グリーンレーベルのつぶやき。

サークルKから帰って来るきりちゃんを見て、僕は目を疑った。どうしてあいつが?

傷心のきりちゃんに余計なプレッシャーを与えないよう少しずつ、上手に外堀を埋めて僕との居心地のよさを実感させてたところなのに。あろうことか、きりちゃんはその偶然の再会に目をキラキラさせている。

きりちゃんだって実感してただろう?コートやパンツの裾が巻き込まれない安心感、扱いやすいロック、荷物はカゴに快適走行。漕ぎ出したらハンドルに引っ掛けた卵パックをニーキック、なんてこともすっかりなくなって安心してたに違いない。リュック以外の可愛いバッグをもたせてあげることだってできるんだ。そりゃ僕はイケメンの類じゃないけれど、グリーンレーベルは優しさの印。これからのきりちゃんをしっかり支えていくつもり。

そんな矢先の出来事だった。ルイガノ太郎がふらっときりちゃんの前に姿を現したのは。休憩中にコンビニへ行ったきりちゃんが走って戻ってきて「さっちゃん!タロちゃんがいた!」なんて報告している。タロちゃんじゃねーわ!僕の目の前でなんて無神経なんだよ。あいつもあいつだ。どーせ、きりちゃんの気を引くために自分で勝手に移動したんだろ。

あ〜あ、それからのきりちゃんは浮き足立ってうわの空。僕はショックで失神しそう。しばらくは雨の日だけの日陰の男だ。まあ、いいや。これくらい想定内だ。太郎はしぶといやつだからな。一筋縄ではいかないことくらいわかってる。それにきりちゃんは単純だから、少しずつ僕の心地よさに傾いていくはずだ。僕は絶対にきりちゃんのお気に入りのコートを汚したりなんかしないから。


2017年11月06日

「サウダーヂな夜」という変わったカフェバーで創刊された「週刊私自身」がいつの間にか私の代名詞。岡山でひっそりといつも自分のことばかり書いてます。