晴らしき口内調理。

2016年11月13日

「サウダーヂな夜」という変わったカフェバーで創刊された「週刊私自身」がいつの間にか私の代名詞。岡山でひっそりといつも自分のことばかり書いてます。