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「わたし」と家

わたしは家を買わないと決めている。
基本的に賃貸で生きていくつもりである。

社会人になり何度か引っ越しをして、移動する楽しさを覚えたわたしには定住のメリットがあまり感じられないのである。

新築や所有する喜びもわからなくはないが、その後で待ち構えている月々のローン、実家の誰も済まなくなった時代に取り残された一軒家、などのことを考えると全く魅力的に感じないのである。特にローンという考え方は本当に苦手である。

賃貸で生きていく理由は移動性能だけではない(いつまでも勝手気ままに移動し続けたいわけではない)。管理を任せられるのはとても楽なのである。わたしは多少わがままであるため、家の設備が故障したらまず管理会社に連絡を入れる。賃貸はあくまで借り賃なので、借りているものの経年劣化や品質不良はきっちり修理をお願いする。めんどくさいやつになりたくはないが、わたしの兄弟、友達を見ていても少し細かい方な気がする。

月々の家賃よりローンの方がという考え方もあると思うし、正直あまり計算したことは無いのだが、使えるものは中古で使います方がいいのではないかと考えるタイプである。


ー背景ー
わたしは2016年に入社してから、6回引っ越しを行っている。住居に飽きたり気分転換で引っ越しているわけではなく、すべて会社の都合で移動している。

入社をきっかけに東京から愛知へ行き、教育として本社の工場へ行き、本社へ戻り、妻と結婚して社宅へ入り、東京へ出向して借り上げマンションに住み、借り上げマンションの建て壊しで今のマンションへ引っ越し、さらに家賃補助の改定で現在も新たな住まいを探している。

引っ越しを繰り返すうちに、新品ではなく多少古い物件の方がお手頃かつ楽しむ余地があると感じ始めた。

きっかけは愛知の社宅である。築50年のマンションで、いわゆる団地の金の卵世代が出稼ぎに出て、に団地に住むことがあこがれだった時代の建物である。エレベータの無い4階建てで、若干中心に傾いた床や、断熱が弱く結露をする壁にはカビが生えたり、畳やふすまの奥底から出てくるホコリで喉がやられるような、値段を見なければ住むのには抵抗のある物件である。当然会社でも新居を構えるための仮住まいとして利用されていることが多く、すべての部屋が利用されているわけではなかったし、入って数か月で引っ越す人も多かった。

わたしはこの社宅を簡易的にリノベーションすることにした。勿論大掛かりなものではなく、かびる壁紙の上から剥がせる壁紙を貼り色を入れてみたり、床材も一般的に利用される木目シート(現代風にいた幅11cm)を敷くことで下からのホコリを抑えた。数万円で自分の好きな空間を作ることができることが分かったきっかけであった。

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