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乾物×液体 なぜ、これだけ腐る?

製品を開発する際にあったことです。あるものを入れた商品だけ、どうしても菌検査に引っかかりました。なぜ、それだけ菌が良く繁殖するのか、調べて欲しいとの問い合わせがありました。

『出来るだけ天然素材で作りたい』という商品コンセプトがあったので、静菌しにくい条件ではありました。しかしながら、企業努力の甲斐もあり、いくつかの商品は製品として、出荷することができました。その中で『のり』を入れたものだけ、菌検査に引っかかり製品化が叶いませんでした。

製品が出来上がる直前には加熱の工程が入るため、一般細菌類は死滅します。それにもかかわらず、なぜ『のり』だけ菌が繁殖しやすくなったのでしょうか。

まず、添加した『のり』を菌検査したところ、他の食材に比べ菌数が高いことが分かりました。

もちろん喫食できる数値ですし、他の『のり』と比べても劣っているわけではありません。しかし、過熱調理済みの冷凍野菜や他の混ぜた食材に比べると高い結果が出ました。

そして、『のり』に存在してる菌の種類です。レトルトを除けば食品の中には、必ず菌が存在します。その中でも、耐熱性菌、好気性菌、それらが平気な菌がいます。天然のりの育成環境には土壌菌という熱に強い菌が多いことが考えられました。

結局、ある程度『のり』の中にいた『熱に強い菌』が食材中に残り、他の菌がいない環境になり菌検査に引っかかる程に繁殖した、という結論に至りました。

衛生用品営業のベテランからは、『乾物を水分を含む製品に加工すると、腐りやすくなる傾向がある』と助言がありました。新しい製品を開発するときは、素材の特性も理屈的に考えなければいけない、というお話でした。


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