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とある論争。

私はネギとかパクチーとかショウガとかみょうがとか、とにかく薬味の類が大好きなんだけど、この世にはパクチーを毛嫌いするタイプの人類もまた、一定数以上で存在しているらしい。

ひばりのランチでパクチーを添えるようになってから、注文時に断りをいれる人、ぐるりと周りをしっかり残して帰る人が沢山いて、わりと衝撃をうけている私。ちょっと待って!お口の中さっぱりしたくないですか…!ってドキドキ動悸すら感じる。

パクチーが苦手な人は大抵こう言う。「カメムシの臭いがする。」いやいやいや、カメムシは私も苦手だってば。そもそもあの臭いが平気な人なんているのかしら。確かにパクチーの香りが独特であることは認めよう。だがしかし、それとカメムシの臭いを一緒にするのはあまりに安易で暴力的なのではないだろうか。

私が過ごした美咲では、10月くらいから早くもカメムシの気配を感じることになる。収穫した枝豆の葉先や枝には、てんとう虫みたいに小さなカメムシたちが潜んでいるのだ。収穫前の大量の枝豆をみて、勢いよくむしり取ってしまいたい衝動に駆られるんだけど、慎重にいかないとうっかりカメちゃんをハンドでホールドしてプチってしちゃうから要注意。まあ、潰さなくたって、枝豆をむしり終わった後の手には、しっかりとカメムシの臭いが染み付いている。

本格的な冬が始まると、あの六角形のデフォなカメムシが至るところで登場する。洗濯物にくっつくのは当たり前、気をつけないとローファーの中で暖を取ってたりするから危ないんだよね。カメムシが大量発生した年は大雪が降るって今もバロメータにしてるけど、そんな年のカメムシは本当至るとこで発見される。日当たりのよい窓にかかるカーテンで一匹見つけたかと思ったら、その裾にびっしりしがみついていて、その光景ったら絶叫もん。

高校の時に流行っていた靴下の重ね履きの隙間に1日中カメムシを携えていた時の絶望感、朝起きて胸元がなんか臭うって思ったら鎖骨の下をうごめくカメムシ、ぎゃーと払いのけると肌に残る茶色いシミ…。しかも、臭う。母親には「ちょっと、キスマーク?」なんて怪訝な顔をされて、かくも健全なワタクシにあらぬ疑いをかけられる。

とにかく毎年悲惨なエピソードをアップデートしてくるカメムシは、私にとってゴキブリより脅威だ。君はカメムシを素足で踏んづけてしまったことはあるかい?

そんな強敵のカメムシを始末するのにばっちしな方法は、ガムテープでぺったり背中を貼り付けちゃうのなんだけど、それをヒバリでもやろうとしたら、さっちゃんにドン引きされて「やめてー!」と叫ばれた。あまりに自然だった自分の殺生にハッとして、そっと掬って外に逃した。殺られたくないのなら早く私の前から姿を消せー!て感じ。あーあ、思い出すだけでもぞくぞくする。

というわけで誰か、パクチー好きでカメムシ嫌いの私を納得させるパクチーが嫌いな理由を教えてください。あなた達は絶対カメムシの恐ろしさを知らないんだ。


2017年11月01日

「サウダーヂな夜」という変わったカフェバーで創刊された「週刊私自身」がいつの間にか私の代名詞。岡山でひっそりといつも自分のことばかり書いてます。